陽炎「ただいま!」
不知火「戻りました」
隼鷹「お疲れさーん!」
飛鷹「戻ったわよ」
摩耶「帰投したぜ!」
鳥海「攻略完了しました!」
北上「ま、当然だけどねー。た・だ・い・ま」
愛宕「ぱんぱかぱーん! ぶいっです♪」
提督「皆、よく戻って来た。ご苦労だった」
提督「中佐も、すまないな。助かった」
丁督「気にすんなって。それよりこいつらを褒めてやれ。俺達は補給を受けたらまた支援に出るぜ」
提督「いいのか?」
丁督「俺とお前の仲だろ? これ以上の言葉が必要か?」
提督「……本当にすまないな」
丁督「いいって事よ。そん代わり補給はしっかりさせて貰うぜ?」
提督「ああ、勿論構わない。……頼りにしている」
丁督「おうっ、それでいい。んじゃ、また後でな」ヒラヒラ
中佐はそういうと自分の指示を待つ部下の向かう為に早々に部屋を出て行った。
バタン、扉が閉まる音と同時に不知火が提督に質問をした。
不知火「MI作戦の方はどうですか?」
提督「今のところは、問題ない。お前達が……お前達の搖動のお蔭だ。あと、中佐の支援もな」
陽炎「じゃぁまだ遂行中なのね?」
扶桑「そうよ。今はMI島の攻略に向けて前進しているところね」
隼鷹「そっか。皆頑張ってるねー」
飛鷹「私達だってこんなに頑張ったんだもん。主力が頑張らなくてどうするのよ」
北上「そだね。ま、あのメンバーならいけるよきっと」
愛宕「豪華なメンバーだものねー。でも私達もその内必ず同じ所に行くわよ♪」
摩耶「あったり前だっつーの! 今回の作戦、結局支援に最後は助けられりまったが、かなり手応えを感じたしな!」
鳥海「そうね。自分の実力に少し自信が持てわよね♪」
提督「皆……本当にご苦労だった。作戦が終わるまで部屋で待機して休んでいていいぞ」
隼鷹「あ、その前に大佐」
提督「ん?」
不知火「少々報告が」
提督「なんだ?」
北上「んふふー、2つあるんだけど1つはまぁ直接確認してもらった方がいいかな」
陽炎「いい? じゃ、入れるわね。さ、入ってらっしゃい」
提督「?」
陽炎がそう言うと、報告の内容をイマイチ予測できずに何事かと訝しんでいた提督の前に見知らぬ少女が部屋に入ってきた。
トコトコ
春雨「は、春雨です……。く、駆逐艦の白露型……五番艦です」
提督「……この子は?」
愛宕「ALの主力をやっつけた時に一人だけ艦娘に戻った子がいたんです」
麻耶「で、回収して来たってわけ」
鳥海「大佐に是非、彼女の保護とこの鎮守府への配属をお願いしたく……」
提督「ふむ……」
提督はそう言うと静かに春雨の前に歩み寄って彼女に問いかけた。
提督「春雨、と言ったね?」
春雨「は、はい」
春雨は提督に話し掛けられて緊張した面持ちでビクリと反応した。
提督「そんなに緊張しなくていい。君は深海棲艦だったのかな?」
春雨「は、はい。多分……そうです。ごめんなさい。それだった時の事は全然憶えていないんです……」
春雨は申し訳なさそうな声で提督にそう言った。
その顔はまだ艦娘に戻れた現実に慣れていない所為か、不安一色だった。
提督「そうか。まぁそんなに気にする事はない。難しいかもしれないが、あまり気負わずに楽にしてくれ」
春雨「は、はい……」
提督の言葉を受けて安心した春雨は、少しだけ震えていた身体から強張りが抜けるのを感じた。
提督「それでいい。では、此処に来て早々だが俺から君に一つ頼みがあるんだが、聞くだけ聞いてくれるか?」
春雨「は、はい。何でも言って下さい!」
提督「はは、別に君に助けた見返りを要求するわけじゃない。頼みは2つだけだ。一つは先程鳥海たちが言ったが、君をこれから我が鎮守府で保護させて欲しい」
春雨「保護……あ、ありがとうございます!」ペコリ
提督「礼儀正しい子だな。では2つ目だが、俺はこれから君を我が鎮守府の一因として迎え入れる事ができるように本部に願い出てみるつもりだ。それで、あわよくば許可が取れたら……」
春雨「……」
春雨は提督の話を半ば放心した状態で聞いていた。
拾われたばかりの身寄りのない自分をここまで暖かく迎えてくれるとは思っていなかったからだ。
提督「君を正式に我が鎮守府の大切な一員として迎え入れさせてし欲しい」
春雨「え……こ、此処にですか?」
提督「そうだ。聞いてもらえるか?」
春雨は提督のその言葉を聞くと、驚きに見開いていた目から涙を溢れさせた。
春雨「……っ!!」
提督「不安だったかな? ならどうか安心してほしい。この頼みを聞いて貰えれば俺は提督として最善を以て君を――」
春雨「そ、そんな事言わないで下さい!」
提督「……ん」
春雨「う……ぐす、……こそ」
提督「ん?」
春雨「こちらこそお願いします! どうかわたし、春雨を提督、大佐の下に置いてください!」
春雨は涙で赤くなった目を恥じることも忘れ、感謝の言葉をハッキリとした声で提督に伝え、彼の提案を快諾する意を示した。
提督「そうか。ようこそ我が鎮守府へ。これから宜しく頼む」
春雨「はい! 宜しくお願いします!」
北上「おめでとー、よろしくねー♪」
陽炎「よろしく! 陽炎よ!」
春雨が提督の提案を快諾すると同時に、今までその様子を見守っていた北上達が暖かい言葉で彼女を迎えた。
提督(……感情抑制装置は、深海棲艦からの回収だから無いとは思うが、一応叢雲たちに調べて貰おう。もしなければ、ダミーを用意させるくらいはさせた方がいいかもな)
提督(装置を作った奴らなら必ず報告の時点で装置の有無を確認したがるはずだ。回収の経緯もある程度改変した方がいいかもしれない。報告の前に一度親父に相談してみよう)
提督が春雨たちの様子を眺めながらそんな事を考えていると、誰かが自分の服の袖を引っ張っている事に気付いた。
提督「うん?」
隼鷹「そいでさー、報告の2つ目なんだけど」
提督「ああ、そういえば2つあるとか言ってたな。なんだ?」
隼鷹「ん。今回の作戦の成功でさ」
提督「ああ」
飛鷹「大淀さんの実動部隊への参加の許可がもらえるわよ」
提督「大淀の……」
扶桑「ああ、そう言えば作戦の概要書に一定の戦果を挙げた人にそんな報酬があったような」
鳥海「大佐、これはチャンスですよ」
摩耶「大淀の奴にこの事を伝えて喜ばせてやれよ! 大佐が寝ている間、あいつ半分その事を諦めてたんだぜ?」
ここぞとばかりに鳥海たちが提督に決心させる為に畳み掛けてきた。
提督「……そうだな。誰か大淀が何処にいるか知っているか?」
愛宕「この時間帯なら鳳翔さんと明日の朝食の仕込みをしているんじゃないでしょうか?」
提督「そうか。皆、悪いが少し行ってくる」
北上「あ、もうあの話したの? うん。頑張ってねー」
提督「ああ」
提督は短くそう受け応えると、足早に部屋を出て行った。
MI作戦の話は大淀の話が終わった後にしようかと思います。
……なんか使用キャラとしてのグラに違和感を覚えたのは自分だけでしょうか。