提督の憂鬱   作:sognathus

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深海棲艦だけのお話。
姫様がご機嫌な斜めの様です。
対してレ級達は相変わらずマイペースに見えますが......。


第40話 「要望」

戦姫「レ級......」

 

レ級「なにー? 姫ー」

 

戦姫「またあの鎮守府を攻撃しないで戻ってきたそうだな......」

 

レ級「ん? そうだよ」

 

戦姫「何故......攻撃しない?」

 

レ級「攻撃したくないから!」キリッ

 

戦姫「っ、そんな屁理屈を聞いているのではない!」ドン

 

レ級「ねぇ、何を怒ってるの?」

 

戦姫「お前が人間と慣れ合ってるからだ!」

 

レ級「大佐とだけじゃん。他の海軍はちゃんと攻撃してるよ?」

 

戦姫「例外などない! 海軍は、人間は......全部敵だ!」

 

 

ル級「姫、怒ってるね......」

 

タ級「そうね。ほいっ」

 

ル級「やった、ババ取った♪」

 

タ級「むっ......。直ぐにひかせてやるわよ」

 

ヲ級「タ級って強いけど、ババ抜き弱いよねー♪」

 

ル級「ねー♪」

 

タ級「あんた達......今日こそは勝ってみせるわ!」

 

ル級・ヲ級「はいはい」

 

タ級「ぐぬぬ......」

 

 

レ級「姫さー、人間が全部敵なんて、それじゃ海軍以外も攻撃しろっていう言うの?」

 

戦姫「何れはね。先ずは海軍を潰す!」

 

レ級「分かんないなー。どうしてそんなに必死なの?」

 

戦姫「それはこっちのセリフだ! どうしてそんなに平気な顔をしていられる!? どうして海軍を恨まない!?」

 

レ級「恨む理由がないから」ケロ

 

戦姫「な......」

 

レ級「もしかして姫ってさ、僕達が沈んで深海棲艦なった事で海軍を恨むのは当り前とか考えてない?」

 

戦姫「当然だ。あいつらの所為で、私達は戦いたくもない争いに身を投じさせられ、デタラメな指揮の所為で為す術まなく......!」プルプル

 

レ級「ふーん......まぁ、同情はするけどさ。姫って小さいよね」

 

戦姫「あ......?」ピキ

 

 

ル級「あ、姫キレたみたいだよ」

 

タ級「相変わらず短気ね......ちっ」

 

ヲ級「そろそろフォローに行った方がよくない?」

 

ル級「姫、怖いからやだなぁ......」

 

タ級「だからってレ級一人にこれ以上相手をさせるわけにはいかないでしょ?」

 

ヲ級「誰が相手をしたって姫は怒るよ......さ、行こ」

 

 

戦姫「貴様ぁ! 命令違反ならまだしも、私に対する無礼は許さんぞ!」ドン

 

レ級「もう、いちいち地面叩かないでよ。煩いなー」プクー

 

戦姫「 」ぶち

 

戦姫「このぉクソガキがぁ!!」ブォッ

 

カチャ

 

戦姫「!?」

 

レ級「......」

 

ル級・タ級・ヲ級「......」

 

戦姫「き、貴様ら......な、何故......何故仲間に武器を向ける!?」

 

レ級「仲間? 誰が?」

 

ル級「うん......姫は仲間じゃないよね」

 

タ級「勘違いでしょ」

 

ヲ級「なら仕方ないね」

 

戦姫「な、な......」

 

レ級「姫は僕達の仲間じゃないよ。同じ種類だよ?」

 

戦姫「そ、それでも同じ姿をしているのだから仲間だろう!?」

 

レ級「なんで? 人間だって人間同士で戦争してるよ?」

 

タ級「そうね。それなのに私達だけ例外ってのもね」

 

ル級「私達はそんなに特別じゃないよ?」

 

ヲ級「特別だったら尚更、私戦いたくないなぁ......最近面倒」

 

戦姫「お、お前たち......」

 

レ級「僕さ、さっき姫のこと小さいって言ったよね? それはさ、姫の器の事なの」

 

レ級「姫、恨みばかりに拘っちゃってさ、全然余裕を感じないんだよね」

 

レ級「戦いにそんな感情なんて持ち込んだら......直ぐに負けちゃうよ?」

 

戦姫「......!」ゾッ

 

レ級「僕達さ、ずっと昔、艦娘だった頃にお世話になった提督に何よりも心を鍛えろってい言われたの。鋼の様な......かつ鋼よりなお硬く」

 

ル級「それで体も同じように鍛えれば」

 

タ級「心身ともに頑強になり、不動不変の精神となって」

 

ヲ級「肉体を失っても尚、生前の意志と共に魂は在り続ける」

 

レ級「その結果が僕達ってわけ」

 

戦姫「なら、何故......過去の記憶を持ちながらも、一部の人間にのみ甘いだけで他の人間にはああも容赦なく攻撃ができる......?」

 

レ級「流石にこんな恰好じゃねぇ......戻りたくても戻れないじゃん」

 

ル級「それならいっその事」

 

タ級「鍛えて貰った心で」

 

ヲ級「敵としての覚悟を見せつけるしかないよね」

 

戦姫(こいつら......! 普段は飄々としてる癖にこの覚悟の有り様は、どの深海棲艦よりも凄まじい!)

 

レ級「姫、僕さ。姫にはもっと強くあって欲しい。僕達より優れた力を持っているならそれを力だけじゃなくて心でも示して欲しい」

 

戦姫「......」

 

レ級「そうじゃないと、僕達は本当に姫の敵になっちゃうかもしれないよ?」

 

戦姫「......脅してるつもりか?」

 

レ級「ううん。これは僕からの心からのお願い♪」

 

戦姫「......疲れた。もう下がりなさい。少し休みたいから」

 

レ級「うん。そうさせてもらうよ。姫、今日はごめんね。バイバイ」フリフリ

 

タ級「まぁ、あまり気にしないで。姫なら大丈夫よ......」

 

ル級「あ、後でお仕置きとかしないでね?」

 

ヲ級「そ、それは予想してなかった。姫、失礼しました。ゴメンナサイ」ペコ

 

 

戦姫「生意気だけど頼りになる部下か......いえ、部下にしないといけない......わね」ポツリ




実は筆者、レ級と戦った事がありません。
どれくらい強いかも知りません。
ただ、見た目が天真爛漫そうで動かし易そうだから、勝手に深海棲艦のリーダーのような扱いにしてしまってます。

反省は......レ級可愛い。

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