提督の憂鬱   作:sognathus

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隼鷹が上位改造可能レベルに到達したので改二になりました。
久しぶりの軽空母の改二を祝って飛鷹はもちろん、その日は龍驤と瑞鳳も呼んで軽く酒宴を開いていました。


第25話 「酒宴」

「ひゃっはー! 改二だぁ!!」

 

「いいなぁ」プクー

 

「おめでとー!」

 

既に改二になっている龍驤が祝辞を贈る隣で、少し不機嫌そうな顔をした飛鷹が頬を膨らませていた。

 

「あはは、むくれないむくれない! あたしがなれたんだから飛鷹だってその内だって」

 

「だったらいいんだけどねぇ」

 

「軽空母の中じゃあ龍驤の次かぁ。ま、練度はあたしの方が上なんだけどねぇ」

 

「むっ、ちょっと自分が上やからって調子のらんといてや! 上っちゅーても大した差やないやろ!」

 

「へっへぇ、それは、どうかなぁ?」ムニュ

 

何が明確に負けているのか、隼鷹は露出の多い肌着の状態を利用して前屈みとなりあるモノを強調して見せた。

 

「なぁっ!」

 

「隼鷹さんそれ反則……」

 

今までずっと黙っていた瑞鳳が龍驤に加勢する。

 

(あ、無いもの同士か)

 

「……飛鷹さん?」ムッ

 

「何かしら?」シレッ

 

「ま、改二以上の改造の噂もあるし、お嬢ちゃんコンビもまだ希望があるんじゃない?」

 

「お、お嬢ちゃん……」

 

龍驤はその言葉に絶句した。

瑞鳳は自分の胸に一瞬手を当てて隼鷹の言った言葉の意味を理解すると、顔を真っ赤にして吠えた。

 

「お嬢ちゃん言うなぁ!!」ガー

 

 

「そういえば改造で逆に小さくなることなんてあるのかしら」

 

酒が多少入った所為だろう、冗談のつもりで飛鷹がふとそんな事を言った。

 

「「え」」

 

本人にしては何気ない言葉だったが、その一言に龍驤と瑞鳳は凍り付く。

 

「いやぁ、それは流石に無いんじゃない? 多分」

 

カラカラ笑いながら飛鷹の冗談をウける隼鷹、こちらはすっかりデキあがっており周りに気を使う余裕がそもそも無かった。

だがその冗談を冗談とは到底受け止めることができない龍驤と瑞鳳は、今度は部屋の隅で二人して青くなって震えていた。

 

(こ、これ以上小さく……!?)スカスカ

 

(考えられない!)ペタペタ

 

「まぁ流石にあり得ないか」

 

「そうだよー……て、あれ?」

 

「だ、大丈夫や。う、うちは新境地を開拓するって決めたんやもん。怖くなんかない! こ、怖くなんか……」ブツブツ

 

「大佐はロリコン……じゃないけど駆逐艦みたいな子も好いてくれるって言ってた……。だから大丈夫……大丈夫。例え改造でそんなことになったとしても……わ、わたしだって……」ブツブツ

 

「二人とも深刻な顔しちゃってどうしたのかしら?」

 

「飛鷹が変な事言うからじゃーん」

 

「え? 私何か言った?」

 

「ああ? んー……何か言ったっけ?」

 

 

トントン

 

「んぁ?」

 

「はーい」

 

『隼鷹、いるか?』

 

「え、大佐?」

 

「はーい、いるよー? 入っていいよー」

 

「邪魔する。夜分に悪いな隼鷹、飛鷹……と、龍驤? 瑞鳳? あいつらどうかしたのか?」ガチャ

 

提督が部屋に入ってもその事に気付かずに未だに部屋の隅でブツブツ呟いている龍驤と瑞鳳。

提督の方が先に気付いて二人の様子を心配した。

 

「あー、ちょっとねー?」

 

「何かあったみたいよ、よ?」

 

「なんで一緒にいたお前達が分からないんだ……」

 

「まま、取り敢えず座って座って」

 

「何か用?」

 

「ん、お前改造を受けただろ? その祝いに、な」チャプン

 

「おー♪」

 

提督の土産に喜びの色を浮かべる隼鷹は浮かべた。

 

「気が利くわねぇ。勿論私も貰っていいのよね?」

 

「うちも!」「わたしも!」

 

「あ、復活した」

 

提督の声に気付いたのかいつの間にか我に返った龍驤と瑞鳳も後に続いた。

 

 

「頭数が居た方が賑やかで良い。勿論隼鷹が構わないならだが」

 

「あたしが断るわけないじゃん! もちろんいいよ!」

 

「流石隼鷹や! 話分かるでぇ♪」

 

「おねーちゃん大好き―♪」

 

「や、お姉ちゃんって誰よ?」

 

「あははー。おねーちゃんかぁ」

 

まんざらでもなさそうな顔で隼鷹は瑞鳳の言葉に頬を緩めた。

 

「まんざらでもなさそうね」

 

「うちは言ってないで!」

 

「何をムキになってるんだ?」

 

「さぁ?」

 

「元々はあんたが原因やろ!」

 

(やっぱりか)

 

「まぁまぁ、せっかくのめでたい席なんだからさぁ。今はそ・う・い・うのは無しにしよーよー」

 

「ぐぬぬ……」

 

「大佐、わたし注いであげる!」

 

「ん? ああ、ありがとう。……瑞鳳、そう言えばお前、酒が飲めるのか?」

 

「……それってどういう意味?」

 

瑞鳳は酌をしていた手を不意に止めて提督はジトっと睨んだ。

 

「……飲めるみたいだな。すまん他意はない」(しっかり酔ってるな)

 

「ほんとー?」ジー

 

「うちも飲めるで!」

 

「いや、何かお前は最初からそう見えているから気にはしていないぞ」

 

「それこそどういう意味や!?」ガーン

 

「隼鷹、ん」

 

「とと……サンキュー♪」

 

 

それから一時間ほど後。

 

「すー……すー……」

 

「ん、む……にゃ……」

 

提督や隼鷹達のペースに着いていけなかったら龍驤と瑞鳳は程なくして静かな寝息を立てていた。

 

「くすす……やっぱり見た目通りって事かしら。二人して丸くなっちゃって」

 

「ただそんなに酒に強くなかっただけじゃないのか?」

 

「まぁ確かに駆逐艦でもお酒飲む子いるからねぇ」グビッ

 

「お前は飲み過ぎだ」

 

「これでも自重してるって」

 

「あんたは飲まれているのか飲んでいるのか分かり難いのよ」

 

「ふっ、それは言えてるかもな」

 

「そりゃ気分良く酔いたいときは飲まれるけどさぁ……んぐ……っぷはぁ」

 

「焼酎だからって調子に乗っちゃダメよ? 大佐が来る前はビールとかも飲んでたんだから」

 

「チャンポンか」

 

「気持ちよく酔えるんだけどなー……なんであれすると寝起き最悪なんだろう。納得いかない!」

 

「あんたみたいなのを反省させる為じゃない?」

 

「自然の摂理ってやつだろう。諦めて享受しろ」

 

「自然にまであたしは束縛されていたのかぁ、世の中無常だねぇ……」

 

「改二になっても酒癖は改善されないみたいだな」

 

「それくらいの効果あってもいいのにね」




隼鷹の改二、改二になって少しはあの特徴的なハネっ毛が落ち着くとかと思いきや相変わらずでしたねw

ストレートな髪型の隼鷹見てみたいなーと時々思ったりしてます。

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