今更ですが原作乖離でも良いと思う方以外はバックでお願いしますm(__)m。
第四試合戦っているのはナルトとヒナタ。
二人から溢れ出す闘気とチャクラは先程までの試合とは一線を画する。
ヒナタが合掌の構えをした瞬間に現れる観音と無数の腕から放たれる不可視の一撃。
それを脱力した姿でチャクラの衣から生えた腕で否し撃ち落とすナルト。
双方ともに速度も手数も異常に尽きる、観客達は二人が立っている様にしか見えないのに周囲が勝手に崩れ壊れていくのだ、この戦いを理解できているのはごく一部の者達だけだろう。
開始から続いていた応酬が終わりを告げる、二人が距離を取るその間はおよそ10メートル二人にとっては有ってないような距離である。
このままでは埒が明かないとヒナタは自身のチャクラと闘気を練り上げ淡い桃色の闘気がヒナタの拳に灯る、その闘気は獅子を思わせる姿。
【獣歩双柔拳】
大地を震わし地震かと思う程の震脚で一瞬で距離をゼロにしたヒナタ、その拳に灯る獅子がナルトに迫る。
「ゼッ!」
視界を覆い尽くす程巨大化した獅子が眼前に迫り、気合と共にチャクラで生み出した腕で獅子を弾く、弾かれた獅子は里を越え山に着弾し頂から中程まで消し飛ばした。
観客達はあまりの威力に唖然とするが、ナルトはそんな事に構ってはいられない、巨大な獅子に隠れ姿を晒したヒナタ、その獅子を纏った拳は既に硬く握られている。
獅子をそらすために振り上げた腕は下ろす事が出来ずチャクラの衣を集める。
ナルトの死地に踏み込んだヒナタの拳がナルトの腹にぶち込まれた、チャクラの衣の大部分を吹き飛ばし試合会場の壁に叩きつけられたナルト、試合を観戦していた誰もが死んだと確信するが。
ヒナタは右手に風遁螺旋手裏剣を左手に火遁螺旋丸を生み出し、一つに練り上げ。
【風火・焦熱螺旋手裏剣】
ためらう事無くナルトが居るであろう場所に投げつけた。
会場に地を震わす爆音と焔の嵐が巻き起こる。
幸い観客席に結界が展開されたから良かったものの、少しでも遅ければ大惨事である。
しかも、まだ終わらせるつもりは無いらしい、再び焦熱螺旋手裏剣をその手に生み出し。
「この程度じゃ死なないよね、でも早くしないと本当に死んじゃうよ」
声は可愛らしい、それが観客達には何よりも不気味に映る。
観客席には火影の指示で必要ならば暗部が取り押さえられるよう待機して居るが、彼女を止められる自信の有るものなど誰一人としていなかった。
そんな周囲の状況を知った上で無視して完成した焦熱螺旋手裏剣を再び放つ。
その顔は何処までも楽しそうだ。
放たれた焦熱螺旋手裏剣に対抗するように現れたチャクラの腕、その圧倒的な禍々しさにパニックに陥っていた会場は一瞬で静かに成った。
この場にいる誰もが圧倒的な死を予感し、しかしそれに抗う事も出来ず、ただその場で恐怖に竦んだ身体でその腕を視界に映す。
腕は焦熱螺旋手裏剣を握り潰し、一振りで粉塵を払う。
粉塵が晴れたその場所には禍々しいチャクラを全身に纏ったナルトが立っている、その身体には傷一つ無い。
「今日はやけに機嫌が良いな、何か有ったのか?」
「うん、この前お父さんと話して私の実力とか話したんだ…お父さんとも仲直り出来たし、今日は少しだけ頑張る」
楽しそうに話すヒナタをナルトは微笑ましいモノを見る優しい瞳で見返し、観客の中のヒアシを見ると…真っ青な顔に冷や汗を浮かべ震えている。
ナルトは何も見なかった事にして向き直ると、距離を詰めてたヒナタの一撃が腹部を襲う、先程よりも弱いがそれでも普通の人間なら腰より上が消し飛ぶだろう威力、それを平然とうけ。
「ナルト君、愛しの彼女と話してるのに余所見は無いんじゃないかな?」
「ああ、わかったよヒナタ」
可愛らしく頬を膨らませて見上げるヒナタのさらさらな髪を梳く様に撫でてから距離を取り。
距離を取ったナルトから溢れ出す殺気と殺意、チャクラの禍々しさと合間って冥府の幽鬼の様だ。
それに対するヒナタは頬を上気させ艶かしい吐息をつく、まだ成熟し切っていない少女の身体から出るアンバランスな色香が、一種の背徳間を生み出し男女共に視線を奪う。
しかし、その身に纏う色香以上の濃密な殺気と闘気を噴出させナルトに相対する。
二人の身体から立ち上る力が周囲の空間を陽炎の様に歪ませる、二人の間の空間などは世界が悲鳴を上げているかのように軋みを上げ空間に亀裂を生んでいる。
地面にクレーターを生み出し跳躍するヒナタ、既にその高さは跳躍よりも飛翔と呼ぶべきだろう、そこから放たれる百式観音その威力は先程までの比では無い、一発一発が隕石程の威力を保ちながら数百数千もの打撃がナルトただ一人に撃ち振るわれる。
対するナルトは、そんな隕石の雨の中を風に舞う木の葉の様に舞いながら進む、しかしその身体は無傷とはいかない、掠っただけでチャクラの衣を剥ぎ取られ体から鮮血が舞う。
だが、臆すことは無いギリギリで回避できるモノは回避し、回避出来ないモノだけ逸らし、いなし、撃ち落とす。
視認すら難しい死の嵐の中をそれでも進みヒナタに肉薄し拳を振るう、光の速度を超えた打撃の応酬。
二人は忍術など使わない否使えない、二人の速度は光速であり印を結ぶ僅かな間でさえ相手に取って格好の的になるだけだから。
「クハ、ハハハハハハハ、楽しいなぁヒナタ!」
「フフフ、最高だよナルト君‼」
【百式観音・三ノ手!】
ヒナタの背後に顕現している観音像が二つの手を打ち合わせ羽虫を潰すかの如くにナルトを潰す。
骨が砕ける音と肉がひしゃげる湿った音が聞こえる、回避も出来ず間違い無く致命傷だが、その程度では止まらない、ヒナタの腹に肉薄し。
「小さく前にならえ」
【無拍子】
衝撃がヒナタの内臓を攪拌し肋骨を砕く、口から大量の血を吐き出し距離を取った。
『我が一撃は無敵なり
我が一撃に勝るモノ無し
我が一撃は神技成り』
『我は鋼なり、鋼故に怯まず、鋼故に惑わず。
一度敵に逢うては一切合切の躊躇無く。
これを滅ぼす凶器なり』
紡がれる言葉は武技言語、自分は絶対に勝つと、自分の技が負けるわけがないと信じ自己を高める自己暗示の一種。
高まる気はその体に集約し視認できる程に凝縮していく。
【聖爆(セイバー)‼】
【重爪(チェンソー)‼】
二人の放った一撃は空間を引きちぎり中央で激突する、衝撃は逃げるために上空へ上がり空に浮かぶ雲を薙ぎ払い空に亀裂を刻んだ。
いかがでしたでしょうか?
楽しんで貰えたら幸いです;^_^A