提督の憂鬱   作:sognathus

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「暇だから散歩してくる」と言って出て行ったレ級ですが、なにやら帰ってからずっとご機嫌です。
何時も明るくニコニコしている彼女ですが、その日に限っては特に明るく見えました。
当然、いつもの“メンバー”は彼女の様子に興味を持ちます。


第55話 「記憶」

レ級「~♪」

 

ル級「レ級なんだか嬉しそうね。何かあったの?」

 

レ級「えぇ? んふ~、実はねぇ~、えへへ~♪」

 

タ級「何なのよ......」

 

ヲ級「ドキドキ」

 

レ級「僕、大佐とキスしました!」

 

ル級「えっ」

 

タ級「へぇ」

 

ヲ級「わぁ」

 

レ級「あ、違った。大佐を好きになっちゃった、だ」

 

タ級「どっちにしても同じような意味よ」

 

ル級「そ、それホント? 敵を好きになっちゃったの? いくら大佐でも......」

 

ヲ級「大佐かぁ......」

 

レ級「大丈夫! いくら好きになってもちゃんと敵同士だから!」

 

タ級「きっぱりしてるわね。ま、あなたらしいけど」

 

ル級「す、好きな人が敵だなんて......なんかロマンチックね!」

 

ヲ級「うんうん!」

 

レ級「あ? やっぱりそう思う? 思うよね?」ニマニマ

 

タ級「なに喜んでるのよ......。姫にはどう言うの?」

 

レ級「もう言ってきた」

 

ヲ級「お、怒られた? 怒られたよね?」

 

レ級「頭痛くなった、って言って寝ちゃった」

 

ル級「姫......」

 

タ級「全く......それで、これからどうするの? 本当に敵同士のままでいいの?」

 

レ級「うん! その方針は変えないつもりだよ! ただ......」

 

ル級「ただ?」

 

レ級「これから大佐の所だけ奇襲する回数は減らそうかなって思ってる」

 

タ級「奇襲を減らす......それってもしかして、これからは事前に通告して襲うって事?」

 

レ級「うん!」

 

ヲ級「せ、宣戦布告ね! なんだかそれ、カッコイイ!」キラキラ

 

ル級「いや、来襲ポイントまで間に合えば襲わないんだから、実質会い行くだけだだよそれ......」

 

レ級「うん! これからは堂々と大佐に会いに行けるね!」

 

タ級「確かにこれは姫も頭痛くなるわよね......」

 

ヲ級「遊びに......わぁ、楽しみぃ♪」

 

ル級「ヲ級......」

 

レ級「取り敢えず、そういう事だから!」

 

タ級・ル級「......」

 

ヲ級「ねぇ、ねぇ。いつ行くの!?」

 

レ級「え? うーん、そうだなぁ......」

 

 

タ級「ヲ級、すっかりレ級の話に乗っちゃったわね」

 

ル級「うん......」

 

タ級「ル級、あなたも?」

 

ル級「え、えっと......ど、どちらかというと、た、楽しみ、かな......」

 

タ級「......」

 

ル級「う......」

 

タ級「ふぅ......」

 

ル級「っ、」ビクッ

 

タ級「そうね。私もよ」ニコッ

 

ル級「タ、タ級!」パァッ

 

タ級「私だって元艦娘、だもん。それは......ね」

 

ル級「......戻りたい?」

 

タ級「また沈まないといけないのはアレだけど......どうかしら。私沈んだ時の記憶がないのよね」

 

ル級「え、タ級も?」

 

タ級「私もって、もしかしてあなたも?」

 

ル級「うん......」

 

タ級「......ねぇ、ちょっと」

 

ル級「タ級?」

 

 

レ級「うん? なにー?」

 

タ級「レ級ってさ、艦娘のだった頃に沈んだ時の記憶って......ある?」

 

レ級「ないよ? なんだか分からないけど、僕だけ全然思い出せない」

 

ヲ級「え? レ級も?」

 

レ級「レ級もって、え? もしかしてヲ級も?」

 

ヲ級「うん......私だけだと思ってた」

 

タ級「......それ私達も、よ」

 

レ級「ええ?」 ヲ級「ウソぉ!?」

 

ル級「ホントよ......凄く驚いてるけど」

 

タ級「ねぇ、私達って姫みたいな特別な存在を除けば、大体沈んだ時の事を憶えてるわよね?」

 

レ級「少なくともここにいる面子以外はそう、かな?」

 

ル級「うん、そう。私も結構聞いてる」

 

ヲ級「私も」

 

4人「......」

 

タ級「なんで私達だけ......」

 

ル級「お、憶えてないくらい沈んだ時の恨みが強かった......とか?」

 

ヲ級「え、なんかヤダよそれ......」

 

タ級「そうね。でも有り得ないとも......」

 

レ級「多分、違うと思うよ」

 

タ級・ル級・ヲ級「え?」

 

レ級「多分、強いからだよ。僕たちが」ニッ

 

タ級「強いからって......ただ、それだけ?」

 

レ級「うん! 多分他の子より特別強くて、自信とか誇りとかがあったから、沈んだ時も後悔しなかったんじゃない?」

 

ル級「後悔しなかったから憶える必要がないって思ったって事?」

 

レ級「そ」

 

ヲ級「そ、そっちの方がいいなぁ。なんだかカッコイイし!」

 

タ級「あなたそればっかりじゃない......。でも、そうね。私もその方がいいわ」

 

レ級「ね? そうでしょ? きっとそうだよ!」ニコッ

 

ヲ級「流石、レ級! 大好き♪」ギュッ

 

レ級「えへへ、そんなに褒めないでよ~♪」テレ

 

ル級「流石、私達のリーダーねっ♪」

 

タ級「全く、あなたのその自分を疑わない真っ直さには適わないわね。でも、ありがとう。あなたが私たちのまとめ役でよかったわ」

 

レ級「もう、タ級まで。照れるからもうやめて!」テレテレ

 

 

レ級(うん......多分そうだよ。辛い記憶だった印象は無いし......。ただ、他の子は分からないけど、僕の中に微かに残っているのは......。燃え盛る炎の中で傷だらけなのに、優しく豪快な笑みを浮かべた“誰か”の顔だけ......)

 

レ級「元気かなその人......」ボソ

 

ル級「え?」

 

レ級「あ、ううん何でもないよ」




過去編を書くためのネタ作りです。
まぁ大体この子たちが“誰”の艦娘で、その提督が“誰”であったかのかは予想できている人もいるとは思いますがw

ま、そのことを書くのはいつになるのかまだ分かりません。

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