提督の憂鬱   作:sognathus

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新しい装備「53cm艦首魚雷」を装備したまるゆの戦闘力は飛躍的に向上し、最早そこに「潜水艇」の姿はありあませんでした。
お陰で潜水艦隊の戦果も上がり、その日も由良から受け取った報告書の内容は上々でした。


第20話 「勘違い」

由良「大佐、潜水艦隊の戦果報告です」

 

提督「ん、ふむ......まるゆが著しいな」

 

由良「そうですね。単艦で駆逐艦を2隻も撃破してますから」

 

提督「ああ。まるゆも自分の戦果に驚いていたな」

 

由良「やっぱり艦首魚雷の性能凄いですね」

 

提督「別に装備のお陰だけじゃない。まるゆは今までずっと頑張ってきたからな。それまでに培った経験も活きているんだろう」

 

由良「そうでした。わたしったら装備の性能だけ褒めて、まるゆちゃんの事を疎かに......」

 

提督「誰だって同じ反応をするだろう。まるゆの努力をちゃんと認めさえすればいい」

 

由良「はい。気をつけます」

 

提督「よし、それじゃあ食事にするか。由良、悪いが持ってきてくれるか? 今日はここで書類を確認しながら摂りたい」

 

由良「分かりました。ちょっと待ってて下さいね」

 

バタン

 

 

コンコン

 

提督「ん?」(早い。由良じゃないな)

 

 

ガチャ

 

鈴谷「失礼するじゃん、大佐ー」

 

提督「入室の許可を待て」

 

鈴谷「えー、いーじゃーん。大佐とわたしの仲じゃん?」

 

提督「その前に上司と部下だ。規律を守れ」

 

鈴谷「......はいはい。分かりましたよー」ドサッ

 

提督「......おい」

 

鈴谷「ん、なに?」

 

提督「胡座をかくな」

 

鈴谷「あ、パンツ? 別にいいじゃん減るもんじゃないし」

 

提督「そういう問題じゃない。節度を......」

 

鈴谷「じゃ、規律を緩くしてー」

 

提督「子供みたいなこと言うんじゃない」

 

鈴谷「鈴谷子供だしー、女子高生(風)だしー、言っても別に悪くないじゃん」ピラピラ

 

提督「捲るな」

 

鈴谷「じゃ、ノーパン」

 

 

由良「痴女か!!」

 

バン

 

 

鈴谷「あ」

 

由良「鈴谷、あなたねぇ」ワナワナ

 

鈴谷「あー、思ったより早く戻ってきちゃったかぁ。大佐ーまたねー」フリフリ

 

由良「こら、待ちなさい!」

 

鈴谷「大佐は緑色が好きなんだよ?」ヒソ

 

由良「は?」

 

鈴谷「由良っち今何色のパンツ履いてる?」ヒソ

 

由良「なっ」ボッ

 

鈴谷「にひひ。頑張ってねぇー」

 

由良「あ、ちょっと」

 

バタン

 

 

由良「……」

 

提督「どうした? 鈴谷が何か言ったか?」

 

由良「え? ひぃや、なっ何も!?」

 

提督「何を動揺している......」

 

由良「な、何でもないです。それよりお食事持ってきました」

 

提督「ん、ああ。ありがとう」

 

 

提督「......」モグモグ

 

由良「......」チラッ

 

提督「......」モグモグ

 

由良「......」チラチラッ

 

提督「......なあ」

 

由良「は、はい?」

 

提督「俺に何か言いたい事でもあるのか?」

 

由良「あ、いえ......」

 

提督「本当にそうか?」

 

由良「う......あの」

 

提督「うん?」

 

由良「大佐って緑色好き、ですか?」

 

提督「ん? ああ、好きだが」(緑......緑黄色、キャベツの事か?)

 

由良「あ、青とどっちが好きです?」

 

提督「青? ああ、比較するなら緑だな」(焼き茄子もいいが、こう暑いとさっぱりして冷たいキャベツだな)

 

由良「そ、そうなんだ」(よしっ)

 

由良「た、大佐。という事は鈴谷よりわたしの方がいいって事ですよね」

 

提督「由良? まぁ......そうだな。お前だな」(落ち着いてゆっくり食事できるしな)

 

由良「あ......そ、そうですか」ポ

 

提督「何故照れる」

 

由良「い、いえ」

 

提督「? ふぅ......ごちそうさま」

 

由良(食べ終わった。やるなら今ね)

 

由良「ん......」

 

提督「ずず......」

 

由良(お茶を飲んでて気付いてない!)ガーン

 

由良「た、大佐」(は、恥ずかしいけどもう少し足を......)ググ

 

提督「ん?」

 

由良(今度は書類見てる!)ガガーン

 

由良「きょ、今日は良い天気ですね」(もうこれじゃ丸見えじゃない!)ガバ

 

提督「そうだな。相変わらず暑いが、この景色は嫌いじゃない」

 

由良(景色見てる!?)グワーン

 

由良「う、うぅ......」プルプル

 

由良(も、もうこうなったら強引に注意を引くしか)

 

提督「ん?」

 

由良「大佐!」ドン

 

提督「っ、どうした急に」

 

由良(か、顔に注意が......!)ジワァ

 

提督「おい、お前なんで泣いて......」

 

由良「パ......」

 

提督「なに?」

 

由良「パンツ......」

 

提督「は?」

 

由良「パンツ見てくださぁぁぁい。うわーん」ブワァ

 

提督「由良、大丈夫か? 落ち着け」

 

由良「うええぇぇぇぇんん......わたし痴女だぁぁぁぁ」

 

提督「......」(一体何が......)

 

 

青葉「こ、これは大スクープです! た、大佐が由良さんにセクハラ!?」

 

鈴谷「あっ、それ違うから」ピラ

 

青葉「ひゃぁ!? な、何するんですか!?」

 

鈴谷「お、青葉っちも緑かー」

 

青葉「え?」

 

鈴谷「ねぇいいこと教えてあげようか?」ニヤ




結局この後に鈴屋のイタズラはバレ、提督にもう何度目かのお説教をくらいました。
相変わらず反省してない顔をしてる鈴谷は、今度はどんな悪戯で提督をからかい、あわよくば......なんて考えるのでした。

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