提督の憂鬱   作:sognathus

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蒼龍に続いて提督は榛名ともケッコンしました。
経つ続けのケッコンにより更に甘い雰囲気が執務室を満たすのかと思いきや、提督を待っていたのは……。


第×8話 「切望」

「榛名……榛名……」プルプル

 

ケッコン指輪を握りしめて榛名は感激に身を震わせていた。

 

 

『『『……』』』

 

その様子を執務室の扉の隙間から彼女の三人の姉妹が息を潜めて覗き、見守っていた。

 

 

「大佐、ありがとうございます。榛名……榛名は今、本当に感激しています……!」

 

「あ、ああ」

 

感激に未だに震える榛名を前にして、提督はその狂喜ぶりに若干引いていた。

 

(これはこいつを姉妹の中でケッコンを最後にしたのは失敗だったか?)

 

「あの、大佐」

 

「あ、うん。なんだ?」

 

「ケッコンを記念して榛名から厚かましいのですけど、お願いがあるんです……」

 

「聞こう。言ってみろ」

 

「あの、これ……」

 

そう言って榛名は服のポケットから何かを取り出した。

 

 

『お姉様、あれなんだと思います?』

 

『hm......榛名は今 happy ゲージが振り切れているワ。そんな状態で逆に榛名から大佐に贈り物……。と言えば……』

 

『私なりに分析した結果、アレは恐らく何かの誓約書の類かもしれません」

 

『誓約書? 霧島、それどういう事?』

 

『Oh 分かったワ! 榛名はあれで独占欲が強いカラ……』

 

『その通りです。まぁ、それでもあからさまな独り占めは流石にしないとは思いますが、それでも二人きりの時はこうして欲しいとかそういう希望を書いた紙を用意したのかも』

 

『へぇ……榛名が……。あ、大佐に渡すよ!』

 

扉の向こうでこんな事を生暖かく妹を見守りながら議論していた姉妹達であったが、果たして榛名が提督に渡したものはそんなやや現実的な物とは程遠い、ある意味普段の彼女のイメージからは到底予想できない物だった。

 

 

ジャラッ

 

「 」

 

提督の手には首輪と、それに繋がれた鎖が渡されていた。

 

 

『『『 』』』

 

それを見て提督は勿論、扉の向こうの三人も絶句していた。

 

 

「榛名……これは……」

 

「あぅ……お、お恥ずかしい話ですが。榛名、大佐とのケッコンを夢見てずっと待っていたらなんかこう……いろいろ溢れてきちゃいまして……」ポッ

 

「そ……その感情とこれとどういう関係が?」

 

「あ、はい。それであの、大佐とのケッコンを待っている間、榛名は早く大佐のものになりたいと思うようになったんです」

 

「それがこれとどう繋がるんだ……?」

 

「榛名、大佐の為なら何でもします! なんでも応えます! あ、勿論本当に悪い事はしませんけど。というか大佐がそんな事言うわけないですよね」

 

「落ち着け、落ち着け頼むから。いや、だからこの首輪と鎖で俺の要望に応えたいと、そういう事か?」

 

「はい! 大佐、は、榛名を……榛名をメチャメチャにし……きゃっ」ポッ

 

「 」

 

 

『……』

 

『お、お姉様……』

 

『わ、私は榛名はや、やればできる子だと思っていたわ……』

 

『わ、ワタシは……』

 

『お姉様?』

 

『ワタシはどこで榛名の教育を miss して……うっ……!」ジワ

 

『お姉様、比叡もです! 比叡もどうしてこうなっちゃったのか……!」グス

 

『……』(まぁ普通はこうなるわよね。榛名……頑張って下さい大佐……!)

 

 

そんな金剛達の期待と不安をよそに、提督は手に握ったそれを見ながらぽつりと言った。

 

「……なんでもするのか?」

 

「はい♪」

 

 

『大佐ぁぁぁぁぁぁ!?』

 

『ノォ! NOよォォォォォ!?』

 

『お姉様達落ち着いて』

 

 

「……そうか。なら一つさっそくお願いがある」

 

「命令してください♪ しろ! とかそんなキツイ感じでもいいですよ」ポッ

 

「……なら命令する。榛名」

 

「はい!」

 

「まともに、いや。俺は真面目でしっかり者で、努力家で、謙虚なそんな可愛らしい榛名が好きだ」

 

「え……?」

 

「演じろとは言わん。だが、そんな俺の好きな榛名が俺は本来のお前だと思っている。だから今からでいい、俺と一緒にそんなお前に近づいて言ってくれないか?」

 

「大佐……大佐はこんな榛名はお嫌いですか?」プルプル

 

「嫌いという言葉で拒否する気はない。だが、俺は初めて出会った頃のお前が好きだ。だからどうか……命令だ。俺と初心に戻ったつもりでケッコンしてくれ」

 

「っ、大佐……!」ダキッ

 

 

『Yeahaaaaaaaaaa!!』

 

『ブラボー! ブラボーです大佐! 比叡は、比叡は大佐に惚れ直しました……!』グス

 

『……ふぅ、流石大佐です。信じていました……』

 

 

「榛名、良い子になります! もう何回言ったか分かりませんけど、こうしてちゃんとケッコンしてくれた大佐に約束します! 榛名、大佐の為に良い子になります!」スリスリ

 

「ありがとう……榛名。俺も嬉しい」(これで、最悪の事態は回避できたか……)

 

「あ、でも……」

 

「うん?」

 

「大佐の要望に何でも応えるというのは本当ですから……ね? 今でも有効です」ポッ

 

「……なるべくそんな展開にならないように努力しよう」

 

恥じらいながらそんな事を言う榛名に、提督は心の底からその事態だけは避けようと心に誓ったのでった。




さて、わが鎮守府の榛名は黒か白か。
いや、黒は黒で魅力はありますが、白過ぎるというのもなんかこう、現実味が無いというか。

というわけでグレーな榛名が一番です。
そんな榛名いないかなw

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