提督の憂鬱   作:sognathus

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裏で色々動いていそうなことを何となく予感しつつも、実態は不明なので提督は取り敢えず気にしないようにしたみたいです。
今は昼食時、提督は食堂には行かず自分で作ることにしたようです。


第9話 「料理」

ジャッ、ジャッ、シュー

 

伊勢「あら? なんか良い匂い。執務室から?」

 

コンコン

 

伊勢「伊勢です。入ってよろしいですか?」

 

提督「ああ、いいぞ」

 

伊勢「大佐、何を......」

 

提督「ん?ああ、まぁ驚くよな」

 

伊勢「執務室に調理台なんてありましたっけ?」

 

提督「いや、なかった。用意したんだ」

 

伊勢「またなんで」

 

提督「元々物がなくて殺風景な部屋だったからな。せっかくだから無駄に空いてるスペースを我儘に使わせてもらうことにしたんだ」

 

伊勢「それでこれを?」

 

提督「そう。偶にこれが食べたくなるんだが、知っての通り此処にはパスタを食べられる所がない」

 

伊勢「それで自分で作って食べる為に?」

 

提督「そうだ」

 

伊勢「はぁ、なんか凄いですね。以前の大佐からはちょっと考えられないというか」

 

提督「それは俺も思う。ま、それもお前たちのおかげだ」

 

伊勢「どういう意味です?」

 

提督「多少気が楽になって感謝しているという事だ」

 

伊勢(何かあったのかしら)

 

伊勢「ま、まぁいいです。よく分かりませんけど」

 

伊勢「それでこれはなんという料理ですか?」

 

提督「ペペロンチーノだ」

 

伊勢「ペペロ......」

 

提督「馴染みがないみたいだな。食べてみるか?」

 

伊勢「え? いいんですか?」

 

提督「好物だから二人分作る癖があってな。どうだ?」

 

伊勢「あ、それじゃ頂きます」

 

提督「分かった。それじゃもうでき上がるから卓に着いて待ってろ」

 

伊勢「はい」

 

 

――数分後

 

提督「お待たせ」

 

伊勢「わ、ありがとうございます」

 

提督「遠慮せず食え」

 

伊勢「それじゃ頂きますね」モグモグ

 

伊勢(ちょっとピリッとして辛いな。でも味自体はあっさりしてて丁度良いかも)

 

提督「どうだ?」

 

伊勢「美味しいです」

 

提督「そりゃ良かった」

 

伊勢「あ、でもすいません。せっかく好物で多めに作っていたのに」

 

提督「気にするな。俺もお前と昼飯を食うのは初めてだしな。良い機会だ」

 

伊勢「あれ?秘書艦でも一緒に昼飯を食べた事なかったですよね?」

 

提督「そういえばそうだな。なかなか新鮮な気持ちだ」

 

伊勢(ていうことは、わたしが初めて一緒に食事をした相手になるんだ。例の競争もしかしてわたしが一歩リードかも!)

 

提督「どうかしたか?」

 

伊勢「いいえ。なんでも」

 

提督「そうか?」

 

伊勢「ええ。ご馳走様でした。ありがとうございます」

 

提督「こちらとしても美味しく食べてもらえたようで何よりだ」

 

伊勢「本当に美味しかったですよ。また食べてみたいですね」

 

提督「食べたくなったら言いに来い。材料があったらまた作ってやる」

 

伊勢「え!本当ですか!?」

 

提督「やけに食いつくな。そんなに気に入ったか?」

 

伊勢「え?あ、はい。結構」

 

提督「そうか。作った甲斐があったな。また一緒に食べよう」

 

伊勢「はい!失礼します」バタン

 

 

――扉の向こう。

 

伊勢(おお!?これは伊勢さん一歩どころか大きくリードしたかも!)ガッツポーズ

 

伊勢「~♪」ルンルン

 

 

――執務室。

 

提督(鼻歌が聞こえたような。伊勢の奴かなり気に入ったみたいだなこれ。誰かの為に飯をつくるのも良いもんだな)




よくあるすれ違いですね。
でもこれは鈍感とは違うと思うのでまだフォローのしようはあるでしょう。
ペペロンチーノ好きなんですよ。
あ、でも俺は伊勢より日向に食べて欲しかったな。(ア

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