T督と丁督の場合。
「むっらっくもー今日はクッリスマッスだよー♪」スリスリ
提督は叢雲を見るなり幸せが溢れんばかりの笑顔で叢雲を後ろから抱き締めて頬ずりをしてきた。
「もう、分かってるわよ。でも今は執務中なんだから楽しむのは後だからね」ギュッ
一応窘めるようなことを言いながらも明らかに嬉しそうな顔で叢雲は抱き締めている提督の手を胸の前で握り返す。
「あ、ごめんね。年に一回しかないクリスマスだからさ。早く君と楽しみたくて」ニギニギ、フニ
「提督……。あっ、ん……だっ、ダメだからね。後なんだから」
「ああ、本当にごめんね。急かすつもりはなかったんだ。あーでも楽しみだなぁ」
「私も楽しみよ。その……プレゼント、もね」
「え?」
「あ、ううん」(ちょっと図々しかったかな)
「なんてね。勿論用意してるよ」
提督はそう言うと軽く自分の胸を叩いて見せた
「あ……私もよ」
叢雲は背後からその振動を感じ、提督への感謝と愛情からより深く彼の手を握り締めた。
自分の胸の前で提督の手を握っている為、当然彼は胸の感触を感じているわけだが、そのくらいの事は彼らにとってはお互いの愛を確認し合うための軽いスキンシップでしかなかった。
故にその時の二人には淫らな感情が沸上がる事など皆無であり、幸せそうお互い見つめ合うだけに終始するのであった。
「ありがとう。期待してるよ」
「私も、期待してるから……ね」
キラキラ
「……」
榛名「相変わらずですね……」
瑞鳳「ズルい……」
伊勢「いつもこんなの見せつけられてたら嫉妬するのも仕方ないよね……」
龍田「そうねぇ……今日はクリスマスだしねぇ。特に夜の事なんて考えるとなんかもう、いろいろと殺りたくなるわよねぇ……」ギラッ
望月「龍田さん殺気立ち過ぎー。でもムカつくー、提督かまえー。叢雲ちょっと譲れ―」
那智「……ふん」プイ
龍驤「まぁ、一応提督さんからはプレゼントもろてるんやけどなぁ。しかも全員が欲しい物を個別に」
扶桑「でも、それだけじゃ……。いえ、形ではない物が欲しいのよね……」
名取「む、無理ですよ。だって提督さん本当に叢雲さんしか基本見ないし……」
磯風「……任せておけ」
青葉「え? あ、磯風さん何をする気です!?」
トコトコ
「提督!」
「ん? ああ、磯風どうしたんだい?」
「磯風?」
「提督、そして叢雲に一つ頼みがある」
「頼み? 何かな?」
「言って御覧なさい」
「今日はクリスマスだ。だから、な。んんっ、平等にとは言わない。だけど今日くらい少しは私達に構って欲しい!」ドーン
黒潮「い、言いおったぁ!!」
磯風の宣言のようなお願いに提督と叢雲はきょとんとして黙って彼女を暫く見つめていた。
気まずい沈黙が磯風とその成り行きを見守っていた者たちを包む。
「……」
磯風は黙って平然を装ってはいたものの、内心はかなり緊張していた。
果たして彼らは自分の願いに対してどう応えるのか。
「「……」」
提督と叢雲はまだ黙って磯風をみつめていたが、やがて顔を見合わせると……。
「叢雲」
「ん?」
「今日はクリスマスだね」
「そうね」
「なら、一日中とまで言わなければ今日くらいは……?」
「ふふふ、遠慮はする必要はないわ。こういう時くらい皆で楽しまないと損じゃない」
「……! そ、それでは!」
機体に満ちた目で磯風は提督と叢雲を見る。
「ああ、分かったよ。叢雲も許してくれたし、提督としても僕は君たちの期待に応えたい」
オオオ!
