提督の憂鬱   作:sognathus

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高雄が提督の部屋を通りかかるとドアが開けっ放しでした。
ドアの隙間からは明かりが漏れているので提督は中にいるみたいです。
気になった高雄は部屋を覗いてみることにしました。


第26話 「雑談」

高雄「あら?」

 

提督「......」

 

高雄「大佐、ドアも窓も開けっぱなしでどうしたんです?」

 

提督「ああ、高雄か。いや、明日天気が崩れるせいかいつもより風が強くてな、つい天然の扇風機替わりにしていた」

 

高雄「ぷっ。なんですかそれ」

 

提督「加えて夜風だ、嵐にでもなる前に利用させてもらってもいいだろう」

 

ぴゅぅう

 

高雄「ん、確かにいつもの生暖かい風と比べたら勢いもあって少し涼しいですね」

 

提督「だろう? 思ったより心地がよくてな。寝ない様に頑張ってた」

 

高雄「寝ない様にって......ふふ」

 

提督「おかしいか?」

 

高雄「ええ。だって大佐なんだか台風が来る前の子供みたいなんですもの」

 

提督「......言われてみれば」

 

高雄「大佐は子供の頃台風が好きだったんですか?」

 

提督「学校が休みなる事に関しては嫌いではなかった」

 

高雄「あ、それよく聞きます。でも、学校が休みになる事だけ、ということは......」

 

提督「ああ、家ではそうでもなかった。やはり学校と家では作りが違うからな。学校はコンクリートの壁に風が当たっても揺れることはなかったが」

 

高雄「一般の住宅の場合はそうもいきませんよね」

 

提督「そうだ。風で家は、特に二階の俺の部屋は揺れて、風の音も雨戸をしてるにも関わらず凄かった」

 

高雄「......怖かったですか?」

 

提督「恥ずかしながらな」

 

高雄「意外です。大佐の事だから読書とかしてて、その邪魔になって気分が悪かったとか言うと思っていたのに」

 

提督「随分具体的な例を挙げるな。読書自体は嫌いじゃなかったが、俺の住んでたところは台風の時はよく停電していたからな。残念ながら読書はできなかった」

 

高雄「ああ、停電だとテレビゲームとかもできませんよね」

 

提督「そうだな。俺の家にもあったが、ゲーム機が古くてもうあまり遊んでなかったから、どっちみちやらなかっただろうが」

 

高雄「どんなゲームをやってたんです?」

 

提督「なんだ、高雄はゲームをやったりするのか?」

 

高雄「あ、意外ですか? 実は私、結構通販で取り寄せて遊んでたりするんですよ」

 

提督「鬼怒はよく遊んでるイメージがあったが」

 

高雄「あ、鬼怒ちゃんは私の大事なゲームの遊び仲間ですよ」

 

提督「質問を受けていてなんだが、どんなゲームをやるんだ?」

 

高雄「いろいろです、本当に。最近はレースゲームですね」

 

提督「ほう。新しいのか?」

 

高雄「そうです。私そのゲームが発売されるのをずっと待ってて、やっと出た時にそれに対応した本体も揃えたんですよ?」

 

提督「そこまでしたのか」

 

高雄「ええ。そのゲーム、シリーズもので結構色んなゲーム機で出ていたんです。多分、大佐が持っていたゲーム機でも対応したのが出ていたと思いますよ」

 

提督「ほう。面白かったか?」

 

高雄「まぁそれなりに。でもどちらかと言うと、私は過去のシリーズが好きですね。まぁそこは人それぞれの好みですから」

 

提督「なるほどな」

 

高雄「あの、興味......あります?」

 

提督「ん? まあな。一応ゲーム機は古くても持ってはいたわけだし」

 

高雄「あ、なら今度いっしょにやりません? 望月ちゃんや夕張ちゃんも一緒に遊んだりするんですよ?」

 

提督「あいつらもか。そうだな、腕の差は出るかもしれないが久しぶりにそういった娯楽に興じるのも悪くないかもな」

 

高雄「遊んでくれるんですね!?」

 

提督「ああ。お前達さえよければ」

 

高雄「勿論です!やったぁ楽しみ♪」

 

提督「大袈裟だな。......ん?」

 

高雄「どうしました?」

 

提督「いや、お前は愛宕と同じ部屋だろ。友人を誘ってゲームをしてるのに、妹は一緒にやらないのか?」

 

高雄「あ......愛宕はそのやってますが、違うのを......」

 

提督「ああ、違うゲーム機で遊んでるのか」

 

高雄「い、いえ。ゲーム機というかパソコンなんですけど......」

 

提督「そうか。パソコンでもゲームはできるからな。あいつはどんなのをやっているんだ?」

 

高雄「えっと......」

 

提督「なんだ? 人に言い難いゲームでもやっているのか?」

 

高雄「そういうわけじゃ、いや......そうなのかな......」

 

提督「?」

 

高雄「あの、この事はなるべく誰にも言わないで下さいね?」

 

提督「一体どんなゲームをやってるんだ」

 

高雄「え、エロゲーです」

 

提督「なに」

 

高雄「成人指定の......その、エッチなゲーム......です」

 

提督「.......あいつは欲求不満なのか」

 

高雄「た、多分違うと思います! 実際にやったことがないからはっきりとは断言できませんが」

 

高雄「愛宕が言うにはその手のゲームでしか味わえない楽しみや発見があるのだとか......」

 

提督「そうか......。まぁ偏見はいけないな。今度機会があれば、愛宕にそれとなく聞いてみるか」

 

高雄「だ、大丈夫かな......」

 

提督「あいつなりに面白いと思ってやっているわけだから、何が面白いのか勉強させて貰うくらい構わないだろう」

 

高雄「べ、勉強ってそんな真面目にならなくても......」

 

提督「お前も姉として妹に対する理解を深める良い機会になるかもしれないぞ?」

 

高雄「な、なるほど」

 

提督「まぁその話はその機会があればにしよう。それよりお前がさっき言っていたゲームの事だが、どういうキャラクターが......」

 

高雄「あ、それはですね......」

 

こうして涼しい風が吹きすさぶ部屋は二人の体を涼めるも、会話の熱は上げるという珍しい状況を作るのであった。




気付いた方もいるかもしれませんが、話のネタになっているレースゲームとは某おヒゲ様のレースゲームです。
携帯ゲーム機の方も面白いらしいのですが、筆者はSFCで止まっています。

新しいシリーズやってみようかなぁ。

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