提督の憂鬱   作:sognathus

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司令部の中将の経歴を何となく考えて浮かんだ話(?)です。



第56話 「経歴」

大本営海軍本部第三司令部司令官の中将は、他の司令部を務める司令官とは違って唯一人最初から軍人としてではなく、公安の刑事としての実績が認められて海軍に提督として起用された異色の経歴の持ち主。

 

本人は当初軍人へと転職に難色を示したが、その起用自体がお上からの勅令だったので公務員だった彼は本気で逆らう気にはなれなかった。

これは海軍にとっては幸運だった。

 

もう一つ転職を決意した理由としては元居た職場との確執だった。

勤務姿勢に一部難ありとされつつもその仕事ぶりと能力には一定以上の評価があった彼は、保有するモラルもまた一定以上のものがあった。

 

やる気がない風を装いつつも、職場の腐敗を不快に思っていた彼は徐々にではあるが、その腐敗を明るみに出し追い詰めていった。

それが上層部との確執を決定的にし、ほぼ解雇同然の閑職への異動の一因となった。

海軍からの誘いがあったのは正にその職場に移されんとする直前だったのだ。

 

そんな事情もあって完全に本人の意思によるものとは言えないものの、軍人へと転職した彼は、その持ち前の“一定以上の能力”で着実に実績を積んでいった。

そして、その実績に対する評価はいつのまにか本部への司令官を任される程になっていた。

 

しかし、ここで彼にある悲劇が起こる。

それは、信濃事変と言われるとある事件だ。

晴れて本部の司令官となった彼はあろう事か、自分の専属艦として配属された秘蔵艦の信濃に対して冗談でお茶汲みに任命してしまったのだ。

当然信濃の逆鱗に触れた中将は、絶対零度の彼女の笑顔の下、“凄惨な仕打ち”を受ける事となり、それが以降の(悪い意味で)上司と部下の関係とは思えぬ関係を構成する決定打となってしまった。

 

そして現在に至る。

 

 

彼女「知りませんでした。中将殿にそんな過去が......」

 

老体「なぁ? 面白いだろう? 儂もあいつを見た時妙な奴だとは思っていたが......ぷっくくく、あはははは! 妙ではなく面白い奴だったわけだ!」

 

大将「おい、あんまり大口で笑うな。カスがこっちに飛ぶ」

 

中将「いやー照れますねー」

 

元帥「中将、言われっぱなしでいいのかね? ここは一つガツンと反撃でもしないか?」

 

中将「いやぁ、私にはそんな反論できる取り得なんて」

 

老体「おいっ、中年とは言え、儂らより一回り以上も若い癖に何を言うか! ほれっ、この老いぼれの心に響く一喝でも言ってみろ!」

 

中将「いやぁ、そんなのありませんって......」パクパク

 

老体「かぁ、何を情けない事を! いいからさっさと何か......て、おい。お前何を食ってる? それ、儂のツクネじゃないか?」

 

中将「え?」パクパク

 

老体「ああっ、やっぱり儂の......! て、ああっ!? 言ってる傍から完食だと!?」

 

ゴクン

 

中将「いや、名誉中将殿ごちそう様です」アリガタヤー

 

老体「ふざけるなぁぁぁ!!」

 

大将「うるさいっ! カスが飛ぶと言ってるだろうが!!」

 

元帥「お、おい。二人とも落ち着け!」

 

彼女「あ、あははは」(なんなのこの状況......)

 

 

――数刻後、第三指令室

 

中将「ただいまー」

 

信濃「おかえりなさい」

 

中将「はいお土産」

 

信濃「そこに置いておいて。後で頂くわ」

 

中将「まだ仕事やってたの? 偉いなー手伝おうか?」

 

信濃「飲み会に行くからって一日分の仕事を無理して片付けた人が何言ってるのよ。あなたこそもう休んだ方がいいわ」

 

中将「そ?」

 

信濃「ええ、ご遠慮なく」

 

中将「......よっこらせっと」ギシッ

 

信濃「ちょっと......」

 

中将「まぁまぁ」

 

信濃「......」

 

中将「さっさと終わらせて食べよう」

 

信濃「そうね」

 

中将「うん」

 

信濃「ね」

 

中将「ん?」

 

信濃「ありがとう」

 

中将「どういたしまして」ニッ




なんかここまで書くと中将のモデル分かる人にはまる分かりでしょうね。
いやぁ、それにしても本部の人たち大分性格分けができてきました。
後は......総帥かぁ。

うん、それは後で考えよう(オイ

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