提督の憂鬱   作:sognathus

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提督たちがちょっと真面目な話をしてる頃叢雲たちは喫茶店にいました。
片や村雲の方は美味しそうにデザートを食べてご機嫌のご様子ですが、我らが叢雲の方はどことなく上の空でコーヒーだけ啜ってます。


第42話 「交流(艦娘サイド)」R-15(挿絵あり)

村雲「んー、美味しい♪」

 

叢雲「......そうねぇ」

 

幸せ一杯と言った顔でパフェを頬張る村雲。

その様子を何処か上の空と言った様子の顔でただ見つめるだけの叢雲。

全く同じ姿だが、纏っている雰囲気が全く異なる二人の艦娘の姿が喫茶店にあった。

 

村雲「ねぇ、貴女さっきから上の空だけど大丈夫? 頼んだのもコーヒーだけだし」

 

叢雲の様子が気になったのか、パフェを食べる手を途中で止めて村雲が聞いてきた。

 

叢雲「ん、気にしないで。ちょっと考え事よ」

 

村雲「どうしたの?」

 

叢雲「遠慮ないわね。少しは気を遣ったら?」

 

彼女は始終、鏡を見ているような気持だったが、自分と同じ姿の“他人”は自分と違ってあまり気を遣わないタイプのようだった。

 

村雲「自分自身に気を遣えと言われてもね」

 

叢雲「ぷっ、あははは。何それ」

 

村雲「そうじゃない?」

 

叢雲「屁理屈の様な理屈だけど、解る気がするのが癪ね」

 

茶目っ気の籠った目で笑いながらそう返してきた村雲に、叢雲も苦笑交じりに返事をする。

そしてなおも興味津々と言った様子で自分を見つめる村雲に、ついに降参と言わんばかりに大きな溜め息を一つつくと、叢雲は悩みを打ち明け始めた。

 

叢雲「はぁ......いいわ教えてあげる。ちょっと悩んでたのよ」

 

村雲「提督の事でしょ? そっちの」

 

まだ何も言っていないというのに確信の籠った口調で村雲は核心を突いてきた。

 

叢雲「流石、私ね。そうよ」

 

村雲「提督がどうかしたの?」

 

叢雲「いや、あなたのとこと比べてうちの提督ってよく言えば大人というか、悪く言えば真面目すぎるというか......」

 

叢雲は普段のハキハキした態度とは違い、珍しく話し難そうな口調でどう言ったものか悩んでいる様子だった。

それに対して村雲は彼女の悩みを一瞬で見抜き、一刀両断の如くこう一言した。

 

村雲「なんだ、手を出してもらえないのが不満なんだ」

 

叢雲「ぶっ! ストレートね......。結婚してるからかしら」

 

【挿絵表示】

 

村雲「うちは毎晩シテるからねぇ」

 

顔を赤くして動揺する叢雲に対して村雲は特に何を気にする風もない様子で更に彼女が予想だにしない事を言ってきた。

 

叢雲「ま、毎晩?」

 

村雲「あっ、明るい時もあるわよ。あと、外でもシちゃった事も......」

 

叢雲「もはや猿じゃない。......そ、そんなにシちゃうものなの?」

 

村雲「相手が好き過ぎて止まらないのよ。隙あらばすぐに求めちゃうのよね」

 

叢雲「へ、へぇ~」

 

叢雲は顔を赤らめつつも村雲の言葉に興味深そうな様子だった。

 

村雲「貴女、私よりちょっと大人びてる感じしたけど、そういうところ初心なのね」

 

叢雲「し、仕方ないじゃない。シたこと......ないんだもん......」

 

村雲「キスくらいはあるんでしょ?」

 

叢雲「まぁ、それくらいなら......」(実はないけどね......)

 

内心悔しさを感じながらも、小さな嘘を彼女は着いた。

流石に目の前の相手を前にして、キスもしてないと言う事は彼のプライドが許さなかった。

 

村雲「じゃあ後はもう押すだけよ」

 

あまりにもあっさりと直接的な手段を提案する村雲。

叢雲はその提案に動揺しつつも、やはりそれしかないのかと心の何処かで思いながら彼女の言葉を聞いた。

 

叢雲「強引じゃない?」

 

村雲「私が見た限り、あの提督は絶対に自分からは手を出さないわ」

 

叢雲「......否定できないのが悲しいわね」

 

村雲「なら、押し倒すしかないじゃない」

 

叢雲「やれない事はないけど、でもそれしちゃうと抜け駆けになっちゃうからなぁ」

 

村雲「なに? 他にも提督の事好きな子がいるの?」

 

叢雲「かなりね」

 

村雲「なるほどねぇ......ま、それはうちも同じだけど」

 

叢雲「でも、貴方たちは、その......毎晩シテるんでしょ?」

 

村雲「手出しされないように警戒してるからね。ま、好きな気持ちは止められないから、もし出されちゃってもそんなに怒る気はないけどね」

 

村雲は警戒していると言いながらも、もし誰かが提督に手を出してもそれが好意からくるものだったならば、その相手を咎めはしないと言う。

 

叢雲「寛容ね。うちの提督もそういう柔軟さがあったらねぇ」

 

