提督の憂鬱   作:sognathus

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新人組の交流第2弾。
次の主役は初風と春雨です。


第12話 「交流②」

初風「初風、春雨、改めて大佐に挨拶に来たわ」

 

春雨「来ました!」

 

提督「ん、わざわざありがとうな。まぁ座って楽にしててくれ」

 

初風「ええ、ありがとう」

 

春雨「失礼しますね」

 

提督に促された二人は部屋に置いてあるソファーに座った。

 

提督「ああ」

 

カリカリカリ……

 

提督「……」

 

初風・春雨「……」

 

カリカリカリ……

 

提督「……」

 

初風・春雨「……」

 

カリカ――

 

 

初風「ねぇ」

 

放置に耐えかねた初風が声をあげた。

 

提督「ん?」

 

初風「私達は座ってる間何をしてたらいいの?」

 

春雨「は、初風さん」

 

提督「ああ、すまない。まだ執務が残っていてな。気が利かなくて悪かった」

 

初風「えっ、いや別にそこまで言わなくてもいいけど……」

 

春雨「ご、ごめんなさいっ」

 

提督「いや、気にするな。これは俺が悪かった。そうだな……何か本でも見るか?」

 

初風「何があるの?」

 

提督「兵法書や戦史書といった専門書もあるが、一応少ないが漫画もあるぞ?」

 

初風「あらそう。なら私は戦史書を――」 春雨「わたしは漫画がいいです!」

 

初風「 」

 

提督「分かった。じゃぁこれを読んで少しだけ待っていてくれ。もう直ぐ終わるからな」

 

提督「ほら、初春」スッ

 

初風「あ、ありがとう……」

 

提督「春雨も、これでいいか? ちょっと男性向けの漫画だが」

 

春雨「わぁ、ありがとうございます♪」

 

 

初風「……」ペラッ

 

春雨「わぁ」

 

初風「……」ピクッ

 

提督「面白いか?」

 

春雨「はいっ。確かに最初はアクの強い画風だと思いましたが、読んでみるとセリフ回しが独特でちょっとカッコイイし、ギャグもワザと適当に描いてるところなんて凄く面白いと思いました」

 

提督「そうか。それは良かった」

 

春雨「この漫画、山口提督も出るんですね!」

 

提督「ん? ああ、歴史上の人物が異世界で戦うというような感じの漫画だからな」

 

春雨「へぇ~、日本の漫画だから歴史上の人物も日本字が多いのかな。ふふふ♪」

 

初風「……」チラッ

 

春雨「?」

 

初風「っ」バッ

 

提督「……」

 

 

カリカリ……

 

初風「……」チラッ、チラッ

 

春雨「~♪」

 

初風「……」グス

 

提督「……」

 

提督「初風」

 

初風「な、なに!? ちゃ、ちゃんと読んでるわよ!? お、面白いし!」

 

提督「なら丁度いい。春雨と同じ漫画になってしまうが、これを読んでみないか? 一応、歴史ものだ。作者がよくリサーチして描いてるから結構面白いとおもうぞ? 勉強にもなる」

 

初風「え……?」(大佐もしかして……)

 

提督「どうだ?」

 

初風「そ、そうね。勉強になる漫画というのも興味深いし、読んでみようかしら」

 

春雨「わぁ、どんな漫画? 読み終わったらわたしが読んでるのと交換してくれませんか?」

 

初風「! し、仕方ないわね。いいわよ」

 

春雨「ありがとうございます♪」

 

 

初風「……へぇ」

 

春雨「ぷっ、くすす」

 

提督「ふむ」コク

 

カリカリ……

 

初風「大佐、大佐」クイクイ

 

提督「ん?」

 

初風「これ、これって本当? こんな昔にもう地球が丸いって考えてた人がいたの?」

 

提督「ああ、当時は異端とされていたがな。だが理論的に考えれば当然行きつく答だ。恐らく一般人の中にも気付いてた人はいただろうが、賢い人程異端扱いされたくないから気付いてないふりをしていただろうな」

 

初風「へぇ~」

 

提督「面白いか?」

 

初風「うん、予想以上に。戦争の描写ばかりの淡々とした歴史ものかと思ったら、意外にそうでもなかったもの。トリビア的な要素がもあって読んでて飽きないわ」

 

提督「そうか。良かった」ポン

 

初風「あっ……」

 

提督「む、すまない。無意識とは言え気易かったな」スッ

 

初風「あ、ううん。いいの、構わないわ」

 

提督「そうか。ありがとう」

 

カリカリ……

 

初風「えっ」

 

提督「ん?」

 

初風「あ、な、なんでもないっ」カァ

 

提督「?」

 

春雨「……」ジー

 

トコトコ

 

春雨「大佐っ」

 

提督「ん? どうした?」

 

春雨「わたしも……春雨も撫でて貰えますか?」

 

初風「!」

 

提督「ん? ああ、まぁ別にいいが……」

 

ナデナデ

 

春雨「ん……えへへ♪」

 

初風「……」

 

パタン

 

提督「ん? 初風、もう読み終わったのか? 早いな――」

 

トコトコ

 

初風「……」スッ

 

提督「初風?」

 

初風「そ、その……素直になる事にしたの。大佐本当にいい人そうだし……。あ、あまり見栄を張るのも……損になっちゃうかなって」

 

春雨「初風さん……」

 

初風「だからその……お、お願いできるかしら?」ジッ

 

提督「……」

 

ポン

 

初風「ん……」

 

提督「これでいいか?」ナデナデ

 

初風「うん……。ね、もうちょっとしててくれる?」

 

提督「いや、あまりするのもな。仕事がもう少しで終わるからそれまでは……」

 

ギュッ

 

提督「ん」

 

初風「あっ。ご、ごめんなさい」パッ

 

クイクイ

 

提督「……む」

 

春雨「あ、あの。わ、わたしもできたらもう少し……」

 

初風(春雨……協力してくれた……?)

 

提督「……分かった。だが、これが終わったら暫く大人しくしてろよ?」

 

春雨「はい!」

 

初風「分かったわ!」

 

 

ナデナデ

 

初風「ん……♪」

 

春雨「んー……ふふふ♪」

 

提督(まるで猫をあやしてる気分だ)




初風のような気が強い駆逐艦ってどうしても一度はこんな感じで甘く書いてしまうんですよね。
ま、そこは新しく手に入れた子の中でも割と気に入っている方なんで、少し贔屓目に見て貰えたらなと思いますw

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