提督の憂鬱   作:sognathus

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殆ど男だけ!
男祭りですよー!

嘘です。それだと耐えられないので女の子(?)も出ます。


第22話 「終わり」(後編)

元帥「艦隊が帰って来る? 准将の艦隊が? あの危険海域に向かった艦隊がか?」

 

中将「はい。間もなく港に着く頃かと」

 

元帥「......大将」

 

大将「はっ」

 

元帥「悪いが、総帥に報告しておいてくれ、私は准将を迎えに行ってくる」

 

大将「はっ、かしこまりました」

 

中将「......」

 

元帥「意外そうな顔だな」

 

中将「いえ......」

 

元帥「艦娘の扱いは非道で通ってるかもしれないが、これでも一応軍人なのでな。戦果をあげて帰還する部下に敬意を表することくらいはできる」

 

中将「......恐縮です」

 

元帥「ふん、行くぞ」

 

 

少将「おお、中将来た......元帥殿」

 

元帥「別に機嫌取りで来たわけじゃない。義務を果たしに来ただけだ」

 

少将「左様ですか」

 

元帥「......」

 

少将「......」

 

中将「あっ、見えた。見えました!」

 

少将「なに、ほんと......か......これは......」

 

元帥「......!」(全艦帰投、だと?」

 

3人の前に現れたのは4隻の戦艦だった。

素人目でも判るほど激しく損傷したその戦艦らは、行動不能に陥って曳航される艦の如くゆっくりと港に近付いて来た。

何れも准将が基地を出た時の編成のままで、欠落した艦はいないようだった。

 

やがて准将が乗っていると思われる艦が1隻だけ港に着船し、船内から人影が現れた。

 

カンッ、コツ......カンッコツ......。

 

元帥「......」

 

中将「......っ!」

 

少将「あいつ足が......」

 

准将「......只今、帰投した」

 

元帥「......ご苦労。戦果は?」

 

准将「これを」

 

少将「......首か」

 

中将「こ......これは?」

 

准将「ここら一帯の深海棲艦をまとめていた首領だ。これで暫くは海が静かになるぞ」

 

元帥「それは本当か? あの艦隊で討伐したというのか?」

 

准将「......確かに。だが俺はあの戦いで艦娘の起こした更なる可能性、奇跡を目にした。己の命を糧に、最後の攻撃に全てを懸けた渾身の一撃を」

 

元帥「だが......」

 

准将「......証拠はある。あいつらの最期を看取ってやってくれ。生命力の全てを使い果たしたあいつらは、もう人間の姿になる事もできない」

 

少将「なに」

 

准将「もうあいつらには何も残っていない。俺を此処まで運んで来た時点で既に限界を超えていたんだ。後は沈むだけだ」

 

ズズ......。

 

准将を降ろしてから間もなくして帰港していた4隻の艦に異変が起きた。

全ての艦が徐々に船体を傾かせて海に沈み始めたのだ。

 

中将「ああ......」

 

元帥「......」

 

少将「......」カッ

 

准将「お前たち、よく頑張ったな。ありがとう。ゆっくりやす......いや、また会おう」

 

元帥「......なに?」

 

准将「元帥、俺はあの海域である真実を見た」

 

元帥「......何を見た?」

 

准将「敵の本拠地で廃棄されたはずの艦娘が収められた大量の収納ケースだ」

 

元帥「......!」

 

中将「なんだって!?」

 

少将「......」

 

准将「深海棲艦はな、艦娘だったんだよ。轟沈したり廃棄された艦娘が無念に駆られた結果、深海棲艦になっていたんだ」

 

元帥「なんだと......」

 

准将「あんたらは旧型には意思がないとか言っていたが、もしそうならこうやって無念の所為で深海棲艦になったりはしないよな? だが、事実は違った」

 

元帥「......」

 

准将「なぁ、俺達は新型の艦娘が造れるようになってから一体どれだけの旧型を廃棄したんだ? どれだけの数を世界に広めてしまったんだ......?」

 

元帥「少なくとも......本国だけで5000体以上だ」

 

中将「そんなに......!?」

 

元帥「新しい安全保障を条件に米国を筆頭に各国から艦娘の受注を受けていたからな......。最終的な総数は見当もつかん......」

 

少将「......」

 

准将「俺達は艦娘という存在をあまりにも甘く見ていた。使い勝手がいいという事だけに注目し、その癖その管理はあまりにも杜撰だった。その結果がこのザマだ」

 

准将「恐らく、これは俺の予測だが、艦娘創造のきっかけを作った八咫烏からはその運用についていろいろ注意されてたんじゃないか?」

 

准将「それなのに早期の配備にばかり気を取られて、話半分で殆ど聞き流していいたんじゃないか?」

 

元帥「......情報部に関連資料の精査を早急に指示する」

 

准将「......」

 

元帥「......責任は全て私と総帥が取る」

 

中将「げ、元帥殿。おいそれとそのような事は......」

 

元帥「いや、必要だ。この過ち、私達の首だけでは足りないくらいだ。最終的には、悪いが......大将にも付き合って貰う事になるだろう」

 

准将「俺も辞めるぞ」

 

少将「俺も辞めますよ」

 

中将「私もです!」

 

元帥「いや、駄目だ。君らは正しかった。そして君たち程、本部の幹部として、指導者として、提督として、艦娘を良く運用していた者はいない。君たちは今後の海軍に絶対に必要な存在だ」

 

中将「元帥......!」

 

少将・准将「......」

 

