提督の憂鬱   作:sognathus

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金剛が提督に無理を言って出撃しまくっているようです。
巻き添えを食らって一緒に出撃しているビスマルクはヒーヒー言ってます。
長門ですら、またかと少しウンザリした顔です。
何かを焦っているようにも見えますが、さてその真意は?


第55話 「春嵐」

金剛は焦っていた。

もう別れているとはいえ、提督に元々付き合っていた恋人がいた事に。

 

金剛は逸っていた。

自分の成長限界が目の前だったから。

 

結婚自体は提督自身が決める事だとしても、ケッコンは成長限界に達した者なら誰でもその資格がある。

なら形だけでもそれに近い関係になれないか。

金剛はそう思いながら過ごしている内に気付けば、自分の限界が直ぐそこというところにまで来ていた。

 

結果がどうなるかは分からない。

それでも自分が一番先に提督のモノになれるかも知れないと思うと、多少無理をしてでもその条件だけにでも近づこうと心に決めた。

 

その結果......。

 

 

提督「まだ出るのか」

 

金剛「お願いヨ! もう直ぐ! もう直ぐ最高練度に到達するノ!」

 

提督「そんなに焦ったところで結婚は......」

 

金剛「ケッコンでもいいノ! それができる条件に到達したいノ!」

 

提督「......」

 

提督(金剛がしきりに出撃を催促にするようになってからというもの、気づけば資材の消費こそ激しいものの、こいつが率いる艦隊のメンバーの練度は著しく上がっていた。その精強さはつい数日前とは比べ物にならない程だ)

 

提督「焦る気持ちも解らないでもないが、連日の出撃で資材の消費が激しい。出撃は次で最後だ。いいな?」

 

金剛「っ、I understand ! 分かったワ!」

 

Bis「えっ、まだ行くの? もうヘトヘト......」

 

長門「ふっ、今の金剛のやる気は鬼気迫るものを感じるな。まぁ、付き合ってやるが」

 

鬼怒「珊瑚諸島怖い、サンゴ諸島コワイ......」ブツブツ

 

蒼龍「鬼怒大丈夫かな?」

 

飛龍「実践訓練のつもりがいつの間にか出撃固定メンバーになっちゃってたからねぇ。ま、おかげで全員凄まじい勢いで練度上がってるけど」

 

蒼龍「はぁ......もし、あの時、訓練指導メンバーに立候補してなかったら......」トオイメ

 

飛龍「露骨な嫉妬で、可能性の段階でしかない改造に引かれるからよ」

 

提督「皆、疲れているところすまないが、これで最後の出撃だ。終われば暫く休暇とする」

 

一同「......!」ピタッ

 

提督「良い食い付きだ。約束は守る。さぁ行って来い、晴れて清々しい気分で憩いの時を過ごす為に」

 

一同「了解!」

 

 

~とある場所

 

レ級「え? そんな遠くから応援要請?」

 

タ級「うん。なんでもその方面の鎮守府の艦隊の一部が凄い勢いで出撃を繰り返してるらしいわ」

 

ル級「なにそれ、怖い」

 

ヲ級「お蔭でその近辺の深海棲艦は夜、おちおち寝る事もできないんだって」

 

タ級「はい。これ、その海域のボス直筆の応援依頼書」

 

 

『たすけてっ!!』

 

 

レ級「うわ......」

 

ル級「凄く......切羽詰まってるね......」

 

ヲ級「文字だけなのに書いた人の悲痛さを感じるね......」

 

タ級「どうする?」

 

レ級「悪いけど......見なかったことにしよっか」

 

ル級「いいの?」

 

レ級「気分はよくないけどさ、でもこれ本当は3日前にくらいに届いてないといけなかったやつだよね?」

 

タ級「依頼書が認められた日付を確認するに、そうね」

 

ヲ級「何かあったの?」

 

タ級「依頼書を携えた補給艦隊がその艦隊から何度も追撃にあって、13回目の出撃でようやく追撃を振り切ってこっちに届ける事ができたらしいわ」

 

ヲ級「うわぁ......」

 

ル級「依頼書を届けに来た補給艦の子たちは?」

 

タ級「疲労困憊がたたって依頼書を渡した瞬間疲れて寝ちゃったわ」

 

レ級「その子達が起きたら間に合わなかったって言おう。多分納得するよ」

 

ヲ級「そこのボスへのお詫びはどうするの?」

 

レ級「姫に一緒に来てもらって謝って、適当にそこら辺の基地を攻撃して、その憂さ晴らしに付き合ってあげたらいいんじゃない?」

 

タ級「それが妥当かしら」

 

ル級「挙手! 賛成の人っ」

 

ヲ級「はいっ」

 

ル級「ハイ!」

 

タ級「はい」

 

レ級「はーい」

 

ル級「満場一致だね」

 

レ級「じゃ、そういう事で」

 

タ級「了解」

 

ヲ級「補給艦の子達に出すお菓子用意してくるね」

 

レ級「いいね。行ってらっしゃーい」

 

レ級(それにしても、あの方面って確か大佐の鎮守府がある所だよね。何かあったのかな? 今度行ってみよう)

 

 

~所変わって、大佐の鎮守府

 

金剛「大佐ァ! 戻ったヨ!」

 

Bis「ただいまぁ~」フラフラ

 

長門「やれやれ。これで暫くゆっくりできるな」

 

鬼怒「え? もう終わり? もう寝ていいの?」

 

飛龍「お疲れ、鬼怒。今日はゆっくり休みなよ。なんならわたし達の部屋に来る?」

 

蒼龍「そういや、鬼怒ってこっちに所属してから部屋の割り当てすら決まる前に出撃祭りに参加する事になっちゃったからね......」

 

鬼怒「ありがとう......おねがい......しま......」フラ

 

飛龍「よっと」キャッチ

 

蒼龍「大佐、帰って早々だけどわたし達もう戻るね。休みたいし」

 

提督「ああ、ご苦労。ゆっくり休め」

 

飛龍「大佐、お疲れ様。休暇、時間があったら遊んでよね?」フリフリ

 

蒼龍「えー、なにそれー? あ、大佐。それ、わたしも予約ね? じゃ、おやすみー」バイバイ

 

長門「大佐、私もマリアを運んで休ませてもらう。マリアの奴、立ったまま寝てしまったからな」

 

Bis「スー......スー......」zzz

 

提督「ああ、お前たちもご苦労。ゆっくり休んでくれ」

 

長門「了解した。おっと、大佐」

 

提督「ん?」

 

長門「休暇の件、まさか飛龍達だけと遊ぶわけじゃないよな?」

 

提督「......時間を作っておく」

 

長門「うむ。それでこそ私達の提督だ。約束忘れないでくれよ? それじゃあ、お休み」

 

バタン

 

 

金剛「......」

 

提督「金剛」

 

金剛「大佐」

 

提督「ああ」

 

金剛「ワタシ、成長限界に到達シタヨ」

 

提督「そのようだな」

 

金剛「これでケッコンカッコカリできるネ?」

 

提督「可能にはなったな」

 

金剛「......ちょっと、加賀に会ってくるワ」

 

提督「そうか。あいつに宜しくな」

 

金剛「大佐......逃げない、でネ?」

 

提督「分かっている。よく頑張ったな」

 

金剛「ウン! それじゃ後でネ!」

 

バタン

 

 

提督「......」

 

提督「覚悟を......しておくか」




レベル99になりました!

やったね!

でも、ケッコンの仕方が分からずに、30分くらいあたふたしたのは内緒です。

次話、R-18になります。
苦手な方はご注意下さい。

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