まぁ、それだけの話です。
武蔵「なぁ」
彼女「んー?」
武蔵「本部から各鎮守府へ“私”の建造許可が下りたらしいな」
彼女「そうね」
武蔵「ふふん」
彼女「......なにを自慢げにしてるの?」
武蔵「いや、いくら他の鎮守府の提督が“私”を造ろうが、ここにいる私は正真正銘の一人目だからな。他の奴は私がいるからできるわけで」
彼女「つまり自分がオリジナルなのが誇らしいのね」
武蔵「それだけじゃない。しかも私はお前に拾われた身だからな。やはり、作られた奴等とは違うんだよ」
彼女「......あまり差別的な発言をする子は好きじゃないわね」
武蔵「ご、ごめんなさい!」ブァッ
彼女「いちいち泣かないでよ。いくらなんでもあなたは私に対して隙があり過ぎ」
武蔵「だって、好きなんだ......仕方ない」
彼女「感情的な論理の帰結は認めませーん」
武蔵「い、意地悪しないで......!」グス
彼女「はいはい。分かったから」ナデナデ
武蔵「うん......」
彼女「それしても大和に続いて武蔵も、とはね」
武蔵「戦況の悪化か?」
彼女「どうだろう。今の状態だと戦い続ける限り決着はつかないからね。お互いに膠着が最も望ましい形なのだと思うんだけど」
武蔵「ふーん......敵が本気で来るのかも?」
彼女「それはそれで望むところよ。ここにいる艦娘は何れも全て“一人目”にして最強。まだ一部にしか公にしてない秘蔵艦もいる」
彼女「彼女たちに挑む事は私達の力を敵が思い知る事と同義。その時、私達は自分の仕事をして勝つだけよ」
武蔵「慢心はいけないぞ」
彼女「ふふ、慢心にしろ自惚れにしろ、自分に溺れる自信くらいないと提督なんてやってられないわよ。いい? 武蔵。だから私はあなたの提督なのよ?」
武蔵「......」ポー
彼女「ん? なに?」
武蔵「いや、カッコ良すぎて惚れ直してしまった」
彼女「あら、ありがとう」
武蔵「今晩は燃えそうだ」
彼女「仕事中よ。そういう話は休み時間」
武蔵「すまん」
彼女「解ってるからいいわよ。んー、それにしても敵が攻めてくるかも、かぁ」
武蔵「久しぶりに全力で暴れてみたいものだな」
彼女「あなたがそれをする時は死をも覚悟する時よ」
武蔵「私とて戦艦だ。それくらい分っている」
彼女「違う。解ってない。私は死んで欲しくないってい言ってるのよ?」
武蔵「っ......提督!」ダキッ
彼女「やめて。仕事できない」
武蔵「やだ。暫くこのままがいい」ムギュムギュ
彼女「またそんな事言って......あ、もうすぐ休み時間か」
武蔵「な? いいだろう?」
彼女「ま、いいか。温かいし」
武蔵「最近寒くなって来たな」
彼女「そうね。......そういえばあいつがいる所はずっと夏だったわね」
武蔵「大佐か?」
彼女「うん。あいつね、日本の四季が結構好きなのよ」
武蔵「そうなのか? それじゃあ大佐にとっては年中暑いあそこは苦痛だな」
彼女「ふふ、それがそうでもないの」
武蔵「? どういうことだ?」
彼女「あいつね。四季は好きだけど、寒いのが苦手なの」
武蔵「はぁ? はははは。なんだそれは」
彼女「面白いでしょう?」
武蔵「意外だ。大佐は表情がいつも硬いから何が苦手なのかも分り難かったからな」
彼女「でしょう? 寒いとね。あいつ本当に外に出ようとしないのよ」
武蔵「そうなのか?」
彼女「真面目な顔していろいろ理由を着けて炬燵からなかなか出ようとしないの」
武蔵「へ?」
彼女「風邪になるから、とか。霜焼けになるから、とか。それはもういろいろね」
武蔵「信じられないな......」
彼女「ま、学生時代の話だから今はどうか分らないけどね。でも少なくとも今の環境はあいつにとってそう悪くない筈よ」
武蔵「なるほどなぁ」
彼女「あ、休み時間がなくなっちゃうわね。武蔵、今日は食堂で食べるわよ」
武蔵「む......名残惜しが解放するか」
彼女「宜しい。行くわよ」
武蔵「ああ」
大和「......」
大和「中将、私達も食事行きましょう」
中将「あ? 私達も?」
大和「あ、いえ」
中将「儂は今から煙草を吸うから、食事ならお前一人で行っていいぞ」
大和「中将......」
中将「おいおい。何て顔するんだ」
大和「お父さん、行きましょう!」
中将「いやだ。爺ちゃんと言え」
大和「えっ」
中将「爺ちゃん」
大和「じ、じ......」
中将「ほれ、どうした?」ニヤニヤ
大和「じ......うぅ......」ジワ
中将「はははははは。よっしゃ、可愛い孫に泣かれちゃ敵わんから行くか」
大和「最初からそうして下さい!」
中将たち以外の軍人も出したいところ。
でも、塑像力がないのでどうしたものか、考えてる内にその機会を逃しそうです。
ま、それでもいいんd
武蔵が出た記念に思いついた話でした。
運営様、ネタ提供ありがとうございます。