提督の憂鬱   作:sognathus

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“武蔵の建造許可が下りた。”

確実に建造できるわけではないものの、以前に彼女の付き添いでいた武蔵を見た時から久しぶりに大型建造に興味を持ち始めていた提督は、条件反射的にヤってしまったのである。

その結果は......。



第41話 「偶然」

提督「......」ダラダラ

 

大淀「......」ニコニコ

 

武蔵「?」

 

大淀「大佐、何か言う事は?」

 

提督「ない。敢えて言えば間が差したとしか......」

 

大淀「弾薬どうするんですか?」

 

提督「そこは、武蔵の誕生祝という事にはいかないだろうか。仮にも一回で生まれて来てくれたわけだし......」

 

大淀「その“一回”でこの鎮守府がどれだけ窮地に立つ結果になってしまったのか解ってます?」

 

提督「......そうだな。弾薬の交換の話が成立してなかったら終わっていたな」

 

大淀「全く、大佐らしくない......」

 

提督「申し訳ない。男というのはこういう時に衝動で動いてしまうものなんだ。今日俺も、その類の例に漏れないという事をつくづく痛感した......」

 

武蔵「な、なぁ。私生まれたら駄目だったのか?」

 

大淀「そんな事はありませんよ! 武蔵さんは間違いなく大戦力のひとつですから。わが鎮守府には絶対必要な戦艦です!」

 

武蔵「大戦力......! そ、そうか! そうハッキリ言って貰えると嬉しいものだな」テレテレ

 

大淀「問題は大佐です。間が差したとは言え、前の作戦で消費した弾薬の補充もできていなかったのにまさか大型建造をしてしまうなんて......」

 

提督「重ね重ね申し訳ない。腹を切れと言うのであれば、新しい提督着任の要請を次第すぐにこの場で......」

 

大淀「誰もそんな事言ってません。大佐の事大好きなんだから死なれても困ります。というか死ぬなんて絶対に許しません」

 

提督「申し訳ございません......」

 

武蔵(だ、大好きって......)

 

武蔵「な、なぁそんなに弾薬が......弾薬だけがヤバイのか?」

 

大淀「はい。それ以外は全く問題ありません。何せ弾薬以外は保有限界量を常に維持してますから」

 

武蔵「そ、そうか」(あ、結構私に向いてる鎮守府だったみたいだ)

 

提督「望月や加賀に会わせる顔がないな......」

 

大淀「正直に言った方がいいところでしょうけど......まぁ、表面上は取り繕ってごまかせるくらいの量はありますから。そこは私が何とかしてみせます」

 

提督「できるのか?」

 

大淀「その為に一時的にこの仕事に復帰したんです。執務専任の私の力、甘く見ないで下さい」

 

提督「頼もしいな。あ、いや、頼りない提督で本当にすまない」

 

武蔵「た、大佐。もうそんなに謝るのはやめてくれ。わ、私を建造してくれたんだろ? その事に関しては私は凄く感謝しているから」

 

大淀「そうですね。今回はただの戦力の拡充ではなくて、大幅な拡充になりましたからね。その点だけは喜ぶべきだと私も思います」

 

提督「......」

 

大淀「大佐、もうしませんか?」

 

提督「誓って」

 

大淀「今度からは建造する前に必ず相談してくださいね?」

 

提督「必ず」

 

大淀「キスして下さい」

 

提督・武蔵「え?」

 

大淀「何か?」

 

提督「いや......失礼する」

 

チュ

 

大淀「ん......ちゅ......ん......ふ......」

 

武蔵(わ...わ...)カァ

 

提督「ちゅ......ん......」(長い......)

 

大淀「ん......れろ......ちゅ......ふぅ」

 

提督「っ......ふぅ......はぁ」

 

大淀「はい。よく出来ました。これで全て許してあげます」

 

提督「あ、ああ。ありがとう」

 

武蔵(す、凄いキスだったな......)ポ

 

大淀「あ、武蔵さんもします?」

 

武蔵「ええ!? なんで私が!? あ、いや嫌いとかじゃないけどあまりにも振りが唐突というか」アセアセ

 

提督「おい、流石に無理があるぞ」

 

大淀「そうですか? この鎮守府にいる艦娘は基本、全員大佐の恋人だと思っていたのですが」

 

武蔵「こ、恋人......」カァ

 

提督「せめて本人の意思くらい尊重してやれ」

 

大淀「まぁ、そうですね。確かにそこは私の勝手でした。武蔵さんごめんなさい」

 

