提督の憂鬱   作:sognathus

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本部から下された作戦を実行していた提督ですが、何かあったのかある日突然基地にいる全員に召集令を掛けました。

*登場人物が多いので一部セリフの前に名前あり


第×31話 「断念」

「皆集まったか? ……よし、皆にひとつ報告がある」

 

突然の召集令に艦娘たちは緊張して固唾を飲んで提督の言葉を待った。

 

「今回の作戦は、我が基地においては誠に遺憾ながら現時点を以て降りる事となった」

 

艦娘達に動揺の声が広がる。

作戦は決して容易な内容ではなかったが、それでもその推移は順調だったはずだ。

作戦を降りる理由が思い当たらない者は多いらしく、動揺の波の後に続いて不満そうな声が上がり始めた。

 

夕立「ちょ!? それってどういう事!? 夕立はまだやれるよ!」

 

不知火「不知火もです。まだ音を上げるには早いかと」

 

駆逐艦の中でも負けん気の強い二人が早速異議を唱えたところで、状況を落ち着いて見守っていた足柄と那智が口を開いた。

 

足柄「皆落ち着きなさい。別に大佐は私たちの力不足の所為とは言っていなじゃない」

 

那智「足柄の言う通りだ。皆、ここは大佐の話の続きを聞くんだ。大佐、続きを」

 

「すまん。皆、さっき足柄が言ったように作戦を降りるのはお前たちの所為ではない。理由は別にある」

 

加賀「理由とは?」

 

「……正直言って、資材がない」

 

ざわめきは一瞬で静まり返り、重い沈黙に包まれた。

その中で果敢にも多摩が原因の詳細を訊いてきた。

 

多摩「えと、それって……?」

 

「……弾薬が尽きた。0だ」

 

提督は苦渋に満ちた顔で本当に申し訳なさそうに答えた。

 

赤城「え……」

 

龍驤「全くないん?」

 

「そうだ。故に事実上作戦の続行は無理だと内外共に判断された」

 

再び重い沈黙に包まれた。

もう誰も声をあげる者はいなかった。

 

「皆、本当に申し訳ない。弾薬の不足には作戦開始前から対処に努めていたが、先日の作戦で全て消費し尽くしてしまったんだ」

 

武蔵「ああ、もしかして前の支援砲撃か?」

 

「ああ。おかげであの作戦に関しては文句の付けようが無いほどの戦果を以て完遂できたが、俺たちの仕事もある意味完遂してしまったわけだ」

 

秋雲「結果的にはリタイアだけどねぇ。まぁ、復帰ができないくらい敵にやられちゃった所為とかよりかはマシなんだけどさ」

 

「……重ね重ね申し訳ない」フカブカ

 

天龍「えちょ、や、やめろよ! 大佐だって頑張ったんだろ。そんなに頭下げる事ないって!」

 

麻耶「そうだぜ。大佐頭上げてくれよ。あたしはあんたを責める気なんて全くないぜ」

 

「……皆悪い。そういわけだから我が基地は暫く資材の備蓄に努める事になる。それまでは最低限演習と基地近海の警備は行うが、それ以外については、命令あるまで待機とする。以上、解散」

 

真っ先に不服の態度を取りそうな武闘派の意外な気遣いを有り難く思いつつ、提督はひとまず召集令の解除をし、解散を告げた。

 

 

 

「……」

 

秘書艦の望月を除き、全員が退出した後、提督は暫く皆が出て行った扉を見つめていたと思ったら力が抜けた人形のようにソファーに倒れ込んだ。

 

バタン

 

「ちょ、ちょっと大丈夫なの?」

 

望月が珍しく慌てた様子でパタパタと提督に駆け寄る。

 

「望月、すまん。本当にすまん……。暫くね……」

 

「え? たい……あ……」

 

「……」zzz

 

「あー、無くなってたのは弾薬だけじゃなかったんだね」

 

「……」

 

「……んしょっと」

 

提督が完睡を確認するとその頭を優しく持ち上げて自らの膝に乗せた。

 

「お疲れ様、大佐」ナデナデ

 

「……」

 

「本当に誰も大佐の事を責めてる人なんていないからさ。今はゆっくり休んでよ。残りの仕事とかは皆と協力して片付けるからさ」

 

「ぐ……この書類は……今日ま……」

 

「夢の中でまで仕事すんなよ」ペシッ

 

「……む……ぐ……」

 

「貧相な身体で悪いけどさ、これで我慢してね。ほら、」ナデナデ

 

コトッ

 

「んー?」

 

僅かな物音に気付いた望月が音がした方を見ると、そこにはこっそり残って隠れていたらしい初雪の姿があった。

 

「あ……」

 

「初雪、どしたの?」

 

初雪は見つかった事を気まずそうにしていたが、特に気にも留めない様子で声を掛けてきた望月の態度に安心した顔で聞いてきた。

 

「ん……気になって……」

 

「そ、勘いいね。ドンピシャだよ」

 

「大佐、大丈夫?」

 

「寝てるけど、まぁかなり無理してたっぽいね。これ暫く起きないよ」

 

