提督の憂鬱   作:sognathus

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金剛姉妹達が騒いでる頃、提督は演習場で艦隊の訓練の様子を見ていました。
演習や出撃をする前に訓練をして装備の状態や隊列の動きを確認するのは重要です。
各艦隊の旗艦を務める隊長艦は真剣な表情で所属の艦娘に助言や指示を出しています。
そんな時にある隊長が提督の姿を確認して声を掛けてきました。


第19話 「褒美」

那智「大佐、どうだ? 私の隊の動きは?」

 

提督「ああ、相変わらず動きが機敏で隙が少ないな」

 

那智「隙が無い、とは言ってくれないんだな」

 

提督「隙が無い艦隊なんてないからな」

 

那智「うむ、違いない。頭から根拠もなく自信を持っていては、それはただの慢心だからな」

 

那智「隙を見せまいと常に用心してこそ立派な軍人というものだ」

 

提督「最近は島風もよく従って戦果も上々らしいな」

 

那智「ああ。あの問題児、一時は私の隊では持て余すかと思っていたが、今では立派に駆逐艦としての役割を果たしてくれている」

 

那智「ほら、噂をすれば影有りだ」

 

島風「あー!大佐ー!」タタタッ

 

提督「島風、頑張ってるみたいだな」

 

島風「うん。わたし頑張ってるよ! 武功第一だってたくさん挙げてるんだから!」

 

提督「そうか。凄いな」

 

島風「えへへー。そうでしょー?だからわたしご褒美が欲しいな」

 

那智「な」

 

提督「褒美?」

 

島風「そう! 頑張ったご褒美!」

 

提督「武功を挙げる度に褒美をせがまれても困るぞ?」

 

島風「大丈夫!物をもらうわけじゃないよ」

 

提督「じゃぁどんな褒美が欲しいんだ?」

 

島風「レイスちゃんみたいにして欲しいの!」

 

提督「レイスみたいに?」

 

提督(なんだ? 俺は何かあの子に何かしてやったか?)

 

提督「何をして欲しいんだ?」

 

島風「わたしの頭をポンポンして欲しいの!」

 

提督「ポンポン? ああ......」

 

提督「これでいいか?」ポン

 

島風「あ。......えへへ、気持ち良い♪」

 

提督(まるで犬だな。撫でてみるか)

 

提督「そうか。これはどうだ?」ナデ

 

島風「んん? あ......すっごく気持ち良い!」

 

提督「そうか。よかった」

 

島風「大佐ありがとう! 次もやってね!」

 

提督「ああ。これくらいだたったら構わないぞ」

 

島風「ホント!? やったぁ♪」

 

島風「よーし何かやる気出てきたぁ。那智さんちょっと走って来ていい?」

 

那智「......」ジー

 

島風「那智さん?」

 

那智「え?あ、ああ。いいぞ」

 

那智「今日はもう演習もないからな。だが程々にしとけよ?」

 

島風「はーい! 行ってきまーす!」タタタッ

 

提督「相変わらず元気の塊のような奴だな」

 

那智「そう......だな」

 

提督「那智? どうした?」

 

那智「ああ、いや。その、さっきの褒美の撫でるやつだが」

 

提督「うん?」

 

那智「あれは全員にやっているのか?」

 

提督「いや、今のところレイスと島風だけだ」

 

那智「そうか。大佐、それは......駆逐艦にしかやらないのか?」

 

提督(那智の奴どうしたんだ? 歯切れが悪いな)

 

提督「まぁ、見た目が子供に近いのは駆逐艦だけだからな。やるにしても駆逐艦にした方が自然な感じがするが」

 

那智「そうかもしれんが、別に重巡の中にもやって喜ぶ奴だって居ると思うぞ?」

 

提督(まさか)

 

提督「......」

 

那智「......」ジッ

 

提督「那智」

 

那智「な、なんだ?」

 

提督「少し近くに」

 

那智「! ああ、分かった」トトッ

 

提督「......」ソッ

 

那智「ん......」

 

那智「もう、いい十分だ。......大佐」

 

提督「ん?」

 

那智「ありがとう」

 

提督「ああ」




足柄さんも最高だけど那智も結構良いですよね。
艦娘が見た目より従順だたり純情だったりするのは、やっぱり育つ環境が人間と違うからだと思います。
だからついアニメ的な設定と思いがちでも、世界観的には十分有りなんじゃないかと。

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