提督の憂鬱   作:sognathus

233 / 404
長門がジムでトレーニングをしています。
陸奥はその横で特に何もせず、その様子を見ています。
やがてその日の日課が終わったのか、段々ペースを落としてきた長門に陸奥が離し掛けます。


第48話 「トレーニング2」

長門「......っ。......ふっ」

 

陸奥「精が出るわねぇ」

 

長門「......陸奥、お前も鍛えに来たか?」

 

陸奥「いや、わたしは別にいいわよ」

 

長門「......そうか? ......ふっ。鍛えるのも......ふっ、プロポーションの維持には有効だぞ」

 

陸奥「筋トレって苦手なのよねぇ」

 

長門「ふぅ......。同じことを繰り返すだけだ。難しい事じゃないぞ?」ゴトッ

 

陸奥「そうだけど。長続きしないって言うか......」

 

長門「汗を流した後のシャワーや水分補給は最高だぞ? ごく......ごく......ぷはっ」

 

陸奥「うーん......」

 

長門「そして何より......」

 

長門「スタイルが良い方が大佐だって嬉しい筈だ」

 

陸奥「う、それは......」

 

長門「陸奥、少し動くな」

 

陸奥「え? 長門? あ、やっ......」

 

むにゅ

 

長門「胸は......ふむ、相変わらずだな」

 

陸奥「ちょ、ちょっとぉ」

 

むにっ

 

長門「む、腰は......ふむ」

 

陸奥「や、やめてってば」

 

もみっ

 

長門「ん、尻は胸と一緒か。張りがあるな」

 

陸奥「っ、はぁ。もう、いきなりやめてよ」

 

長門「すまんすまん。乳と尻は良い感じだったぞ。何もしなくてもあの状態を維持しているとは大したものだ」

 

陸奥「別に、何もしてないわけじゃないわ。最低限のエクササイズくらいはしてるもの......」

 

長門「うむ、それは重畳だな。だがな」

 

陸奥「う......腰?」

 

長門「そうだ。僅かにだが余分なに――」

 

陸奥「そ、それ以上は言わないで!」

 

長門「ここが油断すると一番付き易いからな」

 

陸奥「分ってる。分ってるんだけどね」

 

長門「その部分だけでも落とすトレーニングしてみてはどうだ?」

 

陸奥「長門は何かしてるの?」

 

長門「私? いや、知らん」

 

陸奥「は?」

 

長門「私は、私が好む筋トレを毎日やってるだけだ。その結果脂肪がついてないだけなんじゃないか? 部分的な脂肪を落とすためのトレーニングは私も分らないな」

 

陸奥「言いだしておいてそんな適当な......」

 

長門「いいじゃないか。私と同じメニューをずっとこなせばその内こうなるぞ?」スラッ

 

陸奥「だから続けるだけの根性がないって言ってるじゃない」

 

長門「我儘な奴だな。なら大佐との夜の運動をもっと活発にやってみてはどうどうだ? アレは特に腰を使うからな?」ニヤ

 

陸奥「ちょ、ちょっと」カァ

 

長門「ははは、冗談だ」

 

陸奥(絶対に冗談じゃなかった)

 

長門「だが、そうなるとな。やっぱり部分的に鍛えるしかないわけだが」

 

陸奥「誰か詳しい人いないかしら」

 

長門「いや、いるぞ。その道のプロが」

 

陸奥「いるの!? 最初からその人紹介しなさいよ!」

 

長門「いや、でもな。その人物は厳しいんだ。私だってちょっと挫けそうになった事があるんだぞ?」

 

陸奥「長門が? そ、それは怖いわね......」

 

長門「だがまぁ、部分的なものだからな。全メニューこなすわけじゃないし、案外陸奥でもいけるかもな。紹介してやろうか?」

 

陸奥「うーん、それじゃ話だけとかダメ? できそうならやる」

 

長門「いいと思うぞ。やるのは本人なんだし。それじゃ、ちょっと待っていろ」

 

バタン

 

 

不知火「どうも。ご紹介に預かりました不知火です」

 

陸奥「......長門のトレーナーって不知火だったの」

 

長門「ああ、そうだ」

 

不知火「で、早速ですが腰のに――」

 

陸奥「そ、そうです!」

 

不知火「......なるほど。それじゃこれをやってください」カラン

 

陸奥「これは......フラフープ?」

 

不知火「そうです。セット型のエクササイズもあるのですが、これが一番単純で続けられると思います」

 

陸奥「な、なるほど。それでどれくらいやればいいのかな」

 

不知火「泣くまでです」

 

陸奥「え?」

 

長門(うわ......)

 

不知火「お腹が熱くなって痛くて泣きそうになるまでやって下さい。それを毎日です」

 

陸奥「そ、それは......」

 

不知火「長門さんや不知火のようになりたいんですよね? ならやって下さい」

 

陸奥「いや、確かにそうだけどさ。でも不知火は長門程むね――」

 

長門「あ」

 

ピシッ

 

不知火「はい?」

 

陸奥「え? ひっ」

 

不知火「......陸奥さんは大変やる気があるようですね。分りました。では、不知火が直接指導してさしあげます。喜んでください」

 

陸奥「い、いや。私はまだやるとは――」

 

不知火「喜べ」

 

陸奥「や、やったー!」

 

長門(......いつも思うが、キレた時の不知火は駆逐艦とは思えない程の威圧感があるな)

 

不知火「良い返事です。それでは始めましょうか」ゴトッ

 

陸奥「え、その重りで何をするの......?」

 

不知火「長門さん?」

 

長門「ん? ああ、それじゃ陸奥後は頑張れよ......武運を祈る」

 

陸奥「え?」

 

長門「悪い、達者でな」

 

陸奥「え、ちょっと長門? え、なに? 何が始まるの!? 待って、置いてか――」

 

バタン

 

陸奥「いやぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

長門「陸奥......お前なら乗り切れるさ」




結果、陸奥はたった3日で理想の腰を手に入れたそうですが、何があったのかそれから1週間寝込んだそうです。
長門は一人、彼女しか知らない地獄を乗り切った陸奥の健闘に涙を流したとか。

さぁ、イベ――その前に仕事だ!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。