提督の憂鬱   作:sognathus

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査察から帰った提督は、早速大淀に謝罪するために厨房へと向かいました。
果たして上手く行くのでしょうか。


第33話 「仲直り」

鳳翔「大淀さん、次はこれを浸しておいてください」

 

大淀「はい、分かりました」トントン

 

鳳翔「お汁の方はどうですか?」

 

大淀「大丈夫だと思います。はい」

 

鳳翔「ん、失礼しますね。ズズ......」

 

大淀「もう少しお味噌足します?」

 

鳳翔「いいえ、大丈夫です。美味しいですよ」

 

大淀「よかったぁ♪」

 

 

提督「......」(本当に居た)

 

提督(どうする、今まで存在に気付かずに一年以上は経っているぞ。これはもうれっきとした虐めだ)

 

提督(自然に話しかけた方がいいか? いや、やはり先ずは土下座も辞さない構えで謝罪の意を表した方が......)

 

提督「ブツブツ......」

 

鳳翔「え? 大佐どうしたんですか? 厨房に来るなんて初めてですよね?」

 

提督「む」(しまった)

 

大淀「!」ビクッ

 

提督「いや、まぁ......その、大淀......に用があってな」

 

鳳翔「大淀さんですか? 居ますよ。でも、ここまで来るなんて珍しいですね、執務室ではお会いになられなかったんですか?」

 

提督「いや......会うというか......」

 

鳳翔「?」(何か歯切れが悪いわね。凄く珍しい)

 

提督「まあとにかく大淀をちょっと借りていいか?」

 

鳳翔「ええ、構いませんよ。夕食の準備はもう殆どできましたから。大淀さん」

 

大淀「......知りません。大淀って誰ですか? そこに誰かいるんですか?」

 

鳳翔「え?」

 

提督「......」(当り前だが激怒しているな)

 

鳳翔「お、大淀さんどうしたの?」(何か急に機嫌が......?)

 

大淀「あ、鳳翔さんごめんなさい。鳳翔さんはちゃんと見えますよ。でもあそこに誰がいるのかは私にはちょっと判らないんです。ごめんなさい」

 

鳳翔「ええ!?」

 

提督「大淀......」

 

大淀「......」プイッ

 

鳳翔「た、大佐。これってどういう事です?」

 

提督「あ、うむ。その、実はな......」

 

鳳翔「......酷い」

 

提督「弁明の余地もない」

 

鳳翔「いえ、これは弁解も無理ですよ」

 

提督「......だな。失言だった」

 

鳳翔「まさか大佐がこんなに鈍感だったなんて......」

 

提督「申し訳ない」

 

鳳翔「謝らないといけないのは、大淀さんにですよ?」

 

提督「もっともだ」

 

大淀「......」ツーン

 

鳳翔(あの大淀さんがここまで......でも、流石に仕方ないわよね)

 

提督「どうしたらいいだろうか......あ、いや。他人に助けを求めるのは筋違いだなこれは」

 

鳳翔「え? 他人?」カチン

 

提督「ん?」

 

鳳翔「大佐、私と貴方は既に結ばれた仲ですよね?」

 

大淀「!?」

 

提督「結ば......おい、いきなり何を」

 

鳳翔「言い替えれば恋仲です。それを“他人”と言いますか?」ニコ

 

提督「待て、鳳翔。それは誤解だ。あくまで第三者という意味での他人であって......」

 

鳳翔「そ・れ・で・も! 私の前では言って欲しくないです」プクッ

 

提督「心得た。了解だ。だから機嫌を......」

 

大淀「大佐ぁ?」ユラァ

 

提督「お、大淀? お前俺を無視してたんじゃ......」

 

大淀「そんな事は今はどうでもいいんです。それより、さんざん私の事に気付かなかった癖に」

 

大淀「私がこうやって厨房が居場所になってしまった間に大佐、貴方は一体何を......」ワナワナ

 

提督「ぐ......」(手詰まりだ。最早死んで詫びるしかない)

 

鳳翔「大佐?」ズイ

 

大淀「大佐ぁ?」ズズイ

 

提督「悪かった......この過ち、死んで償うか......」

 

鳳翔「そ、そこまでしなくていいです!」(言い過ぎちゃった!?)

 

大淀「別にそこまで望んではいません。じゃ、何でも私の言う事聞いて下さい」

 

鳳翔「え?」

 

提督「分かった。可能な範囲で善処する」

 

大淀「......無責任に全部叶えると言わないだけマシですね。それでは一つ目ですが」

 

提督「ああ」

 

大淀「もう仕事の手伝いはしたくありません。ここ(厨房)で働きたいです」

 

提督「っ、それは......仕方のない事だよな」

 

大淀「勘違いしないで下さい。別に元々の職務が嫌になったわけじゃないです。ただそれ以上にここでの仕事が好きなったんです。いいですか?」

 

提督「......勿論だ」

 

大淀「では2つ目です。もう私の事を見失わないで下さい。これは絶対です。いいですね?」

 

提督「......この命に代えても」

 

大淀「3つ目ですが、これで最後です。私も大佐の恋人にしてください」

 

提督「......俺の?」

 

大淀「何不思議そうな顔をしてるんですか? まさか嫌だとでも?」

 

提督「いや、そんなことは......。だが、俺だぞ? 今までずっとお前の事に気付かなかった最低な男だぞ?」

 

大淀「それはわざとじゃなかったんですよね? なら本当に大負けで許してあげます」

 

大淀「その代りに失った時間の分、つまり過程を飛ばして私を恋人として受け入れて下さい。今度はきちんと私に自分も大佐の大事な艦であるという自覚を下さい」

 

提督「......」

 

大淀「以上です。いですよね?」

 

提督「断わるわけがないだろう。その条件、全て受け入れさせて貰う」

 

大淀「......なら、いいです。今までの事は水に流してあげます」ニコッ

 

提督「本当にすまない。そしてありがとう......」

 

鳳翔「あ、あの!」

 

提督「うん?」

 

鳳翔「わ、私も。私も1個だけお願いがあります」

 

提督「遠慮するな。言ってくれ」

 

鳳翔「き、キスして下さい。改めて私が貴方の恋人だという証明が欲しいです......」

 

提督「......分った」

 

大淀「......大佐、4つ目追加です。私もそれ下さい」

 

提督「......了解した」

 

 

チュ......チュ

 

 

鳳翔「はい、これで♪」

 

大淀「仲直り完了です♪」

 

提督「......溜飲が下がる思いだ」




大淀って実際に使えるようになったらどんな事喋ってくれるんでしょうね。

筆者はあの人に笑顔で踏まれt

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