元帥「さらばだ諸君。できれば軍法会議で死刑が望ましいが、そこまでの処分をすると逆に外に勘ぐられて事の真相がバレかねないからな。残念だが懲戒処分の上で一生国の監視下に置かれる程度で済んでしまうだろう」

 

元帥「結果的には隠蔽になるが、現状深海棲艦に対抗できる勢力が我々海軍だけなのも事実だ。その均衡が崩れることによって無用な混乱を招くわけにもいかん。気分は良くないだろうが、時期が来るまではこの事は最高機密扱いで頼む」

 

中将「......了解しました」

 

少将「了解。お任せください」

 

准将「......」

 

元帥「准将、すまなかったな。今更こんな事を言っても言い訳でしかないが、お前には悪い事をしたと思っている」

 

准将「いえ、その言葉を頂けただでも、あいつらの名誉は守られました。俺の方こそ貴方には随分失礼な態度を取ってきた......どうか御達者で」カッ

 

元帥「......海軍を頼んだぞ」

 

 

 

~とある海域

 

ちゃぷんっ

 

レ級「僕は......」

 

タ級「どうしたの?」

 

レ級「え?」

 

タ級「何か悩み事?」

 

レ級「うーん......」

 

タ級「?」

 

レ級「分かんない!」

 

タ級「え?」

 

レ級「だって目が覚めたらいつの間にかこんな姿だったんだもん」

 

タ級「......あなたもしかして艦娘だった?」

 

レ級「うん! どんな姿だったかとか艦娘だった頃の事は全く思い出せないけど、艦娘だった事は何故か凄く自信あるんだ!」

 

タ級「そう......私と同じね」

 

レ級「え? 君も?」

 

タ級「そう。あそこにいる二人もよ」

 

レ級「へ?」

 

 

ヲ級「もうっ! いきなり水を掛けるのやめてよ! ビックリしたじゃん!」

 

ル級「ご、ごめんなさい。隣にいるのに気付かなくてビックリしちゃって......」

 

ヲ級「え? 君私の隣にいたの?」

 

ル級「目が覚めたらいたよ?」

 

ヲ級「......なんで?」

 

ル級「さぁ?」

 

 

レ級「......ふふ」

 

タ級「どうしたの? 急に笑って」

 

レ級「分かんない。でも、あの二人なんか気が合いそうな気がするんだよね」

 

タ級「そうなの?」

 

レ級「うん! あ、君もね!」

 

タ級「私も?」

 

レ級「うん! 友達になってよ!」

 

タ級「......いいけど」

 

レ級「やった! よろしくね!」

 

タ級「え、ええ......」

 

レ級「それじゃ、あっちにいる二人にも声掛けに行こうか!」

 

タ級「慌ただしい子ね。ま、賑やかなのは嫌いじゃないけど」

 

レ級「ホント!? やっぱり僕たち気が合うね! それじゃ行こうか!」

 

タ級「はいはい」

 

レ級「おーい! 君たちー!!」

 

ヲ級・ル級「え?」

 

 

 

 

 

その後、事態を知る事になった総帥は元帥の言った通り自らの辞職を以て全ての責任を取る事を即決した。

元帥の部下だった大将も巻き込まれた形にはなったもの、一切の不平不満を漏らさず将官としての務めを全うする為、彼らに従う形で一緒に辞職をした。

軍法会議の結果も真相が真相だけに、責任の所在の追及に窮した軍統制監査部は、これも元帥の言っていた通りに一応は彼らを一生保護監視下に置く決定をする事で半ば無理やりに決着させた。

 

それから暫して、国は中将を緊急措置で元帥海軍大将に昇進させすることによって海軍総帥代行に抜擢し、准将と少将も同じ措置で2階級特進させて彼を支える体制を作った。

 

それから更に数年後、若い時分から経験を積ませる事によって有能な総帥を育てる事を目的とした元帥は、国に要望して前例のない若さの総帥候補を用意させた。

彼はとても優秀で、僅か三年足らずで元帥たちに教えられた全ての知識を吸収し、海軍の総帥として恥ずかしくない誇れる存在となった。

 

更にそれから十数年後、完全に軍の統帥権を総帥に委ねた元帥たちは新たな幹部候補として若い人材を探していた。

 

 

大将「おい、士官学校の校長をやるって本当か?」

 

中将「ああ、面白い奴らがいたら鍛えてみたくてな」

 

大将「......相手はあくまで人間だからな? あまりやりすぎるなよ?」

 

中将「分かってるわい」

 

大和「......心配です」

 

大将「......夫の浮気を心配する妻みたいな顔だなでなければ、さまになったセリフだったんだがな」

 

大和「ちょ、た、大将殿!」カァァ

 

中将「はははは! そうか、それじゃ若い娘にもちょっかいだせんな」

 

大和「中将!?」

 

中将「おお怖っ! じゃ、ちょっと行ってくる!」

 

 

 

女「ねぇ、今度デートしない? 奢るわよ」

 

男1「なんでいきなり声を掛けられた見ず知らずの女性にデートで奢られなければいけないんだ......」

 

男2「え? お前達付き合ってんじゃねーの?」

 

男1「いや、別n――」

 

女「そうよ。たった今からよ」

 

男1「 」

 

 

中将「......なんか面白そうなガキだもだな。よしっ。おーい!!」

 




長い、というより分かり難い?

ま、過去編やっと終わったんで次からはまたゆるりと短編書きます。
というか、やっといろいろ終わった気がする。

仕事ももいろいろ終わってくれたら楽なのになぁ。

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