「皆でクリスマスを楽しもう! それとええっと……す、スキンシップもあまり過剰なやつじゃなければ特別に許可するよ!」
キャー♪
「……妬けるけど、許すわ。あと、聞いてね。別に今日だけじゃない。これからは、さっき提督が言った通り目に余る程じゃなければ私の目を気にしなくていいわ」
金剛「そ、それは本当デスカ!?」
信じられない宣言に色めく群衆の中から早速金剛が顔を紅潮させて聞いてきた。
「二言はないわ。ね、提督?」
「叢雲がそれでいいなら。僕としても皆に喜んでもらえるのは嬉しいしね」
テイトクー!!
歓喜の声が木霊し、幸福が満ち溢れようとしている部屋の中で提督は改めて自分を今まで支えてきてくれた部方たちを眺めながら言った。
「さぁ皆、パーティーをしよう!」
そんな微笑ましい光景が広がらんとしていた鎮守府の一方、丁督の鎮守府では……。
長門「提督、今日はクリスマスだな」ヌギ
「ん? ああ、そうだな。うーさぶっ。……つーか、寒いのによく脱ぐな」
既に上着を脱ぎかけている長門を前に、提督はどこか気だるげな様子だった。
加賀「子供を……こほん、体が火照って仕方がないのです」ヌギ
「それは年中じゃねーか」
大井「ねぇ、提督ぅ……。し・ま・しょ?」ヌギ
発情真っ最中の加賀と大井を前にしても提督の態度は特に変わる事もなく、すまし顔でこう言ってきた。
「何も外で全員でスることはないんじゃねーか?」
翔鶴「今日はクリスマスじゃないですか。寒空の下で性夜を楽しむのも悪くないと思いますよ?」ヌギ
「字、なんか間違ってねーか?」
金剛「テ・イ・ト・ク、イジワルしないデ?」ハラリ
「お前もう全裸かよ。つーかな……」
磯風「どうした?」フニフニ
半裸から全裸、それどころか既に露出した肌を彼に押し付けている者がいる中、それでもやはり提督の態度は変わる事なく、更にこう続けてきた。
「磯風、ちょっと胸から手ぇ離せ。……あのな。この際だから一つお前達に教えておくが」
日向「まさかここまできてお預けとか言わないよな?」シュルッ
「いや、それはないけどな。ただな。一つ教えてやりたいのはなんでクリスマスだからってそう熱くなるんだよ? 」
加賀「熱くなるのがいけないのですか?」プニプニ
「まだ話してる途中だ。押し付けんな。だからな? クリスマスって言ったらアレだろ? 神の生誕祭だろ? そんな日にこんな気分になっちまうなんてアジアの中でも日本とかくらいしかないんじゃねーか?」
長門「ふむ……つまり提督は本来の意味を知っているからそういう気分になれないと?」
「クリスマスっていう言葉さえなけりゃな。俺からすれば愛し合うのにいちいちそれを理由にするのが滑稽なんだよ。俺、宗教は仏教とか神道とか、そっちの方がだから」
雷「仏教と神道は全然違うわよ司令官」チュッ
「……ちゅ、分かってるって。だから俺が言いたいのはな。そんなの理由いらねーから欲しいときははっきり言ってくれって話だ」
潮「え、えーと……でも、なんていうかその……。ん、ぺろっ」
対照的な身体の幼女に両サイドから責められながら、提督は雷の接吻に応えると同時に潮のつたない奉仕の裏に隠れた彼女の考えを見抜いた。
「んあ? プレゼントか? それならちゃんと毎年やるよ。ほれっ」ポーイ
翔鶴「わぁ♪」
「プレゼントはクリスマスでもいいが、愛情は求めるのにいちいち理由つけんな」
金剛「提督ぅー♪」
「で、プレゼントと俺からの愛情、どっちが欲しい?」ニッ
丁督達はこの後無茶苦茶s……。
クリスマス終わりましたね。
なんかこっちはリアルの仕事の所為で年の瀬という印象が強いのですが。
ケーキどころか焼き鳥片手に酒飲んでたし……。
美味しかったらいいけど……。