提督の憂鬱   作:sognathus

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提督は蒼龍とケッコンしました。
蒼龍はとても上機嫌で指にはめた指輪を嬉しそうに見つめています。
そのあまりにも嬉しそうな様子に珍しく、それが気になった提督の方から感想を聞いてきました。


第×7話 「予想外2」

「嬉しそうだな」

 

「そりゃぁもう! だってずっと待ってたんだもん!」

 

「飛龍より後になったのは気にしていないのか?」

 

「え? んー、まぁ全く気にならないと言ったら嘘になるけど、でも今はそれくらい些細な事に思えるくらいには気分いいよ!」

 

「そうか」

 

「うん! だってこれでさらに強くなれるんだもん!」

 

「ん? 蒼龍、お前もしかして成長限界が伸びるからケッコンが嬉しいのか?」

 

「うん、そうだよ? それがどうかした?」

 

「ああ、いや。俺はてっきり……」

 

「あれー? もしかして大佐、わたしが大佐の事が好きだから喜んでいると思ったぁ?」ニヤニヤ

 

「自惚れを肯定する様で恥ずかしいが、正直言ってそうだ。だが、そうかお前はそれが理由だったっか……」

 

蒼龍にケッコンの理由を聞いた提督はそう言うと、考え事をするように俯いた。

 

「あ、ごめん。傷ついた? いや、私も大佐は嫌いじゃないよ? 寧ろ好きな方だけど、でもちょっとわたしは恋愛とかそういうのとは違うかなーって感じなだけだから」

 

悪戯っぽい笑みを浮かべながらそんな提督をからかうような事を言う蒼龍。

だが実はその内心は言葉とは裏腹にこんなことを思っていた。

 

(なーんてね。こう言った後に実は好きって言った方がインパクトあるもんね)

 

そう、全ては蒼龍の悪戯も兼ねたムード作りだったのだ。

だがそんな計画のことなど露ほども知るわけがない提督は、顔を上げあると蒼龍に言った。

 

「いや、別に傷ついてはいないさ」

 

「え?」

 

「正直な、目から鱗な気分だった……。ああ、考えさせられたよ」

 

「えっ、そ、それってどういう……」

 

「お前みたいにケッコンを自分を高めるための目的に考える奴もちゃんといるんだなという事だ」

 

「 」

 

「いや、改めて考えてみればそれが一人の軍人、兵士として当たり前とも言えるのかもな。勿論、金剛や加賀のように俺への好意故にというのも否定する気はないけどな。だが、これはこれでいいものだな」

 

「あ……えっと……」(これはヤバイ……!)

 

「蒼龍、俺はお前の事を侮っていた。単に飛龍より少しおてんばな奴だと思っていたが、実はこういう事も真面目に考えていたんだな」

 

そう言って提督は蒼龍に温かい笑みを見せた。

その笑顔は、親が子供に見せるような愛情からくるものとは明らかに違った信頼する部下に何かを諭された事に感銘を受けたような、そんな眩しい笑顔だった。

 

基本的に真面目なこの提督は、その実直な性格ゆえか日常に置いてあまり目に見えて明るく笑ったりはしない。

故に今彼が蒼龍に見せている表情は理由こそ違えど、非常にレアなものだと言えた。

だがそれは、その場に置いては蒼龍にとってありがたいものではなくまるで死の宣告のようなものであった。

 

「あ……ちが……て……ね……?」(あれ? 不安で言葉が上手く出ない……)

 

「蒼龍、これからも俺の部下としてよろしく頼む。期待しているぞ」

 

「!!」

 

この一言が決め手となった。

蒼龍は自身の取り返しのつかない過ちからついにその場で我慢ができなくなり大泣きし始めた。

 

「ふ……うぇぇぇぇえええん!! うぁあああああん!!」

 

「は……? お、おいどうした蒼龍?」

 

突然の事態に提督は心底動揺した声を出す。

 

「ちが……ちが……ぅの。ちょっと……ぐす。ちょっといたぅわしただけなのーー!! うわぁぁぁぁぁぁん!!」

 

「……なに?」

 

 

それから十数分後。

 

「ぅ……ぐす……」

 

「なるほどな……」

 

蒼龍は事の真相を知った提督の胸にソファーの上で体を預けていた。

まだしゃくりあげてはいるが、提督に頭も撫でて貰っている事もあって大分落ち着いた様子だ。

 

「ごめんなさい……」グス

 

「いや、まぁお前らしいと言えばお前らしい」

 

「……ねぇ」

 

「ん?」

 

「失望した?」

 

「? 何にだ?」

 

「……わたしがちゃんと真面目じゃなかったから……」

 

「お前は自分は真面目じゃないと思っているのか?」

 

「そんなことない! いつもはこんなんだけど、任務の時は真面目だもん!」

 

「ふ……よく分かっているじゃないか。そうだな、その通りだ。俺もそう思っているよ」

 

「ほ、本当?」

 

「本当だ。信頼している」

 

「大佐ぁ……」ジワ

 

「……やっぱりお前はこっちの方が合っているな」

 

「ぐす……ふ……ぇ?」

 

「普段はおてんばだがやる時はやる、そういうイメージが合っていると思ったんだ」

 

「じゃ、じゃぁわたしは今のままでもいいの? わたしも大佐を好きでいいの?」

 

「心配し過ぎだ。俺は自分の部下を、それもケッコンまで頑張った奴を無碍に拒否したりしない」

 

「大佐……」

 

「改めて、これからもよろしく頼むぞ蒼龍」ポン

 

「……っ」ギュッ

 

「おっと……ん」ナデナデ

 

「大佐……好き! 大好きだから!」

 

「ああ」ナデナデ

 

「本当だからね? これは嘘じゃないんだから!」

 

「ああ」

 

「わたし大佐とケッコンできて本当に良かった……そう思ってるのよ?」

 

「分かっている。十分伝わっている」

 

「ホント? じゃぁさ……」

 

「うん?」

 

蒼龍は今まで流していた涙とは違う潤んだ瞳で提督を見上げてきた。

 

「キス……してよ。ケッコンの記念にさ。大佐の言葉が本当だってわたしに信じさせて」

 

「……全く、手のかかる奴だ」

 

「ん……」

 

チュッ




蒼龍とケッコンしました!
これでケッコンしてない正規空母は翔鶴と瑞鶴のみです。

え? 大鳳ですか?
申し訳ないです。
大鳳は艦これを始めてからまだ一度も狙ったことがないので……(汗)
何故か未だに欲しいと思ったことがないんですよね。
何故だ……。

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