木の葉を遅いに来た百を超える音忍と大蛇は今まさに逃げ惑っていた彼等を追いかけ…否襲っているのは、かつて木の葉で三忍と呼ばれた忍びの一人自来也。
ハッハァーハッハァーァ〜
「LOVE!あーんどPEACE‼
愛・覚えているかしらー?」
どこからか流れる不気味な音楽とともに現れた彼の姿は上半身裸の筋肉ムキムキのマッチョマンサスペンダー付き半ズボンに髪の毛はツインテール。どう見てもキチガイ、100人が100人気持ち悪いとガチムチホモの筋肉好きなら受け入れられるかもしれないが。何よりも目を引くのは彼の背にある天使のような4枚の翼と後光の如く彼を照らす紫色の輝き。
「LOVE!あーんどPEACE‼
それが〜私のォ〜POLICY‼
マァッ!なんて可愛い子達なの
我輩もぅ…たまんなぁ〜い!」
彼だけでも恐ろしいがそれとは別にもう一人。
その男は本職のボディービルダーでさえ感嘆の声をあげそうな程に鍛え上げられた黒光りする屈強な肉体をもった大男、その男が纏うは…紛れもなく魔法少女の衣装すなわち。
ーーヒラヒラのスカートから見える、まるでギリシャの神殿にでも使われていそうな鍛え上げられた大腿の筋肉
ーー可憐な衣装を今にも引き裂きその隠しきれない姿をまざまざと見せつけんとする大胸筋
ーー申し訳なさそうに上腕の中程までしか無い袖から覗くまるで山の様に隆起する上腕二頭筋
ーー手の中に有るのは、その親指よりも頼りなさげな魔法少女の必須アイテムたる魔法のステッキ
ーーその頭に申し訳程度に添えられている猫耳カチューシャ
ここてはない世界て彼はこう呼ばれている【魔法少女ミルたん】
「悪い子はお仕置きだにょ☆」
前者はKissのみで敵を打ち倒していく、倒されたもの達はゾンビの如く起き上がり服を脱ぎ去って仲間だった者達にKissの祝福を与え一人が二人に二人が四人に四人が八人に鼠算式に増えていく、しかも彼等への攻撃はまるで効かないどころか彼等は攻撃を快感に感じ快感を感じれば感じるほどにチャクラも筋肉量も増えて変態化していく。
「Love!temptation‼」
後者の攻撃は前者よりも訳がわからない、ボディービルダーのポージングど共に放たれる多種多様のビームに触れたものは身体から輝かしい宝石(ソウルジェムとは言ってない)が抜け出し魔法少女に変態していく。
「これが円環の理なんだにょ」
そんな彼等をガチムチバニー達の神輿に担がれ鞭を持ったボンテージ姿のアンコが遠視の術で見ている。
その背後に控える百を超える変態の編隊。
「仲間外れは寂しいもの…だから、さあ私の可愛い子供達、異世界からの同志と共にあの子達と遊んであげなさい。
合言葉は?」
「「「僕と契約して変態になってよ‼」」」
これより始まるは戦いに有らず。
変態の変態による変態の為の宴。
ノンケで有りたくば脇目も振らずに逃げることだ。
一度捕まれば何人たりともノーマルに戻る事など出来ないのだから。
☆
木の葉崩しが始まる頃砂隠れの里では原因不明の病が蔓延していた。
激しい呼吸困難を伴う激痛が身体を犯す、里の病院だけでは対応しきれず風の国の病院までもが野戦病院の様相を呈していた。
さらにこの病気にはどんな薬も効かず他者の笑顔だけが症状を抑えることが出来た、しかしマスク越しでの笑顔でも笑顔の写真でも効果は得られず医療関係者はマスク無しで患者の治療に当たっている…この病気が空気感染する可能性が有ると知りながら。
結果として病気は飛躍的な拡散をする事となる。
時を同じくして音隠れの里では身体に苔や茸を生やした者達が現れた、それらが生えた場所は宿主のチャクラを吸い取り枯らすと、その身体を乗っ取り次々と人々を襲い始める、僅かな傷でも負わされれば瞬く間に新たな宿主を吸い殺す。
