提督の憂鬱   作:sognathus

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提督にお荷物が......じゃなかった宛名不明の荷物が鎮守に届きました!
これより検品に入ります!


第16話 「届け物」

提督「届け物?」

 

鳥海「はい。大佐宛ではなかったんですが、鎮守府宛てだったので」

 

提督「......これは艦娘宛てだな」

 

鳥海「え? そうなんですか?」

 

提督「ああ。ほら、宛先のところのシールのこの部分が剥がれてしまっている。恐らく荷物を下ろす時か置いてある時に磨れてこの部分だけ取れてしまったんだろう」

 

鳥海「でもそれだけでは大佐宛じゃないとは......」

 

提督「俺は通販は使った事がないんだ。この通販会社すらな」

 

鳥海「ああ......」

 

提督「しかし宛先が分からないとは言え、このままにしておくのもな」

 

鳥海「だからと言って手当たり次第に確認するのも憚れますよね。知られたくないものかもしれないですし」

 

提督「そうだな。さてどうするか......」

 

鳥海「......中身を確認してそれっぽい人に確認すると言うのは?」

 

提督「勝手に開けるのは、な」

 

鳥海「そうですよね。ちょっと振ってみますか」

 

提督「大丈夫か?」

 

鳥海「持った感じ全然重くないですし、運んでる最中も中から特に音は聞こえなかったですから多分大丈夫ですよ」

 

提督「そうか。ならいい」

 

鳥海「はい。それでは」フリフリ

 

提督・鳥海「......」

 

提督「しないな」

 

鳥海「しませんね」

 

提督「しっかり梱包されてるからか?」

 

鳥海「確かに、重さの発生源は箱の中央から感じます」

 

提督「マグカップくらいの大きさの箱で、そんなに重くないもの、か」

 

鳥海「いろいろありますね。本当にマグカップかも」

 

提督「だったら開けたところでそんなに問題はないんだろうが......」

 

鳥海「確実じゃありませんからねぇ」

 

提督「ふむ......」 鳥海「うーん......」

 

コンコン

 

 

提督「ん? 誰だ?」

 

 

摩耶「摩耶だ、です。入ってもいい、です?」

 

 

提督「ああ、いいぞ」(何か緊張してる......?)

 

 

ガチャ

 

摩耶「失礼します。大佐、今日基地に何かとどけ......あっ!」

 

提督「ん? これお前宛だったのか?」

 

鳥海「え、そうなの摩耶?」

 

摩耶「そ、そう! ......中身、見た?」

 

提督「いや」

 

鳥海「ううん」

 

摩耶「そ、そう。ふぅ......」

 

鳥海「......摩耶」

 

摩耶「ん?」

 

鳥海「これ、なに?」

 

摩耶「え!? そ、それは......」

 

鳥海「そんなに焦るなんて、まさか規則に違反するものじゃ......」

 

摩耶「そ、そんな事ない! 絶対だ! だ、だから開けるな! お願い!」

 

鳥海「なんでそんなに必死なの? 姉妹なら私にくらい見られても問題ないわよね?」

 

摩耶「だ、ダメ! それだけは絶対!」

 

鳥海「摩耶……あなた本当に危険な……」

 

摩耶「ち、違う。違うからぁ! お願いちょうだい!」ウル

 

提督「......」

 

鳥海(あんなに涙を滲ませて......。まさか、本当に......? ここは心を鬼にしにと!)

 

鳥海「摩耶悪いけど......」

 

摩耶「!!」

 

提督「鳥海」

 

鳥海「ダメですよ大佐。私だって疑いたくはないですけど可能性は......」

 

提督「鳥海、お前は摩耶を信じているだろう?」

 

鳥海「え?」

 

提督「摩耶の事を同じ姉妹として大切に思っているだろう?」

 

鳥海「そ、それはまぁ……でも」

 

摩耶「大佐……?」

 

提督「なら、ここは俺に任せろ。俺がいまから摩耶に耳打ちにしてそれが正解なら開封せずに麻耶に渡す。それでどうだ?」

 

鳥海「大佐は中身の予想が?」

 

提督「まぁ、多分……大凡だが」

 

摩耶「……」(ええ!?)カァ

 

提督「摩耶」スタスタ

 

摩耶「……っ」ビクッ

 

提督「耳を貸せ。お前が取り寄せたのは……じゃないか?」

 

摩耶「……!!」カァ

 

提督「合っているか?」

 

摩耶「……」コク

 

提督「鳥海、摩耶に渡してやれ。大丈夫だそれは本当に危険でもなんでもない」

 

鳥海「え? 正解だったんですか?」

 

提督「まあな」

 

摩耶「……」コク

 

鳥海「一体何……」

 

提督「後で教えてやる」

 

摩耶「た、大佐ぁ」ウル

 

提督「大丈夫だ。信じろ」

 

摩耶「……わ、わかった」

 

提督「そう言うわけだ。後で教えてやるから渡してやれ」

 

鳥海「はぁ、まあそう仰るのなら。はい、摩耶」

 

摩耶「っ……」バッ

 

提督「落ち着け」

 

摩耶「……ありが、ありがとう。ふぅ……失礼します」

 

バタン

 

 

鳥海「一体……」

 

提督「生理用品だ」

 

鳥海「え?」

 

提督「自分にも子供が作れるようになる時が来るかもしれない、てな」

 

鳥海「そんな。私達はそんな身体的機能は......」

 

提督「可能性くらいは希望として持たせてやってもいいだろう」

 

鳥海「それは……」ジッ

 

提督「ん……こほん」

 

鳥海「あ……」カァァ

 

提督「ま、仕事をしようか」

 

鳥海「は、はい」アセ

 

 

~摩耶と鳥海の部屋

 

摩耶(バレちゃったバレちゃった! 鳥海には言わないと思うけど、大佐にはバレちゃった!)カァァ

 

摩耶「……ふぅ」

 

摩耶(ま、まぁ大佐にならいいか……うん)

 

カチッ、ヴィィィン

 

摩耶(こんなの興味本位で買っちゃったなんて言えないよな……)




提督の直観パねぇ!
え、結局何を買ったのかって?
紳士なら誰でも分りますよ。キリッ

本当に久しぶりに割とスラスラ書けました。
こんな調子はこのSSを投稿し始めた当初以来ですかね。

休みを有意義に使えて嬉しいです。

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