至らぬところなど多々有ると思いますが、少しでも皆さんに楽しめるよう書かせていただきます。m(__)m
「捕まえたってばよ‼」
「ニャァァァァ‼」
俺が下忍になってから二ヶ月、俺は今木の葉の里から少し離れた森の中で捕物をしている、俺の他にも何故か居なくて良いのにサスケとピンクも一緒だ。
あの演習の後三代目のじいちゃんにヒナタかイノの班に俺を組み込んで欲しいと頼みに行ったのに、五代目が三人全員合格か担当を変えて再試験にしろってカカシに言いやがって三人共合格に成った……あの時のサスケとピンクの勝ち誇った顔…
話がそれたな、で今なにしてんのかっていうとだな下忍の任務で【迷子ペット『トラ』捕獲任務】でトラを捕まえにきたんだ、ちなみに今捕まえたネコが右耳にリボンのトラで間違いないみたいだ。
木ノ葉隠れの里任務受付所
「ニャァァァァ‼」
任務受付所に猫の悲痛な叫びが響き渡る、そんな猫の叫びも抱きしめている女性には再開による歓喜の鳴き声にしか聞こえてないのだろう、これも任務だ許せ猫…。
「ああ!私の可愛いトラちゃん!!死ぬほど心配したのよォ~~」
任務の依頼人である火の国大名の妻 マダム・しじみ が猫を抱擁?しているが、どう見ても締め付けている……あれじゃあ逃げ出したくもなるな。
「あんなに猫も喜んで…きっと寂しかったのね」
……お前の目大丈夫かピンクどう見たらあれが喜んでるように見えるんだ? あの猫既にヤバげに痙攣してるぞ。
「…さて、カカシ隊 第七班の次の任務は…」
火影の装いで五代目が俺達の次の任務を選んでいる。
「…ん〜老中様の子守に隣町までのお使い、芋掘りの手伝いか」
いずれ劣らぬDランク任務……まあこんなもんだろさっさと終わらせて帰りたい。
「兄さん、もっとまともな任務は無いのか?そんなの忍びでなくても出来る任務ばかりじゃないか…俺たちは忍びなんだから忍びらしい任務をくれ」
「(……そうだよねサスケ君、相変わらずかっこいい…そうよ私達忍びなんだから、雑用なんて他の人がやって私達は忍びしか出来ない任務につくべきよ…)」
「ハー……(そろそろ駄々こねる頃だと思った…それに比べナルトは駄々もこねずきちんと任務もこなすし偉いなぁ…でも少しぐらい俺に甘えてくれても…いや甘えて欲しいなぁ…)」
サスケェお前おこぼれで下忍になった分際で意見出来る立場かよ、ピンクもハート目でサスケ見ながら賛成みたいな空気出すなよ…カカシが呆れてんじゃん?…ん?…なんでカカシ先生は俺を見てるの?しかもなんか少し変な目で。
「バカヤロ―!!お前はまだぺーぺーの新米だろーが!
誰でも初めは簡単な任務から場数を踏んでくり上がってくんだ!」
サスケの発言に我慢ならなかったのか、机を叩きイルカ先生が凄い剣幕で怒鳴った。
ナイス、イルカ先生こいつらに現実を教えてやってくれ。
「この前からずっとくだらん任務ばかりじゃないか!!兄さんが俺ぐらいの歳にはもっとまともな任務についていたはずだ」
「サスケ‼お前には任務がどういうものか説明しておく必要があるようだな‼」
なんか、もう火影呆れてるよ、イルカ先生もブチ切れてるし迫力あり過ぎで火影と受付の皆さんが引いてるじゃん。
「いいか!里には毎日多くの依頼が舞い込んでくる、
それは子守りから暗殺まで依頼リストには多種多様な依頼が記されていて……
難易度の高い順にA・B・C・Dとランク分けされている。
里では大まかに分けて火影様から順に上・中・下忍と能力的に分けてあって…
依頼は火影様を含めたた上層部がその能力にあった忍者に任務として振り分けていく。
で……任務を成功させれば依頼主から報酬金が入ってくるというわけだ……」
「お前らはまだ下忍になったばかり、よってDランクがせいぜいだ‼
ちなみに火影様は今のお前達よりも若い10歳で中忍に成られたから中忍の任務についていただけだ!…文句が有るならもっと任務をこなして中忍に上がれ‼」
「あはは、ど、ど〜もすみません」
イルカ先生の顔青筋立って完全に鬼の形相に、勢いでカカシが謝り、火影も編笠深くかぶって目を合わせないように目を逸らした。
