提督の憂鬱   作:sognathus

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この鎮守府では仲間になったばかりの艦娘と提督との交流の時間を設けるのが暗黙のルールとなっています。
今回は舞風と早霜。


第10話 「交流①」

舞風「大佐ー、いるー?」

 

提督「ん、どうした」

 

舞風「えへへー、暇だから来ちゃったー」

 

提督「暇だから……」

 

舞風「あ、駄目だった? そういうのここでは禁止?」

 

提督「いや、今は休み時間だしな。それに良識の範囲であれば提督と艦娘との交流に特に規則は設けていない」

 

舞風「良識の範囲? 曖昧な例えだとわたし分かり難いから具体的に教えて欲いナー?」

 

提督「単純だ。過激なスキンシップだ」

 

舞風「あー、大佐が男だから?」

 

提督「それもあるし、一応俺達は軍人だからな。国の守り人として、公務員としてある程度は市民の規範でならなくてはな」

 

舞風「はぁ、堅苦し……や、真面目なんだねぇ」

 

提督「そこまで堅物のつもりはないぞ。さっきも言った通り良識の範囲なら問題……オーケーだ」

 

舞風「あ……」

 

提督「解ったか? 今みたいにお前が砕けた口調で俺に話し掛けても、それが場の雰囲気を壊したり問題となる可能性がなければ、俺はとやかく言うつもりはない」

 

舞風「なるほどー、それは……」

 

早霜「良い事を聞きました」

 

舞風「ひっ!?」

 

提督「早霜、いきなり出てくるな」ヌッ

 

早霜「あら? 私はずっと大佐の椅子の近くにいたではありませんか?」

 

提督「そうだが、舞風が全く気付いてなかった」

 

舞風「えっ、今までずっと居たの? だったら『ここに居ますよー』くらいのアピールあっても良かったのに」

 

早霜「ごめんなさいね。大佐のお側があまりにも居心地が良かったから、つい失念してしまっていたわ……」

 

提督「……そこは絨毯の上とは言え、床なんだが?」

 

早霜「はい、だから?」

 

提督「そこにずっと座っていて居心地が良かったのか?」

 

早霜「大佐の側ですから」

 

提督「……舞風もそうだが、なんでここに来たばかりのお前がもうそんなに俺に好意的なんだ? 艦娘だからか?」

 

早霜「……そうですね。艦娘だから、大佐に惚れてしまいました……」

 

提督(しまった。墓穴を掘ったか)

 

早霜「というのは冗談ですが好意を持っているのは本当ですよ?」

 

提督「何故?」

 

早霜「あの時……大佐が私達を迎えてくれた時に掛けてくれた言葉に私、感激してしまいまして」

 

提督「……」

 

早霜「……」

 

提督「ん? それだけか?」

 

早霜「はい。いけませんか?」

 

提督「……いや、もういい。好きにしろ」

 

提督(こいつの押しの強さは加賀や榛名に通じるものを感じるな。何故大人しかったり冷静な奴に限ってこうも恋路には直情的なのか)

 

舞風「……はぁ」

 

提督「ああ、すまない。舞風は暇を潰しに来たんだったな。何か食べて行くか? 軽く作ってやるぞ?」

 

舞風「え? ああ……それもいいけど、なんかなー」

 

提督「? どうした?」

 

舞風「やー、なんかさっきの大佐と早霜のやりとり見てたらちょっとねー」

 

提督「?」

 

トコトコ

 

提督「舞風?」

 

舞風「よいしょっと」

 

舞風は提督の近くまで歩み寄るとおもむろに、椅子によじ登り彼の膝に座った。

 

早霜「!」

 

舞風「えへへー、別に嫉妬ってわけじゃないかもだけど。なんか見てたら羨ましくなっちゃってねー。これくらいしてもいいでしょ?」

 

提督「それだと何も作ってやれないぞ?」

 

舞風「いいのいいの、今はこれで。このままなんかお話しよー」

 

早霜「……舞風さん」

 

舞風「ん? なにー?」

 

早霜「この早霜、貴女の積極的な行動に少し感銘を受けてしまいましたわ。だからその……」

 

舞風「うんっ。代り番こしよっ」

 

早霜「! ええっ」パァッ

 

提督「俺の了承を得るつもりはないのか?」

 

舞風「えっ、断わるの?」

 

早霜「大佐……」

 

提督「お前たち、そういうのはズルイとは思わないか?」

 

舞風「艦娘でも一応女の子だしねー。で、いいでしょ?」

 

早霜「お願いします、大佐……」

 

提督「初めからそう言ってくれ。いいだろう」

 

舞風「さっすがー、男前ー!」

 

早霜「素敵です……」

 

提督「煽てても何もでないぞ」

 

舞風「出せるでしょ? 何か面白いお話してよー」

 

早霜「そうですね。私も大佐のお話聞きたいです……」

 

提督「話か……そう言われると急には思いつかないものだな」

 

舞風「じゃぁ、質問してあげるよ! 好きなものは何ですか!?」

 

提督「平穏だ」

 

舞風「なにそれ!?」

 

早霜「それでは私からもさせてください。大佐は私の事が好きですか?」

 

提督「時間と仲良くなれば、今よりかは好意を持つかもな」

 

早霜「ズルイです……」

 

舞風「ならならっ、今度はー」

 

提督「俺は質問されるだけか?」

 

舞風「私達が飽きるまでね!」

 

早霜「私も大佐の事もっと知りたいので……」

 

提督「……仕方ないな。まぁいいだろう」

 

舞風「ありがとう! じゃあねじゃあね、次はー」

 

早霜(聞きたいことが有り過ぎて困っちゃうわ……)

 

 

~執務室前廊下

 

不知火「……」ジー

 

金剛「ドウ? 新しい子達と大佐は?」

 

不知火「非常に……非常……」ギリッ

 

伊勢「あー、うん。もう答えなくていいよ」

 

翔鶴「今回仲間に入った子達は今までの中で最多ですからね。全員の交流が終わるまでは私達も少し我慢しないとね」

 

島風「うー! その替り落ち着いたらいっぱい構ってもらうんだからね!」

 

加賀「それ乗ります」

 

日向「私もな」

 

天龍「表情一つ変えずに即話に乗るのな……」

 

愛宕「ふふ、妬けるわねー♪」

 

長門「ほどほどにしておけよ? ほら、もう直ぐ訓練の時間だ行くぞ」

 

「ハーイ」

 

 

武蔵「……」ジー

 

Bis「……いいなぁ」ボソ

 

長門「おい、武蔵、マリア行くぞ」

 

武蔵「はっ!?」

 

Bis「え!?」

 

長門(こいつらが一番心配な気がするな)




作中にも書きましたが、今回初めて手に入れた艦娘過去最多でした。
しかもまた個性は揃いときたものです。
お蔭でネタには困りませんが、育成をほぼ演習と遠征に依存している筆者にとっては結構悩ましい状況だったり……。

まぁ贅沢な悩みなんですけどねw

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