提督の憂鬱   作:sognathus

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計算が裏目に出て全くの偶然に青葉を攻略(?)してしまった提督は、彼女に抱き着かれたままソファでお話をしていました。
提督はどこか浮かない顔ですが、青葉は幸せいっぱいといった顔です。


第54話 「過癒」

青葉「大佐は寒いのが嫌いなんですか」

 

提督「嫌い......そうだな。苦手というよりかは嫌いという表現の方が合っているな」

 

青葉「じゃあ日本にいる時、季節が冬だと外にもあまり出ないんですか?」

 

提督「炬燵に一度入ってしまうと、それこそ出なくなる。子供染みているがその癖は今も治ってないかもな」

 

青葉「そうなですかぁ」

 

提督「ああ」

 

提督「......青葉」

 

青葉「あ、はい。なんですか?」

 

提督「いつまで抱き着いているつもりだ?」

 

青葉「お昼休みの間です」

 

提督「まだ大分時間があるな......」

 

青葉「あ、迷惑なら直ぐに......」シュン

 

提督「......いや、まぁ別に――」

 

「迷惑だ」

 

青葉「!?」

 

提督「.......武蔵」

 

武蔵「大佐、ここはハッキリ言った方がいいぞ? いつまでもひっつかれると暑い、と」

 

青葉「む、武蔵さん! あ......え? ちょ、や、な、何をするんですかー!?」

 

武蔵「ちょっと大佐と戯れに来てみれば馴れ馴れしくしてからに」ヒョイ

 

武蔵「代われ、大佐の犬は私だ」

 

提督「 」ピシッ

 

青葉「い、犬!?」

 

武蔵「なんだ? さっきはまるで主人に甘える犬の様に大佐に擦り着いていた癖に否定するのか?」

 

青葉「え?」

 

武蔵「まぁ否定するのなら仕方ない。ここは正当な飼い犬である私が大佐に甘える権利を行使するとしよう」

 

武蔵「大佐ぁ......あんな貧相な犬では満足できなかっただろう? ほら、武蔵が来たぞ。たっぷり可愛がってくれ♪」スリスリ

 

青葉「なぁ!?」

 

提督「......」

 

青葉「ちょ、ちょっと待ってください! いきなり横から入ってわたしを摘み上げて何をしてるんですかあなたは!?」

 

武蔵「んん......? なんだ? チワワが吠えているようだが煩わしいな。部屋から摘まみ出すか、大佐」

 

青葉「ち、チワワ!? 青葉が......重巡がチワワ!?」ガーン

 

比叡「そうです! 青葉がチワワならわたしはどうなるんですか!? 豆柴ですか!?」

 

青葉「比叡さん!? いつの間に!?」

 

武蔵「誰かと思ったら金剛姉妹のワンコか。しかも自分から豆柴とは......。貴様、解っているな?」

 

提督「......一体、お前たちは何の話をしているんだ......」サァ

 

比叡「あ、たい......さ!? どうしたんですか!? 顔色が凄く悪いですよ!?」

 

武蔵「なにっ? あ......見ろ! お前たちが騒ぐから大佐が体調を崩してしまったじゃないか!」

 

青葉「あ、青葉達の所為なんですか!?」

 

比叡「言いがかりです! というか、そこどいてい下さい! 大佐はこの比叡が癒します!」

 

ギャーギャー、ワーワー

 

 

長門「......」

 

日向「長門、何をじっと見ているの?」

 

長門「いや、ちょっと面白い光景を、な」

 

日向「ん? おい、どうしたんだこれ。糸が切れたマリオネットみたいな大佐を戦艦と重巡が取り合っているぞ」

 

長門「面白いだろ? オスを取り合うメス犬の様な青葉達も愛くるしいが、それ以上にあんなに精神的に弱り切った大佐が可愛い」

 

日向「長門、あなたね......」

 

長門「ふふ、これは後で私が癒してやらねば、な?」

 

日向「あの状態からそんなチャンスがあるのかしら?」

 

長門「あの状態だからこそ、だ。あの精神状態では大佐はまともに武蔵達の相手をする事などできまい? 皆が大佐に気を遣っていなくなった所で美味しいところをかっさらうんだ」

 

日向「上手くいくかしら......」

 

長門「大佐は真面目だがその分極端に打たれ弱い部分があるからな。そこを優しく労うように話し掛ければ、間違いないだろう」

 

日向「全て計算尽というわけね」

 

長門「ああ」

 

日向「......長門」

 

長門「ん? 日向、お前も乗るか?」

 

日向「ええ」

 

 

加賀「はい、そこまでです」

 

長門「む?」

 

日向「え?」

 

望月「全く、部屋が探しいと思って来てみれば」

 

神通「あまり、大佐をイジメちゃダメ、ですよ?」ニコ

 

長門「ふむ......ここは分が悪いな」

 

日向「長門と共犯扱いされるのはアレだけど......私も乗ってしまったからな」

 

長門「おいおい」

 

日向「分かった。退散する。大佐を助けてやってくれるか?」

 

赤城「心得ました」ニコ

 

加賀「それでは皆さん準備はいいですか?」

 

望月「私は出来ることが限られてるから、適当によろしく」

 

赤城「いつでも」

 

神通「大佐......お救いします」

 

加賀「......救出開始です」

 

 

長門「やれやれ、あんな気合いの入った目を向けられては退散せざるを得ないな」

 

日向「ま、今回ばかりは加賀達に任せた方がよかったさ」

 

長門「戦艦2人に重巡1人と正規空母2人と軽巡、駆逐、どっちに分があると思う?」

 

日向「愚問よ。“強い”方に決まってるじゃない」

 

長門「はは、そうだな」




その後、無事に加賀達に救出された提督は、暫く救出してくれた加賀達と駆逐艦以外に対して女性恐怖症を発症してしまったとかしなかったとか。
提督はもう少し肩の力が抜けるといいですね。

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