しかしサスケも引かず、イルカ先生を無視して火影に詰め寄り。
「けど、俺だっていつまでも兄さんに護られる俺じゃない!」
なんかサスケの発言で火影が笑いながら感慨深げに見てるんだけど、ちょっと待てよ情けで下忍にさせただけでなく、こんなわがままを通すつもりですか?他のものに示しがつかないでしょうが、いい加減ブラコン辞めろ。
「わかった…お前がそこまで言うなら。
Cランク任務をやってもらう……ある人物の護衛任務だ
(……フッ…あの俺の背中を追ってばかりのサスケがな…)」
もうやだこの里……今頃本体はなにしてんのかな……
☆
時間は戻り…二ヶ月前
俺がじいちゃんにヒナタかイノの班にして欲しいと頼んだ次の日、俺は衝撃的な事実を突きつけられた、じいちゃんに頼めばなんとかなると楽観していたわけではないが、まさか五代目が強権(ブラコン)を発動させるとは……
呆れた俺は明日早朝には影分身を置いて里をしばらく出る事を家族伝えると。
「いいんじゃないかな…そうだクシナ僕達も旅行に行かないかい?」
「いいってばね、旅行なんて生前も合わせて初めてだってば」
父さん母さんも何処か旅行に行く事になったらしい、まあ母さんは人柱力として父さんは火影としてこの里に縛られ旅行なんてできなかったのだろう、これを期に父さん達にはもっと人生を謳歌して欲しいものだ。
「ナルト君私も一緒に行ってもいいかな?」
「勿論だってば、俺から誘うつもりだったってば…シカマルに旅行に出るから修行に行けないって伝えてくるってばよ」
俺達は日の出を待たずに里を出る為森の中をかなりの早さでかけている、この早さなら昼過ぎに目的地につきそうだ………前に見知った気配を二つ感じヒナタに目で聞くが知らないらしい迂回しようとしたら。
「そこまでよナルト‼」
「そこまでです姉様、ナルト兄様‼」
イノとハナビが俺達の前をふさぐように飛び出してきた。
イノの奴満面の笑みなのに…その笑顔を見ているとなんで嫌な汗が止まらないんだ?
「な…なんで二人がここにいるってばよ?」
こうなる気がしてシカマルにしか伝えてないはずなのに。
「ヒナタに聞いたからよ」
ヒナタが?なんで?…驚きヒナタを見ると、イタズラ成功みたいな可愛いい顔で。
「だって抜け駆け良くないもん…ナルト君だってイノちゃんの気持ち知っているでしょ?…でもハナビが居るのは驚いたなぁ…」
ヒナタさん⁉口が裂けた下弦の月みたいになって目が上弦の月みたいになっていますよ。
「イ…イノ姉様から聞きました」
ハナビちゃんも真っ青な顔でガタガタ震えながらヒナタを見てる…確かに直視したらおっかないだろうなぁ…
現実逃避気味に日向姉妹のやり取りを見ていたらイノに耳を引っ張られ。
「そんな事はどうでも良いのよナルト‼それよりもなんであたしを置いてどっかに行こうとしてんのよ!」
「えっと…その、ですね……」
「ナニ?…もしかして言い訳考えてるわけ ねぇナ・ル・ト少しO・HA・NA・SIしようか?」
その瞬間俺は後方に飛び上がり空中で両膝を合わせ、無駄に無駄な綺麗な三回転ひねりを加えながら腰を曲げ掌、頭、膝が地面に水平に着くよう着地した…
その姿勢はまさしく完璧なDO・GE・ZA、言い訳などしようものなら命が危ないと本能的に理解した俺に出来る事はただ一つ。
「すみませんでした‼」
そう謝る事だけだ、ただ伏して御主(イノ)に許しを請い、ただ伏して御主(イノ)の怒りを速やかに収めること。
かっこ悪い?知ったことか、命がかかった戦場で頭一つ下げれば事足りるならいくらでも下げよう。
「……はー、まあ良いわ許してあげる、だけど私も一緒にし行くから、いいわよね?」
ため息一つ、俺を見て穏やかに微笑んでくれた。
「もちろんだってばよ」
良かった…本当に良かった。
さて、ヒナタとハナビはどうなったかな?……
振り向いた視線の先には……修羅が居た…おそらくマダラですら裸足で逃げ出すほどの修羅が。
「ヒ…ヒナタさんどうしたんでせう?」
「ナルト君…」
振り向いたヒナタの顔は笑顔だ、完璧に整えられた一つの芸術と呼んでもいいそれが…いつもは俺に安らぎを与えてくれるその笑顔は俺の中の尾獣達でさえ震え上がらせるほどの気迫が有った。
