提督の憂鬱   作:sognathus

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ある日提督は、駆逐艦の菊月、長月、三日月に部屋に呼び出されました。
普段、艦娘から部屋に呼ばれる事はあまりない提督は何事かと途中出会った鈴谷達も一緒に、要請に応じて出向くのですが、そこで待っていたのは......。


第31話 「綱紀粛正」

長月「長月参上!」

 

菊月「菊月、まかり越した!」

 

三日月「三日月、お待たせしました!」

 

長・菊・三「三人揃って」

 

「睦月型戦隊マジメンジャー!」ドーン

 

提督「......何をやっているんだお前たち」

 

菊月「ああ、大佐か。いや、この前睦月型一同で話していたら」

 

三日月「誰が一番真面目なのかという話になりまして」

 

長月「話し合いの結果、私たち三人が特に真面目で可愛いという事に決定したんだ」

 

睦月「え? 可愛いなんて議論したっけ?」

 

菊月「(無視)まぁそういうわけで、せっかく駆逐艦の中でも一番真面目で輝いてる女子として選ばれたわけだから」

 

文月「輝いてる?」

 

長月「(無視)この際、真面目な子同士で団結して鎮守府内の風紀の乱れを正す為に日夜奮闘している大佐の力になる事を決めたんだ」

 

鈴谷「へぇ~、それでー、なんだっけ? ああ、ダルイ戦隊マジメンドイを結成したんだ」

 

三日月「マジメンジャーーです!! 名誉棄損でジェーン判事に訴えますよ!」

 

熊野「あら、でもマジメウドンにしろマジモロコシにしろ、“men”が入ってる時点で男性扱いですから、そのネーミングは正しくないと思いますわよ?」

 

菊月「マジメンジャーだ!! どうして全部食べ物なんだ!?」

 

長月「だが、熊野さんの言う事にも一理ある、せっかく結成したグループ名が婦女子っぽくないのは問題だ」

 

望月「三日月たち三人以外が全員真面目じゃない奴みたいな扱いを受けるのも問題だと思うんだけど」

 

文月「文月は真面目だもん! ちょっと甘えん坊なだけだもん!」

 

提督「お前たち本当に議論したのか?」

 

菊月「ああ、皆が集まる前に結論を出したぞ」

 

皐月「それ会議してないじゃん!?」

 

三日月「(無視)まあそれはともかく、女の子っぽい名前じゃない、ですか......」

 

子日「子日にいいアイディアあるよ!」

 

長月「おお、聞こうじゃないか」

 

子日「鼠戦隊ハツハルレディーズとかどうかな!」

 

菊月「おい、戦隊の名前が病原菌を蔓延させる齧歯類になってるぞ」

 

子日「げ、齧歯類!?」ガーン

 

初春「ハツハルレディーズという名前も何やら古臭さを感じるのう。というか、妾を巻き込むでない、この戯け」

 

子日「ショック!」

 

三日月「取り敢えず子日の案は却下ですね。うーん、何がいいでしょう......」

 

菊月「大佐は何か案はないか?」

 

提督「俺に聞くな」

 

長月「案っ、案が欲しいんだ!」グイグイ

 

提督「服を引っ張るな。分かったから」

 

長月「うむ」

 

提督「ふぅ......そうだな、綱紀粛正戦隊カゼカオルとかいうのはどうだ?」

 

菊月「おお......」キラキラ

 

三日月「こ、綱紀粛正戦隊......」キラキラ

 

初霜「な、なんか一気に物騒な戦隊名になってない......?」

 

暁「そうね。って、初霜は戦隊に入ってないのね、真面目なのに」

 

初霜「私は辞退したの」ヒソ

 

暁「ああ......」

 

長月「そのカゼカオルというのはどういうモチーフで決めたんだ?」

 

提督「風紀を正すという事は鎮守府内の空気を正す事だ。どうせ正すなら良い香りがするくらい清らかな空気(風)で満たしたいだろ?」

 

長月「な、なるほど......」

 

叢雲(本人の前では言えないけど、大佐のネーミングも独特というか、なんか古臭いわね)

 

菊月「では、戦隊の名前はそれでいいだろう。どうだ? 皆」

 

三日月「異議なし!」

 

長月「賛成だ」

 

菊月「よし、ではリーダーとしてこの戦隊の名をこれより鎮守府内にとd」

 

長月「ちょっと待て」

 

菊月「なんだ?」

 

長月「何故菊月がリーダーなんだ? 私じゃないのか?」

 

三日月「え、ちょっと待ってください。リーダーは三日月じゃ......」

 

菊月「お前たちは何を言ってるんだ? リーダーは最初からこの菊月以外いないだろ?」

 

三人「......」バチバチ

 

卯月「早くも解散の危機ぴょん♪」

 

霞「なに楽しそうに言ってるのよ」

 

菊月「いいだろう。ではどちらがリーダーに相応しいか砲撃による的当てで決めようじゃないか」

 

長月「それでいいのか? 後悔するなよ?」

 

三日月「望むところです」

 

提督「こら、勝手に実弾での訓練をするな。許可はしないぞ」

 

菊月「嫌だ! これはリーダーを決める大切な戦いなんだ! 訓練っ、訓練をさせてくれ!」グイグイ

 

提督「だから服の裾を引っ張るのはやめろ」

 

三日月「白黒はっきり着けないとダメなんです!」グイグイ

 

提督「三日月もか......。お前たちいいか、そもそも――」

 

不知火「話は聞かせてもらいました」

 

三人「!?」

 

Z3「私たちを差し置いて真面目がどうこうとはいい度胸ね」

 

夕雲「貴女達、昨日散々会議をするとか言って部屋を散らかしっぱなしにしたのを忘れてないかしら?」

 

菊月「み、三日月片付けてなかったのか!?」

 

三日月「な、何を言ってるんですか!? お手洗いから戻った後に片付けると言ったのは長月ですよ!」

 

長月「ちょっと待て! 私は菊月が片付けると聞いたぞ!」

 

三人「......」

 

不知火「もう充分です」

 

ビクッ

 

Z3「貴女達に罪の意識が全くないことはよく判ったわ」

 

ビクビクッ

 

夕雲「普段は真面目なのに、何かに夢中になると周りが見えなくなるのは悪い癖ですね。これは......」

 

不・3・夕「粛清が必要ね」

 

菊月「そ、総員撤退!!」

 

長月「了解した!」

 

三日月「仕方ありません!」

 

ダッ

 

不知火「逃がしませんよ。覚悟しなさい」

 

Z3「私たちを真面目じゃない扱いにした罪は重いわ」

 

夕雲「二人ともそんな事気にしてたんですか......」

 

ワーワー

 

 

提督「......あの三人は、急に戦隊とか一体どうしたんだ」

 

クイクイ

 

提督「ん?」

 

響「これ」

 

『海上護衛戦隊シーガーディアンズ 制作:大本営情報部広報課シーガーディアンズ制作委員会』

 

提督「なんだこれは」

 

響「面白いよ?」

 

提督「お前の影響か」

 

響「一緒に観よ」

 

提督「いや、俺は......ん?」

 

部屋に残ってる駆逐艦達「......」キラキラ

 

提督「......まあ、偶にはいいか」




この後、意外に凝った作りの内容に少し感心した提督なのでした。

最近の戦隊ものは流石に名前くらいしか知りませんが、子供の時は割とはまってた記憶があります。
駆逐艦も見た目が子供なら結構は好きだったりしないかなぁ、と。

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