提督の憂鬱   作:sognathus

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大佐の元彼女が本部に帰投しました。
彼女は報告を行う為に中将の部屋を訪ねます。


第28話 「帰投」

彼女「中将殿、只今戻りました」

 

大和「少将、ご苦労様です」

 

中将「おう、ご苦労だった。で、どうだったよ?」

 

彼女「中将の予想通りでした。私から用心するよう注意はしました」

 

中将「そうか、それでいい。あいつならそれで十分だろう」

 

彼女「後、一応視察の名目だったのでこれは報告書です......」

 

中将「ん、そこに置いておいてくれ。大和、後でそれを......大和?」

 

大和「......」

 

武蔵「......」

 

大和はさっきから心ここにあらずという感じで窓を見ている武蔵をずっと見ていた。

少将のワンコな武蔵は見たことがあるが、あんなに呆けた武蔵を大和は初めて見た。

 

中将「おい、どうした大和?」

 

大和「あ、申し訳ありません。ちょっと考え事を」

 

中将「ほう、珍しいな。なんだ? お前も大佐の事を考えていたのか?」ニヤ

 

大和「はい?」ギロ

 

武蔵「なんだと?」

 

彼女(また何を......)

 

武蔵「おい、大和それはほんt」

 

大和「中将?」

 

中将「ん?」

 

大和「どうして私が貴方ではなく、大佐の事を考えていなければならないんです?」ニコ

 

中将「お?」(あ、逆鱗に触れたか)

 

大和「前から言ってますよね? 私は中将一筋だと」

 

武蔵「え?」

 

彼女(大和、怒りで周りが見えて......)

 

中将「おいよせ。恥ずかしいだろ。はははは」

 

大和「もう笑わないで下さい! 本気なんですよ!?」

 

中将「ああ、分かった分かった。分かったから取り敢えず、今はここまでにしておけ、ほら二人に惚気てるところを見られて恥ずかしいし」

 

武蔵「あ、いや別に......」(ん? あれノロケてたのか?」

 

彼女「いえ、どうぞお気になさらず。報告書の提出も終わりましたし、もう退出するところでしたので」

 

彼女(どこが惚気よ。中将は本当にガードが......いや、何か違う......?)

 

大和「あ......」ボッ

 

中将「ほら、言わんこっちゃない。ここは2人の気遣いに感謝しておけよ」

 

大和「あ、はい......」シュン

 

武蔵「あ、いやその、気にするな。う、うん。私は何も見ていない」

 

大和「っ!」ウル

 

武蔵「ええ!?」

 

彼女「武蔵、行くわよ」

 

武蔵「え? あ、おい? あ、謝ったほうが......」

 

彼女「いいのよ。ほら、さっさとする。中将殿失礼し致しました」カッ

 

中将「ああ。ご苦労だったな」ヒラヒラ

 

武蔵「え? え? 私、何か悪い事したのか?」ズルズル

 

バタン

 

 

中将「......」

 

大和「う......ぐす」

 

中将「ほら、こい」

 

大和「中将ぉ!」ダキ

 

中将「全く、お前は偶にこうなるよな」ナデナデ

 

大和「ごめんなさい......」メソメソ

 

中将「ま、儂の事を想っての事だしな。別にいいが」ポンポン

 

大和「中将......」スリスリ

 

中将「はは、まるで借りてきた猫だな」

 

大和「んー♪」スリスリ

 

中将「おい、膝にまで乗ってくるな。重いわ」

 

大和「や、です」

 

中将「まるで童女みたいだぞ」

 

大和「恋人が無理ならもう、娘でもいいです......」

 

中将「ん......すまんな」ナデ

 

大和「......中将」

 

中将「ん?」

 

大和「なぜ、です?」

 

中将「......大和」

 

大和「はい」

 

中将「儂、老けてるだろ?」

 

大和「え、そんな事......」アセ

 

中将「いやいや、そこでお世辞はもう無理がある、ふははは! まぁ、ちゃんと年相応に見えるだろ?」

 

大和「......はい」

 

中将「それがどういう事か判るな?」

 

大和「......///」コク

 

中将「今は全部は言えが、少しだけ秘密に触れてやろう。大和、儂ら幹部、特に上層部の連中は皆、他の幹部に比べて年相応というか、老けてるだろ?」

 

大和「言われてみれば......」

 

中将「それはな、儂らが過去にある罪を犯した事に対しての贖罪の意志の表れなんだ」

 

大和「贖罪?」

 

中将「ああ、そうだ。儂もそれに関わった。自分だけいい子ぶるつもりはないが、止めようと必死にもなったがな。結局叶わなかった」

 

大和「中将......一体過去に何が......」

 

中将「それはまだ言えんが、一つだけ教えてやれるとしたら」

 

大和「......はい」

 

中将「深海棲艦が今世の中にこれだけ蔓延っているのは、先ず間違いなく儂ら海軍の所為だという事だ」




基本ゆるい雰囲気の物語ですが、一応ほんの少し設定を作ったりしてます。
雰囲気を壊さない程度そういうネタも小出しにしていきたいですね。

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