提督の憂鬱   作:sognathus

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不穏な空気からを察知した提督は、鎮守府からこっそり抜け出し、資材交換の目的地へと行く為に高速艇へと急ぎます。
港には航行中護衛役を務めるビスマルクが既に彼を待っていました。


第44話 「動揺」

Bis「大佐、早くっ」

 

提督「ああ、待たせた」

 

Bis「私が乗せて行ってもいいのに」

 

提督「そのつもりだったが、今は目立ちたくないんだ」

 

Bis「そう......でも、二人っきりね♪」

 

提督「そうだな。ま、目的地までは少し時間が掛かる、その間はのんびり過ごそう」

 

Bis「mein Lieber(愛しい人)......」ボソ

 

提督「ん? ドイツ語か」

 

Bis「あ、その......」カァ

 

提督「ん......Ich mag dich.(イッヒマァクディヒ)でいいか?」

 

Bis「大佐......。でもそこはできたら“liebe”(リーベ)を使って欲しかった、かな」

 

提督「ああ、そうか。最初にお前が使っていたな。すまん、こっちだと普段使うには意味が重いと思ってな」

 

Bis「ん、確かにドイツ人にも日本人と似た気質のところがあるから、そういうのも気にする人はいるけど。でも、私はそっちの方がいいわ」

 

提督「覚えておく」

 

Bis「ううん、いいの。言ってくれただけで嬉しかったから」

 

提督「そうか」

 

Bis「ね」

 

提督「ん?」

 

Bis「キスして欲しい......」

 

提督「まだ港が見える。もう少し我慢してくれ」

 

Bis「......じゃぁ撫でて?」

 

提督「それくらいなら。ほら」ナデ

 

Bis「ん......♪」

 

 

――港を出て数分後

 

Bis「すぅ......すぅ......」

 

提督(撫でていたら寝てしまった。まぁ、潮風や日差しが気持ち良いからな)

 

提督「少し寝かせておくか......」ソッ

 

Bis「んん......」ギュッ

 

提督(む、腕が......)

 

Bis「んー......♪」スリスリ

 

提督(参ったな。何時までも自動操縦にはしておけないし)

 

???「わぁ、お熱いねー、ってやつ?」

 

提督「......レ級?」

 

レ級「せいかーい!ていうか驚きもしないんだね」

 

提督「......いつの間に」

 

レ級「あはははは。何それ同情? やめてよもー、恥ずかしいじゃん!」

 

提督「いや、驚いたのは本当だ。一体いつの間に」

 

レ級「小舟が見えたから漁船かと思ってさ。ちょっとお魚分けて貰えないかなーって」

 

提督「脅すつもりだったのか?」

 

レ級「む、違うよ! ちゃんとお願いするつもりだったもん! 断わられたら諦めるつもりだったし!」

 

提督「一般人が深海棲艦なんか見たら大抵は恐怖に震えて要求を呑むと思うがな」

 

レ級「だ・か・ら、お願いするつもりだったんだって!」プク

 

提督「随分礼儀正しい深海棲艦だな」

 

レ級「え? もしかしてそれ褒めてくれてる? その子みたいに撫でてくれる?」

 

提督(しまった......マリアが無防備だ)

 

レ級「心配しなくたってまだ休戦中だし、そうじゃなっかったとしても僕は絶対にそんな卑怯な真似はしないよ」

 

提督「......」

 

レ級「本当だって。それにこの子可愛いしね。ね、触っていい? わぁ、ほっぺた柔らかーい」ツンツン

 

提督「もう触ってるじゃないか」

 

レ級「襲わないからいいじゃん。わ、この子胸も意外にあるんだね。わぁ服の上からでもふわふわするー」

 

むにゅむにゅ

 

Bis「ああん......大佐ぁ......」

 

レ級「へ?」

 

提督「......」

 

レ級「あー......なるほどー」ニヤニヤ

 

提督「......なんだ?」

 

レ級「たーいさ、ね。僕、どう?」ピト

 

提督「おい、俺とお前は敵同士......」

 

レ級「今はそういうのナシ! ね、それでどう? 僕は?」

 

提督「なにがだ」

 

レ級「僕、この子みたいに胸があるわけじゃないけど、そこそこ可愛いと思うんだ」

 

提督「自分でそれを言うか。というよりそもそも俺が可愛い娘なら誰にでも手を出しているというその考えは遺憾だ」

 

レ級「え、違うの?」

 

提督「当り前だ。ちゃんとお互いの同意の上、好き合ってる者同士だ」

 

レ級「ふーん......じゃ、僕も」

 

提督「なに?」

 

レ級「僕も好きになって!」

 

提督「お前は敵だろう......」

 

レ級「そ・れ・で・も! 敵に愛通じ合う子がいるなんてロマンじゃん!」

 

提督「随分軽いロマンだな。悪いがお断――」

 

チュ

 

提督「っ!?」

 

レ級「......ん......ふ......」

 

提督「......っ」ググ

 

レ級「......っふぅ。もうそんなに抵抗しないでよ。傷つくなぁ」

 

提督「な......っく......」

 

レ級「へぇ、大佐もそういう顔するんだ。初めて見たかも。もしかして超レア?」

 

提督「お前は、何を考えて......」

 

レ級「好きな人に敵も味方も関係ないよ。うん、決めた。僕大佐が好き」

 

提督「......は?」

 

レ級「よし、キスも貰った事だしもう行こうかな。あ、好きになった分は奇襲少なくするから。じゃ、大佐またねー」

 

チャプンッ

 

 

Bis「ん......私寝ちゃって......あ、大佐。傍に居てくれたんだ」

 

提督「......」

 

Bis「大佐?」

 

提督「ん? ああ、おはよう。目が覚めたか」

 

Bis「うん......何かあったの?」

 

提督「......キスの事をな」

 

Bis「え?」

 

提督「しないか?」

 

Bis「あ、覚えてくれて......うん、してっ♪」

 

チュ

 

Bis「ん......」

 

提督「......」

 

提督(同じ感触だ、温かい。レ級も同じだった)

 

Bis「んん......ちゅ」

 

提督「......」ギュッ

 

Bis「あ......♪ ん......ちゅ......」

 

提督(深海棲艦と人間、本当に敵対するしか道はないのだろうか......)




レ級可愛い!
まだ戦った事ないけど。

でも強いんでしょうねぇ。
5-5なんてクリアどころかやる気自体がまだ起きないので、当分そのご尊顔を見るのは先になりそうです。

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