村雲「一度ヤっちゃえば、案外フッ切れるものよ?」

 

叢雲「そうかしら?」

 

村雲「私がそうだったし」

 

叢雲「貴女の場合はタガが外れた感じみたいだけど」

 

少し呆れた口調で叢雲は言った。

 

村雲「似たようなものよ」

 

叢雲「ふーん......ねぇ」

 

村雲「ん?」

 

叢雲「そんなに、イイもの?」

 

叢雲はとても小さい声で、その日一番気になった事を村雲に聞いた。

 

村雲「好きな人を直接感じられるのよ。イイに決まってるじゃない」

 

叢雲「......気持ち良い?」

 

村雲「貴女、自慰はしてる?」

 

叢雲「っ、......ふぅ。シテるけど」

 

ここで下手に取り繕っても意味はない、何しろ相手は“自分”なのだ。

 

村雲「週何回くらい?」

 

叢雲「い、一回か二回かな......」

 

村雲「嘘。毎日シテるくせに」

 

叢雲「な、何で知って......あ」

 

村雲「ごめん。カマかけた」

 

叢雲「貴女ねぇ」プルプル

 

叢雲は真っ赤になって震えながら村雲を睨んできた。

 

村雲「ごめんって。でも、我慢しないのは良い事よ? だってそうしないと貴女、頭がどうにかなりそうでしょ?」

 

叢雲「まぁ......最近特に我慢ができなくなってるからね」

 

村雲「実際に提督としたらもう貴女、自慰なんてしなくなるわよ」

 

叢雲「そ、そんなに?」

 

村雲「当り前じゃない。だって貴女、自分が出来ない事もしてもらえるのよ?」

 

叢雲「い、挿れられるのがそんなにイイの?」

 

流石に彼女にもそれくらいの知識はあった。

だがその知識はあくまで一般的なレベルの保健体育程度のものだった。

だから所謂、「夜の営み」に関する知識は殆どなく、それ故に村雲の次の言葉には心から羞恥し、仰天した。

 

村雲「それだけじゃないわよ。舐めてももらえるし」

 

叢雲「な、舐めってそんな......汚な......」

 

村雲「ちゃんと清潔にしてれば、問題ないわよ。それにこれ、挿れられるのよりある意味最高に気持ち良いのよ?」

 

叢雲「そ、そう?」

 

叢雲(あ、アソコを舐められるのがそんなにいいの......?)

 

村雲「考えてもごらんなさいよ。自分から溢れてきたモノを残らず舌で掬われて、啜られる様を」

 

叢雲「......」ブルッ

 

村雲「それだけじゃ飽き足らず、もっと求められて舌で直接中を弄られたり」

 

叢雲「......!」ゾクゾクッ

 

村雲「どう? 興奮した?」

 

叢雲「す、凄い......聞いてるだけなのに」

 

村雲「濡れた......?」

 

叢雲「......」コク

 

叢雲は自分の下着がかなり湿気を帯び、冷たくなっているのを感じていた。

 

村雲「本番はもっと濡れるわよ? それこそ本当に頭がおかしくなっちゃうくらい」

 

叢雲「そ、そう......」

 

叢雲「......」

 

村雲「お手洗い、行ってきていいわよ」

 

叢雲「っ、でも替えが......」

 

村雲「穿かなかったらいいじゃない」

 

しれっととんでもない事を村雲は言った。

 

叢雲「そんな、変態じゃないっ」カァ

 

村雲「私今穿いてないわよ?」

 

平然とした顔で更にとんでもない事を村雲は言う。

それに対して叢雲は信じられないと言った顔で真偽を確認してきた。

 

叢雲「嘘!?」

 

村雲「うん。嘘」

 

叢雲「っ、貴女ね......!」

 

村雲「ふふ、ごめんごめん。でもね、大胆になるのも大事なのよ?」

 

叢雲「ん......」

 

村雲「さっきは嘘って言ったけど、本当に穿いてない時もあるから」

 

叢雲「まさか、そんな」

 

村雲「二人っきりの時だけね」

 

叢雲「あ......」

 

村雲の言葉に少し頭が冷えた。

彼女は彼女なりに叢雲の見栄を解し、好きな相手に柔軟になるように助言しているのだ。

 

村雲「ね? シチュエーションも大事なのよ?」

 

叢雲「参考になったわ......」

 

村雲「気にしないで♪ せっかくの同じ者同士なんだから」

 

叢雲「そうね。ありがとう」

 

村雲「あ、あと贈り物があるの」

 

叢雲「え?」

 

村雲「ちょっと手をテーブルの下に」

 

村雲「......?」(何かしら、表には出せない重要な物?)

 

叢雲は疑問に思いながらもテーブルの下に手を伸ばした。

村雲はそれを確認すると周りの様子も確認して、自分もテーブルの下に手を伸ばし、彼女の手にある布きれを渡した。

 

ポン

 

叢雲「! 貴女これ......!」

 

目にするまでもなく、渡された物が何か理解する叢雲。

 

村雲「一応、持ち歩くようにはしてるの。サイズは同じの筈だから......替えてきなさいな」




た、ただの猥談になってしまった......。
なんだかんだで経験もレベルも高い村雲さんの方が大人っぽくなってしまいましたね。

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