武蔵「ああいや、別に! 私も嫌だったわけじゃ!」

 

大淀「へぇ?」ピク

 

武蔵「え?」

 

大淀「“私の大佐”の恋人になる機会を自ら辞退したにも関わらず、キスは嫌じゃなかった?」

 

武蔵「え、いやそれは......」

 

大淀「武蔵さん、貴女は大変お強い戦艦なのでしょうが、大佐の事はあまり安く見ないで下さいね。でないと......」ゴゴゴ

 

武蔵「あわわ......」ジワ

 

提督(大淀ってこんな性格だったのか。あいつの所で見た大淀とは大分違う気がするな)

 

大淀「......後悔しますよ? いろいろと」ギロ

 

武蔵「ひゃ、はい!」

 

大淀「......なんて冗談ですよ。ちょっとこの鎮守府に配属になる上で軍人として心構えを持って欲しかっただけです」ニコ

 

武蔵「ふ......ぇぇ?」グス

 

大淀「私みたいな巡洋艦が偉そうな口をきいてごめんなさい。それじゃ、大佐。私は皆に武蔵さんを紹介する場を設ける準備とかをしてきますので」

 

提督「ああ、頼む」

 

大淀「あ、弾薬の件も忘れてませんからね。全てこの大淀にお任せ下さい。キスの分はしっかり働いてみせますよ」

 

提督「そうか......」

 

大淀「はい。あ、武蔵さん」

 

武蔵「はいっ」ビクッ

 

大淀「私は席を外しますので、後は大佐と適当に話して挨拶でもしておいて下さい」

 

武蔵「了解した。大淀殿!」ビシッ

 

大淀「そんなに畏まらないで下さいよ」ニコ

 

武蔵「す......申し訳ない!」ビクッ

 

大淀「だから大袈裟ですって。あ、もう行かないと。それでは失礼しますね」

 

バタン

 

 

武蔵「......」

 

提督「まぁその......怖かったな」

 

武蔵「!」ピクッ

 

提督「我慢しなくていいぞ」

 

武蔵「!」ピクピクッ

 

提督(ん? 髪が動いた......? 気のせいか)

 

武蔵「......」クルッ

 

提督「ん? 武蔵?」

 

武蔵「......た、確かに怖かった」プルプル

 

提督「そうだな。俺も気を付けないとな」

 

武蔵「な、なぁ」

 

提督「ん?」

 

武蔵「抱き着いていい......か?」グス

 

提督「遠慮するな」

 

武蔵「っ、......ふわぁあぁぁぁん! 怖かったよぉぉぉ!」ダッ

 

提督(しまった。こいつは戦艦、しかも大和が......)

 

ダキッ

 

提督「ぐぅっ......く......むぐ......ぐぁ」ドゴ

 

武蔵「ふぇぇぇぇん!」メキミシ

 

提督(耐えろ、耐え抜け俺......)

 

提督「む......さし」

 

武蔵「ぐす......なんだ?」

 

提督「もす......少し力を緩めてくれたら撫でてやれるんだが......」クラクラ

 

武蔵「あ......うん、撫でて欲しい」パッ

 

提督「っ......はぁ......ぜぇ......」

 

武蔵「あ、力......大丈夫か?」アセ

 

提督「気に......するな......。それよりほら......」

 

くしゃ......ナデナデ

 

武蔵「あ......ふぁう......ん......♪」

 

 

 

――数分後

 

武蔵「ん......♪」スリ

 

提督「落ち着いてくれてよかった」ナデ

 

武蔵「ん......この心地、良いな。好きだ」

 

提督「そうか。よかった」ナデ

 

武蔵「大佐」

 

提督「うん?」

 

武蔵「大佐は優しいな。それも嬉しかったぞ」カァ

 

提督「......あまり強さを誇るなよ。強すぎる自負は心の負担も増すからな」

 

武蔵「うん......この鎮守府に来た時からもう私は大佐の命令をちゃんと聞くと決めたからな。大丈夫だ」

 

提督「賢い子だ」ナデ

 

武蔵「んん♪ だから......もう少し、いいか?」

 

提督「遠慮するなと言ったろ?」ナデ

 

武蔵「ふぁ......ありがとう」




武蔵できましたよ!

やったね!
でもこれで夏イベントはある意味絶望的になったかもしれません。
これ......武蔵の弾薬を補給した時点で多分もう終わりだよな......。

ご利用は計画的にしましょう。

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