忍具や術で殺そうも衝撃を受けた瞬間弾け飛び出した胞子が人々を襲う。
☆
木の葉の里その中央に位置する物見櫓の上で。
「その姿は?…何をしたのかしら三代目」
若返った三代目を訝しむ大蛇丸、肉体だけが若返ったのなら幻術かと思うだろう、しかし三代目の身体からほとばしるチャクラは確実に高まっている、それこそ自分が教えを受けていたとき以上のものを感じている。
大蛇丸とて他者の身体を乗っ取る事で若い身体を手にする事は出来るが所詮は他者の身体残留思念や長年の身体の癖、大蛇丸の魂を受け入れる器の大きさなどの理由で全盛期よりは確実に弱体化している。
「不思議に思うのも当然じゃこの薬は禁薬APTX4869、細胞自己死のアポトーシスにより余分な細胞を破棄し細胞内寿命のテロメアの増殖により細胞を若返させる。
お主のように魂が劣化する事も無く身体の癖や残留思念に引きずられる事もないのじゃ」
「そんなものがなぜ禁薬なのよ、いい事ばかりじゃない‼」
「なに、どんなに身体が若返っても脳の容量が増えるわけではなくての、この薬を使う者は記憶や思考能力をアストラルフェイズに至らせ自前で量子電脳を運用するる事が条件なんじゃよ。
さて条件は同じ覚悟は良いかのぉ」
「毒薬盛って、逃げ道塞いで、勝利条件全部見たして何が同じよ‼」
現状を見れば大蛇丸の言葉は間違い無いように聞こえるが彼は根本的に考え違いしている。
元来戦いとは始まる前には既に終わっている、今回はあくまで大蛇丸の事前準備を三代目が読み切って潰したに過ぎない。
これが覆るのは余程の無能が指揮をとったか突然天災規模の横槍が入るかのいずれか、そのどれも無ければこの結末は当然の帰結、そしてここまでどちらも相手の手札を出し切らせ残ったのはその身と技のみで相対するのみ、であればお互い対等同条件と言っても過言では無い。
「なんとでも言えば良い‼」
【影分身の術】
三人に増えた三代目は二人が大蛇丸に向かい、残った一人は口寄せで猿を呼び如意棒に変えると前を走る三代目に渡し更に印を組む。
大蛇丸もチャクラを練るが経絡に負担がかかり体の中に焼けた鉄棒を突き込まれたような痛みを感じそれでも口寄せで三つの柩を地面より呼び寄せた。
「(いかんあの術は)」
咄嗟に放つ術を柩に向け
【火遁・火龍炎弾の術】
口から吐き出された炎は火龍の姿を型取り三と書かれた柩を焼き払い、如意棒を持った一人は二の柩を叩き潰した、しかし一の柩は間に合わず口角を上げた大蛇丸と苦い顔をした三代目の目の前で柩が開いた。
身構える三代目の前で柩からは…
なにも出てはこなかった。
場を支配するは微妙な空気、大蛇丸はドヤ顔のまま固まり、三代目も気の毒そうに見ている。
「まあなんじゃ人は誰だって失敗はあるもんじゃ気を落とすで無いぞ」
「こんな時どんな顔をしたらいいのかわからんと思うが笑えば良いと思うんじゃ」
「諦めなければ誰しも夢は叶うと信じているのじゃァ‼」
「慰めんじゃないわよォ‼
三人目は慰めじゃなくってネタじゃない‼」
恥ずかしさに顔を真っ赤にした大蛇丸それに対し三代目達は。
「「「ねぇねぇ今どんな気持ちどんな気持ち⁇⁇、これで勝てるとか思って失敗した今どんな気持ち???」」」
三人が声を揃え腹立たしい顔で大蛇丸をおちょくる。
「黙りなさぁいよぉぉ‼」
怒りのままに吐き出した草薙の剣で斬りかかるも呆気なくその意識を奪われた。
「「「大蛇丸様‼」」」
結界を貼っている四人が結界を解いて大蛇丸に向かうも三代目や周囲の暗部に阻まれ近づく事すら出来ず囲まれる前に去っていく。
彼等を追おうとする暗部に対し三代目は。
「追わずとも良い、それよりも今は里の中の忍びの始末が先じゃ、これ以上アンコの変態部隊を増やすわけにはいかん」