提督の憂鬱   作:sognathus

177 / 404
提督はずっと外を眺めていました。
青葉は最初は海を眺めているのかと思ったのですが、視線を辿ると空を向いています。
何か変だ。
そう思った青葉は提督に声を掛けました。


第53話 「不覚」

提督「......」

 

青葉「大佐、なにさっきから外ばっかり眺めてるんですか?」

 

提督「ん? ああ、冬だなと思ってな」

 

青葉「へ?」

 

提督「......」

 

青葉(また外を眺めてる。それに冬って......こんなに暑いのに)

 

青葉「た、大佐......?」

 

提督「......もう雪がふっているだろうな」ボソ

 

青葉「!?」

 

青葉(た、大佐がおかしくなったぁ!!)ウル

 

青葉(ど、どうして!? やっぱり私の所為? 私があまりにもいろいろ騒ぎ立てるから大佐の精神が......!?)

 

青葉「......」チラ

 

提督「......」ボー

 

青葉「ふぇ......」ジワ

 

提督「.....ん?」

 

青葉「うぇぇぇぇぇんん! 大佐ぁ、ごめんあさぁぁぁい!!」ダキッ

 

提督「なっ? おい、青葉」

 

青葉「青葉......青葉が悪かったですからぁ! 今までの事全部謝って、これからは良い子にしますからぁ!!」

 

提督「おい、何を......」

 

青葉「だから、だからいつもの大佐に戻ってくださぃぃぃ!!」

 

提督「いつものって......おい、青葉。何のことだ?」

 

青葉「大佐の頭がおかしくなっちゃったんですぅ!」

 

提督「......なに?」

 

青葉「ボーっと外ばかり眺めて、青葉の言葉にも反応が鈍くて......」

 

青葉「ついには......こんなに暑いのに雪だなんて......うわぁぁぁあん! 大佐ぁ、ごめんなさぁぁぁい!!」

 

提督「......なるほど。そういう事か」

 

青葉「あ、正気に戻りました!?」

 

提督「戻るも何も俺はいつも通りだ」

 

青葉「えぇ?」

 

 

青葉「そ、そうだったんですか......“日本が”今は冬なんですね」

 

提督「そうだ」

 

青葉「わ、わたしったら勘違いしちゃって......」カァ

 

提督「だが、心配してくれたんだろ? ありがとう」

 

青葉「い、いえそんな、お礼なんて......!」

 

提督「いや、言わなくては。信じられないことに、お前はこれから“良い子”になるって宣言したんだからな」

 

青葉「 」

 

提督「俺は感動して泣きそうになったぞ」

 

青葉「 」

 

提督「軍人、青葉に二言はないな? これからのお前の落ち着きぶりにきt」

 

青葉「は、反則です!!」

 

提督「ほう?」

 

青葉「あ、青葉は大佐を正気戻すためにそういう条件を出したんです! 元から正気ならそもそもその条件は無効です!!」

 

提督「そうか。なら、今まで通り悪い子でいるということか?」

 

青葉「ちょ、人の事を普段から悪い子だなんて言わないで下さいよ!?」

 

提督「そう言われてもな。結構俺はお前の、故意だか偶然だか判らない噂の流布に実害を被ってるぞ?」

 

青葉「そ、それは......!」

 

提督「ふむ......そうか、やはり元に戻ってしまうのか」

 

青葉「だからそれは一方的な見方であって......!」

 

提督「素直で良い子な青葉が俺は好きなんだがな」

 

青葉「だから......! って、え?」

 

提督「ん?」

 

青葉「い、今なんて言いました?」

 

提督「......雪か」

 

青葉「ねぇ、ちょっとぉ!?」

 

提督「なんだ騒がしいな。俺は故郷の冬を思い出してるんだ。邪魔をしないでくれるか」

 

青葉「あからさまに話をそらそうとしてるだけじゃないですか! ていうか、今何て言ったのかもう一回言って下さいよぉ!!」

 

提督「悪いが憶えてない。俺はボケたからな」

 

青葉「真顔でそんな事言っても信じられるわけないでしょう!?」

 

提督「そうか?」シレッ

 

青葉(嘘をつくのもやめて拒否した!?)

 

青葉「う......ぐす......」

 

提督「む」

 

青葉「ねぇ、言って下さい......言ってよぉ......。大佐、そんなに青葉のことが......ひっく、嫌い......なんですかぁ」ブワァ

 

提督(しまった......まさか泣くとは)

 

青葉「うぇぇん......ぐす、ひぐっ......ぐす......」

 

提督「青葉」ポン

 

青葉「ふぁ......大佐ぁ?」

 

提督「良い子な青葉が好きだ」

 

青葉「ほ、ホントに......?」

 

提督「......良い子、だったらな」

 

提督(ここで念を押せば、恥ずかしがって今言った事をうやむやにできるかもしれない)

 

青葉「な、なります?」

 

提督「ん」(なに)

 

青葉「あ、青葉良い子になります!」

 

提督「そう.....か?」

 

青葉「はい! 青葉、これからは良い子になって大佐に迷惑を掛けません!」

 

提督「......あまり我慢しなくていいんだぞ? 多少騒ぐのもストレスを溜めるよりかは......」

 

青葉「しません! 大佐が好きになってくれるなら、良い子にした方が絶対にいいです!」

 

提督「そうか......」

 

青葉「大佐、今の言ったこと本当ですよね?」

 

提督「......ああ」

 

青葉「大佐ぁ!」パァ

 

提督「青葉......」

 

提督(凄い嬉しそうな笑顔だ。ここでつい口が滑ったなんて言おうものなら俺は死んだ方がいい)

 

青葉「ねぇ、大佐」

 

提督「なんだ」

 

青葉「青葉をギュッとして下さい。もう今この時点から青葉は良い子の青葉ですから......」

 

提督「こうか?」ギュッ

 

青葉「はわぁぁぁ......ありがとうございますぅ。し、幸せぇ......」トローン

 

提督「大袈裟じゃないか?」

 

青葉「そんな事ないです! い、今更ですけど、あ、青葉も大佐の事好きだったんです」

 

提督「......そうだったのか?」

 

青葉「はい! でも、まさかそれを大佐の方から言ってくれるなんて......これはもう幸せと言う言葉以外適当な言葉はありませんよぉ」

 

提督「......」

 

青葉「? 大佐?」

 

提督「いや」ナデ

 

青葉「はぅ......」トロン

 

提督「青葉、これからよろしく頼む」

 

青葉「は、はい! 青葉頑張っちゃいますから! 頑張って......ケッコン目指しますから!」

 

提督「無理はするなよ、程ほどにな」

 

青葉「大佐の頼みなら!」

 

提督「そ、そうか......ありがとう」

 

青葉「お、お礼なんて......ただ、こうして抱きしめて貰えるだけで青葉は......大佐ぁ~♪」スリスリ

 

提督「良い子だな、青葉」ナデナデ

 

提督(......自分のスケコマシ振りが恥ずかし過ぎて穴に埋まりたい気分だ......)




青葉可愛い!
......くしてしまいました。
ちょっとキャラ崩壊でしょうか。
でも、青葉可愛いし仕方ないよね! 許してください!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。