提督の憂鬱   作:sognathus

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いよいよAL/MI作戦が始まります。
ミーティングも何時もより緊張感が立ち込めているようです。


第3話 「開始」

提督「ではこれより作戦の説明と指示を行う」

 

提督「皆は既に知っていると思うが、今回の作戦は総力戦の構えだ。戦力を二つに分けて同時に行動し、目的の達成を図る」

 

提督「まず搖動が主な目的なAL方面軍だが、搖動が目的である以上こちらに主力を割くことはできない。よって第二艦隊以下の第二戦力にここは奮闘してもらう」

 

提督「先ずは駆逐艦だ。陽炎、不知火、いけるか?」

 

呼ばれた二人は背筋を伸ばして返事をした。

 

不知火「愚問です。どうぞお随意に使い潰し下さい。2軍とは思えぬ戦果をご覧にいれてみせます」

 

陽炎「ここでわたし達を選ぶとは良いセンスね! 任せて!」

 

提督「結構。次に重巡。摩耶、鳥海、愛宕、頼めるか?」

 

鳥海「頼めるかなんて……大佐の頼みなら勿論です!」

 

麻耶「おうっ! 待ってたぜ! あたしの活躍に期待してなっ」

 

愛宕「ふふふ~。ひっさりぶりの出番ですね~♪ がんばります♪」

 

難しい作戦だというのに普段から活躍できる機会に恵まれてない所為か、三人とも嬉しそうな顔で応じた。

 

提督「頼もしいな。次は空母。隼鷹、飛鷹、どうだ?」

 

飛鷹「えっ私!? ……」

 

提督に名前を呼ばれた飛鷹は心から意外そうな声で驚きの声を上げた。

 

提督「ん? 不安か? なら他の者でも……」

 

飛鷹「違うわ! 嬉しいのよ! やってやろうじゃない!」

 

提督「そうか、ありがとう。隼鷹は?」

 

隼鷹「あたしと飛鷹を組ませる時点で勝ちは保障されてるよっ! 勿論征くよ!」

 

自信のこもった声で返事をする隼鷹、久しぶりの飛鷹とのコンビに燃えているようだった。

 

提督「頼んだぞ。 ……そして最後は、北上、お前だ」

 

北上「やっと北上様の出番ってわけねー。ま、期待してていいよ。間違いなく沿うから」

 

いつもの飄々とした調子で受け応える北上だったが、どことなく声が僅かに嬉しそうに弾んでいるように聞こえた。

 

提督「ふっ、相変わらずの自信だな。分かった、期待させてもらおう」

 

提督「以上の者をAL方面攻略艦隊とする。何か質問や異議のある者は?」

 

不知火「道中の支援はありますか?」

 

提督「ない。支援は全て敵の主力に対する決戦支援のみに力を注ぐ。よって主力までの道のりは各自集中力の強化によって自力で乗り切ってもらう」

 

不知火「そうですか……」

 

提督「すまないな。こればかりは資材の関係で仕方なかった。だが、無理はしなくていい。危険だと判断したら任意での撤退を許可する」

 

不知火「ご配慮ありがとうございます。ですが、無用な心配です。支援がないと聞いて俄然やる気が出ましたので……ふふ」

 

陽炎(こんなに楽しそうな不知火初めてみるなぁ。ま、それはわたしもだけど♪)

 

提督「他に質問はないか? では、AL作戦の説明は以上とする」

 

 

提督「MI作戦は敵主力の撃破だ。故にこちらも主力で行く。AL方面の敵の主力も強力だろうが、こちらは間違いなく我が鎮守府最高の戦力で挑まなければ危険な相手だろう」

 

提督「こちらも道中の支援は行わず、支援は決戦のみとするが、その替わり戦力の出し惜しみはしない。要撤退レベルの被害を受けた者が出たら直ぐに交代の者を出せるように万全の体制を敷く」

 

提督「MI方面攻略艦隊に参加する者については今更言うまでもないか。それぞれの艦種を代表して意気込みを聞かせて欲しい。加賀?」

 

加賀「お任せください」

 

提督「それだけか?」

 

加賀「これ以上の言葉は必要ないと判断しました」

 

短い言葉だった。

だが、加賀と共に並ぶ赤城、飛龍、蒼龍の顔は彼女の言葉に込められた意味を解しているのか、全員頼もしい笑みを浮かべていた。

 

提督「……そうか。頼んだぞ」

 

加賀「了解しました」

 

提督「次はなg」

 

Bis「任せてちょうだい! 大佐の妻としてきっちりと――」

 

金剛「ちょっとマリア、ズルイよ!?」

 

ギャーギャー

 

提督「……比叡」

 

比叡「あっ、は、はい!?」

 

自分に声が掛かるとは思ってなかったのか驚いた表情をする比叡。

そんな彼女の頭に提督は優しく手を置いて喋った。

 

ポン

 

比叡「あ……」

 

提督「あの危なっかしい姉や義姉の事を頼んだぞ」

 

比叡「あ、はい! お、お任せください!」

 

提督「……よし。長門」

 

長門「ん……何しろ帝国海軍の旗艦と象徴のコンビだ。心配するだけ無駄というものだろう。なぁ武蔵?」ニヤ

 

武蔵「当然だ」ニッ

 

提督「……流石だな。宜しく頼む」

 

提督「利根? 大丈夫か? 震えているが」

 

利根「……しょ、正直興奮もするが……ちょ、ちょっとだけ怖くてな……」

 

筑摩「姉さん……」

 

利根「な、情けなく見えるかもしれんが。心配無用じゃ。必ずやり遂げ――」

 

ギュッ

 

利根「あ……」

 

提督は最後までは言わさず、小刻みに震える利根の体を優しく抱きしめた。

 

提督「怖がるのは恥じゃない。むしろ当然だ。だが、どうかその恐怖を乗り越えて頑張って欲しい。大丈夫だ、皆がいる」

 

利根「大佐……」グス

 

筑摩「そうですよ。姉さん! 私たちがいます!」

 

鈴谷「ま、ここは鈴谷達を頼って欲しいわけでありましてー。ね? 神通ネーサン」

 

神通「え? ね、姉さんって……あの、私軽巡なんですが……」

 

三隈「そんなの関係ないですわ! 神通さんは頼もしい方ですもの」

 

提督「そういう事だ。利根、神通頼んだぞ」

 

利根「う……ぐす……。ふぅ……うむ! 任せるのじゃ!」ニコッ

 

神通「もう……仕方ないですね」ニコッ

 

提督「大丈夫そうだな。奮闘に期待する」

 

提督「駆逐勢は特に大所帯だ。改二組は勿論、今回は島風と雪風にも参加してもらう。行けるか?」

 

名前を呼ばれた島風と雪風が直ぐに元気良く反応する。

 

島風「当然だよ! 早く征きたい!」

 

雪風「雪風の『幸運』を見せる時が来ましたね!」

 

続いて改二組で最高レベル保持者の響がいつも通り静かに進み出てきた。

 

響「……作戦が終わったらご褒美だよ?」

 

提督「ああ、分かった。期待してていいぞ」

 

 

提督「これで全員だな。残りの者は鎮守府と教育生の守りに就いてもらう」

 

提督「それでは諸君、我が鎮守府始まって以来の大規模な作戦だが、諸君らなら必ず完遂できるもの信じ、ここに作戦の発令を宣言する」

 

提督「第二次AL/MI作戦開始せよ」

 

全員「はっ!!」




通常に戻るとか言っておきながら遅くなりましたね。
やっぱ日常ネタ向きなんだろうなぁ俺……。

でもエタらないので、そこは安心して頂けたらなぁと思います。

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