提督の憂鬱   作:sognathus

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霧島が何やら薬の瓶のような物を提督に見せてきました。
本部からの試供品らしいです。
なんでしょう?


第28話 「新開発」

提督「それは?」

 

霧島「ナノ資材です」

 

提督「ナノ資材?」

 

霧島「はい。技術開発部が開発した新しい資材ですよ」

 

提督「錠剤にしか見えないが」

 

霧島「この錠剤の中に私たちが艦娘として使うのに必要なエネルギーが全て込められているそうです」

 

提督「この中にか?」

 

霧島「はい、そうです。今まで私たちは、資材の補給をする場合原型でしかできませんでしたが」

 

霧島「この度開発されたこの新エネルギーで人の姿でも容易に資材に代わるエネルギーが補給できるようになりました。何しろ普通の錠剤と一緒で飲み込むだけですから」

 

提督「ほう、それは凄いな。これで我が鎮守府の極端な資材の偏りという問題も解決されるのか」

 

霧島「いえ、残念ながら......」

 

提督「ま、そう話は上手くないよな。霧島、詳細を」

 

霧島「はい。このナノ資材ですが、実際の資材と同じく燃料・弾薬・ボーキ・鋼材の4種類がありあます」

 

提督「ふむ」

 

霧島「錠剤の数に応じて補給の量を調整も可能なので、効率的になる以外は本当に単純に補給の仕方が変わるだけなんです」

 

提督「今まで使っていた資材は?」

 

霧島「そこなんですが、このナノ資材、現状本部からしか入手できません」

 

提督「というと?」

 

霧島「ナノ資材の搬入を希望する場合は、今まで通り相応の量の実際の資材と交換となります」

 

提督「......なるほどな。つまるところ資材の節約か」

 

霧島「その通りです。艦娘は運用が今までの兵器と比べて容易な分、消費する資材もかなりのペースでなくなります」

 

提督「最近は環境問題もいろいろ気にされているからな。無理もない」

 

霧島「交換のレートはまんま同数量というわけではなく、実際の資材の方が交換するナノ資材と比較して2割ほど少なく設定するようなので、以前と比べたら楽にはなると思います。若干ですが」

 

提督「なるほど、理解した」

 

霧島「あ、因みに、生身の人間が飲んでも全く無害です」

 

提督「実際に重油や鋼材が使われているわけではないという事だな」

 

霧島「そうです。これは艦娘にしか効果が出ません。生身の人間が飲んでも効果の弱いビタミン剤程度の影響しかありません」

 

提督「間違って飲むには少々高価なビタミン剤だな。注意はするが」

 

霧島「ふふ、そうですね。......それでどうします?」

 

提督「利用するかどうかか? 勿論する。今ある資材と全て交換だ」

 

霧島「了解しました。手配しますね」

 

 

――数日後

 

提督「......あの膨大な資材の塊が、こんなダンボール5個ほどになるとはな」

 

翔鶴「にわかには信じられませんね」

 

提督「そうだな。この程度の量なら執務室にすら置いておける」

 

翔鶴「保管場所どうします?」

 

提督「武器庫でいいだろう。整備ドックにも近いし、場所が場所なだけに防備も厳重だしな」

 

翔鶴「了解しました」

 

提督「それよりだ......」

 

翔鶴「はい?」

 

提督「この余ってしまった膨大なスペースどうしたものか......」

 

ガラーン

 

翔鶴「ああ......」

 

提督「ジムにでもするか? 待機組や非番の奴が退屈しない様に」

 

翔鶴「それもいいですけど......」

 

提督「ん? なにか希望でもあるか?」

 

翔鶴「あ、いえ。その......喫茶店なんてどうかなぁって」

 

提督「喫茶店......」

 

翔鶴「あ、いえ。あくまで妄想なので」アセ

 

提督「基地の中に喫茶店か......」

 

大淀「いいですね。やりましょう!」

 

提督「大淀」

 

翔鶴「大淀さん」

 

大淀「ごめんなさい。ちょっと通りかかりに興味深い話が耳に入ったものですから」

 

提督「いや、それは別にいいが。大淀、お前は喫茶店に賛成なのか?」

 

大淀「そうです。食堂の方で大分腕も鍛えましたし。それに、もし喫茶店の運営を任せて頂けるのでしたらなんだか独り立ちするみたいでワクワクするじゃないですか」

 

翔鶴「大淀さん、最近は鳳翔さんの代わりに厨房頭を務める事もありますからね。勿論美味しいです♪」

 

大淀「ありがとう翔鶴さん。ね、大佐どうでしょう?」

 

提督「本部に許可を願い出てみる。下りれば建造妖精達に改装そしてもらおう」

 

大淀「お願いします!」

 

翔鶴「楽しみぃ♪」

 

提督「まだ決まったわけじゃないぞ?」

 

翔鶴「艦娘のポテンシャルを維持する為とか尤もらしい理由をつければ大丈夫ですよ!」

 

提督「そうか? まぁ上手くいくといいが」

 

翔鶴「はぁ......鳳翔さん仕込みの大淀さんのスイーツ......楽しみ~」ポワワン

 

大淀「......翔鶴さんもああいう顔するんですね」

 

提督「女性は甘いものに目がないのは昔から変わらないな。これは気合いを入れて許可を貰わないとな」

 

大淀「ふふ、頑張ってくださいね♪」




その後、特に交渉が滞る事もなく基地の中にめでたく喫茶店がオープンしました。
店主は定期的に大淀と鳳翔で交代で回すそうです。
赤城や翔鶴が常連になったのは言うまでもなく、さり気に麻耶や那智といった意外な人物も足繁く通っているとかいないとか。


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