提督の憂鬱   作:sognathus

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提督は釣りをしていた。
釣りをしていると暇な艦娘がいつの間にか提督の周りに集まるようになっていた。
その日いたのは五十鈴と文月。

久しぶりに何か釣れそうな気がする、そんな予感がした日の事。


第15話 「捕鯨」

文月「今日も釣れないねー」

 

提督「......そうだな」

 

五十鈴「よく飽きないわね」

 

提督「釣りをすること自体に意味があるんだ。釣れたら幸運だと思うくらいでいい」

 

五十鈴「何それ......」

 

文月「大佐、おじいちゃんみたーい」

 

提督「......最近よく言われる」

 

五十鈴「あ、傷ついた? 慰めてあげてもいいわよ♪」

 

文月「あっ、だめ。それ文月がするの!」

 

提督「二人とも暇だったら他の事をしてていいんだぞ?」

 

五十鈴・文月「いやよ」「いや!」

 

提督「そうか......」(何がしたいんだ?)

 

ちゃぷ......くいっ

 

文月「あ! 大佐、引いてる!」グイ

 

提督「ん?」

 

五十鈴「え? 本当だ! 大佐、引いて引いて!」グイグイ

 

提督「分かった。分かったからお前たちは服を引っ張るのをやめろ。引き難い」

 

ググ......

 

提督「これはっ.....デカいな? なかなか......うん?」

 

ぶくぶく......ちゃぷん

 

大鯨「......」

 

 

提督「......」

 

五十鈴「え?」

 

文月「魚......じゃ、ない......」

 

大鯨「こ、こんにちわ......」

 

提督「......やあ」

 

大鯨「あ、あの......私、わたし......」

 

五十鈴(え? 艦娘?)

 

文月(漂流してきた駆逐艦?)

 

提督「取り敢えず上がらないか? 話は基地で聞く」

 

 

~鎮守府、提督執務室

 

提督「潜水母艦?」

 

あきつ「それは変わった艦でありますね」

 

明石「珍しいですね」

 

五十鈴「貴女達に言われたくはないわよ。というか、なに何食わぬ顔でいきなりいるのよ」

 

文月「オンリーワンがまた増えたぁ!」

 

提督「待て、まだ此処に所属すると決まったわけじゃない」

 

大鯨「え?」

 

提督「ん?」

 

大鯨「お、置いてくれないんですか......?」

 

五十鈴「えっ、元々此処に来る筈だったの?」

 

大鯨「さ、さあ......?」

 

明石「は?」

 

あきつ「一体彼女は何を言いたいのでありましょう?」

 

文月「うーん......謎だね!」

 

提督「お前たち、少し黙っていてくれるか。状況がまだ把握できていないんだ」

 

4人「......」

 

提督「ん、君は大鯨、だったね?」

 

大鯨「はい」

 

提督「艦娘か?」

 

大鯨「そうだと、思います」

 

提督「さっきからいろいろと曖昧な答え方だが、何故かな?」

 

大鯨「め、目覚めたら海を漂ってて......め、目の前に港が見えたんです......」

 

提督「ふむ......」

 

五十鈴「あっ」

 

提督「ん? どうした五十鈴」

 

五十鈴「大佐、これ......」

 

提督「今朝届いていた海難事故の軍報か。これはもう確認.....ん」

 

文月「どうしたの?」

 

明石「大佐?」

 

あきつ「き、気になるであります!」

 

 

○海軍、海難事故知らせ

 

『○月○日 深夜未明、南方海域珊瑚諸島沖において任務遂行中だった海軍の輸送艦隊が深海棲艦の奇襲に遭い、輸送艦に小破の被害を受ける』

 

 

提督「輸送艦小破......」

 

五十鈴「多分、その時にこの子だけ流れちゃったんじゃない? しかも目覚める前に」

 

提督「......一応、確認をしてみるか」

 

提督「大鯨」

 

大鯨「は、はい」

 

提督「君の身元が判明するまで、一時此処で身柄を預かる事にする。構わないか?」

 

大鯨「あ......はい! それは願ってもありません! こちらこそお願いします、お父さん!」

 

ピシ

 

提督「なに?」

 

五十鈴「お父さん?」

 

文月「え?」

 

明石「大佐が?」

 

あきつ「なんと......」

 

五十鈴「大佐.....ちょっと訊きたい事があるんだけど」

 

提督「何だその眼は、俺には全く心当たりがないぞ」

 

文月「こ、心当たりとか言ってる時点で怪しいよ!」

 

明石「え、え? そ、そうなの? やっぱりそうなの?」

 

あきつ「こ、これは一大事でありあます!」

 

大鯨「お、お父さんを苛めないで下さい!」

 

提督「大鯨やめろ。火に油を注ぐな」

 

大鯨「いやです! 大佐は大鯨のお父さんです!」ギュ

 

五十鈴「大佐ぁ?」ギロ

 

文月「ふ、文月たち以外に子供なんて......ダメ!」

 

明石「これは詳細な調査が必要ね」

 

あきつ「し、衝撃の事実発覚であります! 皆に知らせるであります!」

 

提督「待て、やめろ」

 

 

その後、本部に確認して判明したところによると、大鯨のこの発言は事故当時に受けた衝撃が原因である可能性が濃厚との事だった。

提督と艦娘との初コミュニケーションによる心情契約が誤作動を起こし、所謂“刷り込み”に変化してしまったらしい。

 

「面倒だからそっちで面倒見ろ」という中将の鶴の一声で大鯨は提督の鎮守府所属になった。

 

あまりにも乱暴なこの中将の決定に、提督はその日から胃に痛みを感じるようになったという。




月曜が休みだと艦これが捗って困ります。

レベリングしてたら大鯨が出ました。
お蔭で一瞬でネタが思いついた為、赤城さんとのアレなお話は一時保留にする事にしました。

急な変更申し訳ないですっ。

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