「そうなの? じゃ、わたしも撫でても大丈夫?」

 

「大丈夫大丈夫。寧ろ撫でて悪い事ないって」

 

「そう? じゃぁいい?」

 

「ん、大佐の代わりに許可するよー。ほらおいでよ」

 

「うん……」テテッ

 

「わたしの隣に来るといいよ。そう、うん、背中に膝入れて……」

 

「……本当に寝てるね」

 

「だよ。ほら、起きない」ペシペシ

 

「あ……だ、だめ……だ……じゃない?」

 

提督の額を軽く叩く望月に初雪は慌てる。

 

「殆ど力入れていないって。ほら初雪も撫でてみなよ」

 

「ん……」ナデナデ

 

「ね? 起きないでしょ?」

 

「うん……。凄く疲れてるみたい」

 

「まぁね。多分皆の前で話してた時も結構キツかったんじゃない?」

 

「がんばり過ぎ……。っ……ひぐ」

 

「別に初雪が泣く事ないって。どっちかっていうと大佐が一人で頑張り過ぎた所為だよ」

 

「頼られなかった……。わたしたちの所為じゃない?」

 

「あー、なるほどねぇ。そう考えるとちょっち悔しいかもねぇ」

 

「悔しい?」

 

「うん。もうちょっと気が利いていれば大佐の助けになれたかもしれないしね。それに気付けなかった事がちょっと悔しいかな」

 

「……」

 

「ま、次がんばろ?」

 

「……うん、絶対、やる」コク

 

初雪は、望月の言葉に貴重な真面目な顔でそう言って頷いた。

 

 

ガチャ

 

「おーっす、大佐ぁ元気ー?」

 

提作戦の続行断念の話の直後にも拘らず、相変わらずの明るい声で秋雲が提督を訪ねてきた。

どうやら彼を慰めに来たらしい。

 

「秋雲……」

 

「アッキー何しに来たの?」

 

「何しにってそりゃ愛しのダ……あー」

 

秋雲は望月達の膝で寝る提督を見て一瞬目を丸くした。

 

「そ、ダウン」

 

「大佐、疲れてたみたい……」

 

「寝てんの? 落書きしても平気?」

 

「するの? ダメだよ」

 

初雪は、秋雲の言葉を警戒して半身で提督の顔を覆って守るような格好をする。

 

「冗談だって、悪気はないよ。ん、ほら何もしないから秋雲さんも仲間に入れてー?」

 

「……じゃ、秋雲は大佐の腰のとこ……」

 

「さんきゅうっ、モッチーいい?」

 

「いいよ。あ……ダメかも」

 

快く承諾するかと思った望月は何かを思い出しように秋雲をジト目で見た。

秋雲はその意図が解らずパチパチと瞬きをする。

 

「へ? なんで?」

 

「だって、アッキー大佐の腰でしょ? なんか悪戯しそうじゃん」

 

「えぇ? 悪戯って……ああ、なるほど」ニヤリ

 

「?」キョトン

 

「ん、初雪は解らなくていいんだよ」ナデナデ

 

「え……なに……?」

 

「今度わたしの本見せてあげるよ」

 

「ちょっとー、あんまり刺激の強いのはダメだよー?」

 

「大丈夫だってそこは秋雲さんちゃんと選ぶから。それに悪戯もしないから入れてっ」

 

「はいはい。どうぞ」

 

「ありー。よっと……ん」モゾモゾ

 

「大佐も幸せ者だねぇ。女の子3人に膝布団してもらってるんだからさぁ」

 

「膝布団? おお、それは斬新だね。なんか閃きそう!」

 

「……さっきから秋雲は何を言ってるの……?」

 

「気にしなくていいよ。寧ろ知ったらダルいよ?」

 

「……じゃぁいい」

 

「あぁ、それってちょっとひどくなーい?」

 

「どこがさ。さり気に基地で一番ある意味オトナな癖にー」

 

「え? 秋雲って大人なの? 見た目あまりわたし達と変わらないのに?」

 

「やだなーユキユキそんな事信じちゃだめだよー。望月も、わたしはちょーっと耳年増なだけだってぇ」

 

「どーだか。あ、さっきアッキー大佐のお尻触らなかった?」

 

「え……」カァ

 

「触ってないよ? ん、なに、触りたいの?」

 

「無防備な人に手を出す程趣味悪くないです」

 

「……」カァ

 

「ユキユキは可愛いなぁもー♪」ギュッ

 

「んわ!? ちょ、やめ……」

 

「ちょっと、あんまり騒いで大佐起こしちゃだめだよ?」

 

「……」(寝れん……)




という事で今回の冬イベは恐らくE3までで諦める事になりそうです。
香取、天城申し訳ない!
あ、あと何だっけ……なんとか霜も申し訳ない!

休みの日でもいろいろと都合でできなかったり、仕事の帰りが遅いとかいろいろと生臭い事情が重なった結果、やる気がドロップアウトしてしまったようです。

あー、でも勲章とか改修素材欲しいなぁ……。

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