提督の憂鬱   作:sognathus

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早朝、日課のトレーニングを終えて部屋に戻って来た提督は、机の上に置かれた朝食を見て固まりました。
いつも以上に無表情に眺めるその視線の先には、コーンフレークがありました。


第48話 「朝食」

提督「コーンフレーク......」

 

加賀「厨房のガスコンロの調子が悪いみたいで、急遽朝食はそれで代用する事にしたみたいです」

 

提督「......そうか」

 

加賀「大佐? ああ、牛乳ですか。絞ります?」

 

提督「何をだ。というか出ないだろ」

 

加賀「これから頑張れば或は......」ジッ

 

提督「やめろ、朝から。早く後ろ手に隠しているものを出せ」

 

加賀「バレてましたか」チッ

 

提督「おい」

 

加賀「どうぞ」シレッ

 

提督「全く......」

 

提督「......」

 

加賀「?」(お皿をずっと見つめてどうしたのかしら?)

 

提督「加賀」

 

加賀「はい」

 

提督「悪いが、ちょっとお遣いを頼まれてくれないか?」

 

加賀「構いませんが、何を買ってくれば?」

 

提督「たば......いや、おむすびを適当なのを」

 

加賀「......大佐」

 

提督「なんだ」

 

加賀「もしかしてコーンフレークが苦手なんですか?」

 

提督「......別に」

 

加賀「なら何故煙草やおむすびを買いに行かせようとしたんです? 私が出ている間に処分しようとか考えてませんでした?」

 

提督「......」

 

加賀「苦手なんですね?」

 

提督「......ああ」

 

加賀「ふっ......なんか子供みたいで可愛いですね」

 

提督「やめろ。昔から洋食とは相性が悪いんだ」

 

加賀「洋食ですか。そういえば、この前シチューも結構残していたような......。赤城さんとそれを取り合ったのを思い出しました」

 

提督「......」

 

加賀「牛乳も苦手なんですね」

 

提督「......はい」

 

加賀「大佐、良い機会ですから克服してみては? こんな事態がまたいつあるか分かりませんし、多少でも対応できるようにしておかないと」

 

提督「いや、無理に食べようと思えばできるんだ。食べたところで腹をくだすこともない。ただな」

 

加賀「ただ?」

 

提督「相性が悪い食べ物を食べると、その日は非常に調子が悪くなる。具体的にはあらゆる反応が鈍くなると言うか」

 

加賀「......隙が出来るという事ですか」

 

提督「おい、今邪な気配を感じたぞ」

 

加賀「気のせいです。大佐、私もご助力致しますので克服しましょう」

 

提督「話を聞いていたか?」

 

加賀「少しだけです。一口食べてダメそうなら私もそれ以上はしません」

 

提督「いや......」

 

加賀「あーん、がしたいです」ズイ

 

提督「それか」

 

加賀「はい」

 

提督「......」

 

加賀「お願い......」ジッ

 

提督「分った、一口だけだぞ」

 

加賀「大佐......」ポワァ

 

 

カチャ......

 

加賀「ふぅ......ふぅ......」

 

提督「おい、何故冷ます必要がある。最初からこれ冷ます程の熱もないだろ」

 

加賀「雰囲気です。はい、どうぞ」

 

提督「む......」

 

加賀「ど・う・ぞ」

 

提督「む......う」

 

加賀「口移ししますよ?」

 

パク

 

提督「むぐむぐ......しゃく」

 

加賀(こんな渋い顔した大佐見たの初めてね。なんかイジめてるみたいで変な加虐心が......)

 

加賀「どうです」

 

提督「ああ......やっぱり、ちょっと......な」サァ

 

加賀(たった一口で。アレルギーじゃないわよね)アセ、タラー

 

加賀「大佐、大丈夫ですか?」

 

提督「ああ......」クラクラ

 

加賀「ちょっと休みますか? 私の膝で」

 

提督「ああ......」

 

加賀(即答......! これ薬じゃないわよね。だとしたらこれは......いえ、駄目よ。これは奥の手として滅多に使わないようにしないと)

 

加賀「はい、どうぞ」ポン

 

提督「うむ......」ポテ

 

加賀「あ......た、大佐。うつ伏せに顔を乗せちゃ......」

 

提督「......」グテー

 

加賀「ん......息が......あ......」

 

提督「......すー......」

 

加賀(気ぜ......寝ちゃった!?)

 

加賀「大佐」

 

ツンツン

 

提督「......」

 

ペシペシ

 

提督「......」

 

加賀「凄いわね......。んっ、あ......」ピクッ

 

加賀(ちょっと、ちょっとだけ足を開いて......)グ......

 

フニィ

 

加賀「んん......!」ピクン

 

加賀(朝礼までまだ時間が大分......これはこれでいいかもしれないけど、生殺しな分なかなか辛くもあるわね)




その後朝礼までに何とか意識を取り戻した提督でしたが、本調子には戻り切れず、少し顔を赤くした加賀にフォローをしてもうらいながら何とか切り抜けたようです。

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