「ハナビがね、私達と一緒に行きたいって言って、私の話を聞いてくれないの……どうしよっかやっぱり記憶を消してしまおうか」
「きっ…記憶を消しても無駄です姉様、私に何かあれば影分身が自動的に姉様と兄様の真実をバラします‼」
涙を堪えながら必死に訴えるハナビがあまりにも可哀想で。
「ヒナタもういいんじゃないか?…日向の宗家として遊ぶ事も出来なかったんだ少しぐらい羽目を外させてやろうってばよ」
どうやらヒナタもそのつもりだったらしく、「仕方ないな〜」と笑いながらハナビを連れて行く事になった。
☆
目的地の砂隠れには途中ハナビが寝てしまい俺が背負う事になったが予定した時間には里に着いた、俺達は変化で大人の姿になり行商人の格好で里入りし、里の外縁の一階が酒場で二階に宿が有る古ぼけた店に入った、店は昼過ぎでありながら人の数はまばらで全体的に暗く、埃っぽい臭いとアルコールの臭いが鼻につく、床やテーブル、椅子にはアルコールのものかシミがこびりついている。
こんな場所に入るのは初めてだろうヒナタとイノはわずかに顔をしかめるが俺について店の奥に進んで行く。
店の奥、照明が届かないのかひときわ暗い席に座っている俺達の里入りを手引きしてくれた男の元へ行き。
「またせた」
「ちゃんと来たな、ナルト」
「ああ、済まん予定より二人多いが問題ないか?」
俺が背負っているハナビと大人に変化したイノに視線を向ける。
「ああ、それなら問題ないここの二階は全て貸切った」
「助かる」
「気にするな、俺とお前の仲だ…ここでは目に付くな上に行くぞ」
周りの目が俺達に向いている、当然だろう場末の酒場まともな仕事をしている奴らなどこの店には一人も居ないはずだ。
男の案内で俺達は二階に上がり、二階の中央に有る部屋に行った。
二階は狭い通路の南側にドアがその反対側に窓が有る、二階全体に結界とトラップを敷き詰め正規のパスが無ければ部屋にたどり着けないようにし部屋に入ると。
「ナァールーにぃ〜」
「うぉ‼」
部屋に入ったとたん、嬉しそうな少年の声と共に前から衝撃を受けるが倒れないよう支える、俺に十代前半の少年が抱きつき嬉しさを全身で表している…尻尾が有ったら全力で振ってそうだな。
「久しぶりだってばよ我愛羅」
俺が抱きしめたのは砂隠れの人柱力我愛羅だ、昔俺が尾獣達のチャクラを集める為に尾獣巡りしたさい出会い、尾獣とのコミニケーションや力の使い方などを教えたら随分と懐かれた、ちなみに我愛羅の中の尾獣は守鶴で守鶴の中には我愛羅の母・加琉羅のチャクラが一緒に封じて有り精神世界で会える為に原作のように暴走した事は一度もない。
「ナルト君その子は?」
「ああ、何度か話したろ俺と同じ人柱力、砂隠れの我愛羅だってばよ…我愛羅彼女達は短めの黒髪がヒナタ、金髪がイノ、黒髪ロングがヒナタの妹のハナビだ」
「始めましてヒナタです、我愛羅君よろしくね」
「イノよ、よろしく」
「我愛羅だよ、ナル兄と同じ人柱力です、よろしくね」
「「(……何この可愛い動物……)」」
新しく友達が出来た事を全身で喜ぶ我愛羅オメガ可愛い、きっと犬耳と尻尾をつけたいのは俺だけではないはず、実際イノは顔を反らし鼻を押さえて悶えてるし、人見知りするヒナタも頬を緩めている。
「??イノさん、ヒナタさんどうかしたの?」
「気にするな我愛羅、ところで頼んでおいたものは?」
「ダイジョ〜ブ、砂隠れの禁呪書は全部写して隣の部屋に有るよ」
「助かるってばよ」
そして俺達は一月ほど砂隠れの里に滞在し屋台巡りをしたり、禁呪の修行で新しい忍術を作ったり、木の葉にはない香辛料を使ってカレーを作り宿を繁盛させたりと楽しい時間を過ごした。
現実には恵まれていない俺達にとって、血の繋がりがなくとも間違いなく、ここにそろった者達は家族であり共に居るだけでかけがえのない時間を過ごす事が出来た。
俺の中で妄想が満ちる
厨二の妄想が俺に纏わり付いて離れない
要らない、要らない、
俺はこんな現実など望んじゃいない
現実なんて消えてなくなれ
俺はただ妄想できればそれでいい