提督の憂鬱   作:sognathus

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出撃祭りのメンバーだった空母組(飛龍・蒼龍)の労を労う為に今日は一緒に外へお出掛けします。
飛龍達は先に待ち合わせ場所に着いていたらしく、大佐の姿を見ると手を振って教えてくれます。
おや、よく見ると来たのは大佐一人ではないようです。
誰でしょう?


第58話 「策士」

飛龍「あ、大佐っ。こっちこっちー!」フリフリ

 

蒼龍「お、来たね。......って、あら?」

 

望月「ちーす」

 

提督「すまん。遅れた」

 

飛龍「あ、ううん。別にいいですよ。それより」

 

蒼龍「何でもっちーもいるんですか?」

 

望月「もっちー言うなし。ま、ちょっといろいろあってねぇ」

 

提督「我が鎮守府の窮状を救ってくれた借りが望月達にはあってな。その礼代わりだ」

 

望月「そういう事。駆逐艦を代表して、大佐からお土産をドンと持ち帰らないといけないわけよ」

 

飛龍「駆逐艦に救われるって、一体何が......」

 

蒼龍「大佐ぁ、小さい子に手をだしちゃ......てなわけでもないですよね」

 

望月「わたし的にはそれも......やぶさかではないけど、残念ながら違うよー」

 

提督「何が残念ながらだ。全く掠りもしていない。資材が少しマズイ状況だったんだ。それを救ってもらった」

 

飛龍「ああ、なるほど。遠征ですね」

 

蒼龍「駆逐艦の子達ってホント、機動力半端ないですよね。基地の危機を回避する程なんて、どれだけ助けてもらったんです?」クス

 

望月「睦月型総動員でお手伝いしましたよー」フンス

 

提督「面目次第もない」

 

提督「まあそういうわけなので、望月も一緒で構わないか?」

 

飛龍「私は構いませんよ」

 

蒼龍「わたしも。人数が多い方が楽しいしね」

 

提督「ありがとう」

 

望月「さんきゅー」

 

飛龍「それで、何処行きます?」

 

蒼龍「特にプランがないなら、決まるまでわたし達の部屋で麻雀とかどう?」

 

望月「いや、せっかく外に出てるのにいきなり戻るってのもないっしょ」

 

提督「そうだな。お前たち、何か欲しい物はあるか?」

 

飛龍「わ、大佐ったらいきなり物で釣るつもりですか?」

 

提督「人聞きの悪い事言うな。先ず、直接的方法で礼と労を労いたかっただけだ」

 

蒼龍「じゃ、わたし大佐がいい」

 

望月「あ、それいいね。わたしもー」

 

飛龍「え?」

 

提督「なに?」

 

蒼龍「何でもいいんでしょ? じゃ、わたし大佐がいいなぁ?」ズイ

 

望月「男に二言はないよね」クイクイ

 

飛龍「ちょ、ちょっと二人とも」

 

提督「悪いが、俺は物じゃない」

 

蒼龍「そんなの分かってますって。何処でも付き合ってくれる大佐がいいって事ですよ」

 

望月「なんだそうなんだ。わたしは大佐をモノにしたいって意味だったんだけどな」

 

蒼龍・飛龍「えっ」

 

提督「望月......突然何を言うんだ」

 

望月「駆逐艦じゃダメ? やっぱ子供だから?」

 

提督「......」

 

望月「そんなに悩まないでよ。ただ、今までより親しくしてくれたらいいだけ」

 

提督「親しく?」

 

望月「そう。もっと気安く声を掛けてくれたり、褒めてくれたり。距離を感じない接し方を希望」

 

提督「改めて言われるとどうやればいいか悩むな」

 

望月「はい。まずは手を繋ぎましょう」ス

 

提督「そんなのでいいのか?」ギュ

 

望月「手を繋ぐのは単純なようで意外に重要かつ効果的な触れ合いなんだよ? 覚えておいて」

 

提督「勉強になる」

 

飛龍・蒼龍「......」ポカーン

 

飛龍「はっ。た、大佐、それじゃ、それ私もっ。腕、腕組んでください!」

 

蒼龍「あっ、飛龍ズルい! 大佐、わたしも!......て、もう手が空いてない......」

 

蒼龍「ならっ」ギュ

 

提督「おい、苦しい。もたれかかるな」

 

蒼龍「だって、場所がないんだもん。ほら加減しますから。ついでにオマケもありますよ?」ムニュムニュ

 

飛龍「くっ」

 

望月「悔しいけど、わたしには無理だなぁ。ま、その代わりに腕に抱き着くけど」ギュ

 

提督「歩き難い......あと、人目が気になる」

 

蒼龍「だーめ! 今日一日は何処でもどういう風にでも付き合ってもらうって約束です!」

 

望月「そういう事。望月のモノになったんだから今日は諦めなよ」

 

提督「さり気なく条件が追加されていた気がするが......」

 

飛龍「きっと気のせいです。ほら行きましょ!」ギュッ、ムニュゥ

 

望月「二人ともいいなぁそれ。少し分けて欲しい、と思ったりしないでもない」

 

飛龍「駆逐艦の子ってそこが不憫よねホント」

 

蒼龍「大丈夫だよ。大佐ストライクゾーン広いから」

 

提督「勝手に人の性的嗜好を拡大するな」

 

望月「大佐」クイクイ

 

提督「うん?」

 

望月「わたしたった今、皆に持って帰るお土産決まったよ」

 

提督「なんだ唐突に」

 

望月「蒼龍さんが言ってたゾーンの拡大。それをお土産に希望」

 

提督「.....ズルいぞ」

 

望月「狡猾って言ってよ」ニマ

 

蒼龍「ひゅうっ♪ もっちーやるぅ!」

 

飛龍「望月ちゃん......恐ろしい子」

 

望月「だからもっちー言うなし。ま、取り敢えず行こ」グイ

 

飛龍「そうね。じゃ、何処行きます? カラオケとかどうですか?」

 

蒼龍「お、いいねぇ♪ わたし美声披露しちゃいますよ!」

 

提督「分かった。分かったからそう引っ張るな」

 

望月「......今日は良い日になりそう♪」




飛龍より蒼龍の方がちょっと悪戯好きな感じがしませんか?
そんな彼女を窘める飛龍の姿をつい想像してしまいます。

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