提督の憂鬱   作:sognathus

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外出当日、文月と提督が外に出る準備をしているのを偶然明石が見掛けて声を掛けてきました。
そしてその目的を聞くと......。


第31話 「外出」

明石「全く、エアコンを設置したいなら私に言ってくださいよ」

 

提督「すまん。お前の事をすっかり忘れていた」

 

明石「わ、酷い。酷いですよ? これはしっかりお礼貰いますよ?」

 

提督「勿論だ。なんで――」

 

文月「めっ」

 

提督「文月?」

 

文月「そのセリフは不用意に言っちゃダメなんだよ!」

 

明石「文月ちゃんしっかりしてますねぇ。でもちょっと残念」

 

提督「?」

 

明石「で、エアコンでしたね。買いに行くんですか? 経費節約したいなら一から作ってもいいですよ?」

 

文月「そんな事ができるの?」

 

明石「工作艦を甘く見ないでね? 少し時間は掛かるけど余裕よ」

 

提督「ふむ......だがもう外出許可は取り付けてあるしな」

 

明石「じゃ、エアコン自体じゃなくてパーツを買いに行きましょう。その方が新品をそのまま買うより安くつきますから」

 

提督「お前も来てくれるのか?」

 

明石「今日が非番で本当に運が良かったです♪」

 

提督「そうか。なら行くか。文月準備は?」

 

文月「できてまーす」

 

提督「明石は......」

 

明石「......実はもうそのつもりで」

 

提督「よし、では出発だ」

 

 

提督「......この廃品にしか見えない鉄の塊から冷房を、な」

 

明石「ちょっと業務用っぽくなりますが、その方がパワーも有るし、何より頑丈ですよ」

 

文月「店主さん不思議そうな目で見てますね」

 

提督「まぁ俺達が買い取らなければ処分されるだけのゴミだからな」

 

 

明石「これだけ下さい」

 

ごっちゃり

 

店主「はぁ、どうも......本当にこんなので? 古いですけどちゃんと動くのはありますよ?」

 

明石「これがいいんです」

 

提督「申し訳ありませんが、これで」

 

店主「まぁそう仰るなら......はい、こちらになります」

 

提督「......安いですね」

 

店主「そりゃ部品として流用しない限り使い道がないですから。うちはメーカーという訳でも、そこまで修理ができる店でもありませんから」

 

提督「なるほど」

 

店主「あ、でもお解かりだとは思いますが返品はききませんからね?」

 

提督「大丈夫です」

 

 

店主「まいどありがとうございまーす」

 

 

文月「基地に送ってくれて助かったねー」

 

明石「流石にあれを抱えたままじゃ外を闊歩できないからね」

 

提督「軍人というのもある程度効果があったんだろう。送り先を言った時に態度を少し改めていたからな」

 

明石「それで、これからどうするんですか?」

 

文月「あ......」モジモジ

 

提督「せっかくだ。行きたいところがあったら付き合うぞ」

 

明石「あ、なら私は服!」

 

文月「文月はデザート!」

 

提督「よし分った」

 

 

~服屋

 

明石「大佐、文月ちゃんこれなんてどう?」

 

文月「わぁ、とっても似合ってます~」

 

提督「......? さっきのとどう違うんだ?」

 

明石「え、ああ。着こなしを変えてみたんですよ。ほらここをこう......」

 

文月「大佐ぁダメだよ? そういう所にも気付けないと」

 

提督「......面目ない」

 

明石「ふふふ、いいですよ。まだ着てみたいのがたくさんありますから。あ、これなんて――」

 

文月「わぁ♪」

 

提督(服の買い物だけでもう数時間、凄いな......)

 

 

~喫茶店

 

文月「おいし~♪」

 

明石「ホント、大淀さん達のデザートもいいですけどこういう地元でしか食べられないのもいいよねぇ」

 

提督「......ズズ」

 

文月「大佐は食べないの?」

 

提督「ん? ああ、俺は甘い物が少し苦手でな。特に洋菓子が......」

 

文月「はい」

 

提督「ん?」

 

文月「食べてみて。美味しいよ?」

 

提督(よりによって生クリーム......)

 

文月「はい、あーん」

 

提督「いや俺は......」

 

明石「......」ジー

 

提督「......」パク

 

文月「どう?」

 

提督「あ......ああ。意外に、美味い......な」フルフル

 

文月「ほんとう!? じゃあ特別にもう一口あげるねっ」

 

明石「あ、それ私も、やりたい、な?」

 

提督「......どんと来い」

 

 

「ありがとうございましたー」

 

 

文月「美味しかったぁ♪」

 

明石「ふふ、ほーんと♪」

 

提督「......」チャリン

 

明石「あれ、大佐? お店を出たばかりなのにいきなりお茶を買うんですか?」

 

文月「え、それ熱いの......間違ってない?」

 

提督「ごく......ごく......ふぅ、やっぱり日本人はお茶だな」

 

明石・文月「?」キョトン

 

 

~基地

 

文月「はぁ、楽しかったぁ♪」

 

明石「本当ね。偶にはこういうのもいいわねー」

 

提督「割と試練だった......」ボソ

 

明石「え?」

 

提督「いや。冷房は部品が届いたら直ぐに作るのか?」

 

明石「建造妖精の子達にも手伝ってもらえたら......うん。3日以内になら全施設に設置できると思います」

 

文月「たった3日で? すごーい!」

 

明石「うーん、一応他にも人手がいたら方がいいかな......? 頼めますか?」

 

提督「任せろ。俺から何人かに声を掛けてみる」

 

明石「ありがとうございます♪」

 

 

文月「それでは文月はこれでお休みします。大佐ぁ今日はどうもありがとー」

 

提督「ああ。また明日から宜しく頼むぞ」

 

文月「はーい」

 

明石「じゃあ私も戻りますね。今日はありがとうございました」

 

提督「いや、礼を言うのはこちらの方だ。今日は助かった」

 

明石「いえいえ、大佐と基地の為でしたら♪ それではおやすみなさいっ」

 

提督「ああ、おやすみ。ご苦労様」

 

 

提督「......」

 

提督(もう少ししたらこの暑い夜と部屋で会う機会が減るのか......。それはそれで少し寂しい気もするな)




家は未だに寝る時は扇風機で過ごしてます。
流石に日中はもうエアコンは欠かせませんねぇ。

......あ。
そういえば暑くなくなったら鈴谷達はノーパンじゃなくなるのか......?

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