今回最後の方に少々グロが入りますので注意してください;^_^A
では18話始まります
「第四試合、始めてください」
審判の開始の合図を聞いても、シカマルはかったるそうな態度を隠しもせずに、面倒くさそうな表情で視界に対戦相手すらいれていない。
当然これには理由が有る…相手が音隠れのスパイ【ツルギ・スミス】で、ナルトから出来る限り殺して欲しいと頼まれたからだ。
ただでさえ面倒く下がりやの彼のテンションが下がるのも頷ける、しかしそれでも思考をやめない所はさすがと言うべきだろう。
「(あいつが何もなく頼むとは考えられねぇよな、そもそもナルトが知っているなら当然三代目も知ってるはず…その上で泳がされている相手、恐らく無用の情報しか持っていない上で殺す価値も無い…それでも殺せってのは、何か理由が有るんだろうけどよ…)」
シカマルはナルトを見上げる…ナルトの側にはヒナタとイノが居て何か話しているが、声も小さく聞き取れない。
シカマルの視線の先、観戦しているナルト達は。
「シカマル君は私達の仲間に成ってくれるかな」
「…さぁ…な」
ヒナタが見たナルトの瞳にはシカマルに対する期待と自分に向けた嫌悪が見て取れる、ひどく揺らぎまるで親を探す迷子のようだ。
今回の件、ヒナタはテストだと知っている。
これから進む道が血濡れの修羅道だとわかっているからこそ、不足した情報でもナルトを最期まで信じ、ついて来れるか為したいのだ。
その為に人が最も忌諱する人殺しをさせる…下忍の任務で人を殺す事など有る筈もなく、当然アカデミーでも経験した事は無い…正真正銘、初の人殺しを【友】の為に出来るか否か。
「俺は…やはり外道だな…初めての友にこんな試し方しか出来ないなんて」
「馬鹿言ってんじゃないわよナルト…あんたのおかげで助けられたくせに迫害した木の葉の里の塵共よりよっぽどましよ…それにあんたが外道に落ちるなら私達も一緒に地獄の底まで着いて行くから安心しなさい」
「そうか…済まなッイダダ」
イノは、寂しそうに笑うナルトの頬を抓り。
「そんなしけた笑顔を浮かべんじゃないわよ…自分を外道と蔑むならもっと傲岸に不遜に笑なさい、好きなだけ狂いなさい、私達はそんなあんたと一緒に狂い踊ってあげるから…そうでしょ?ヒナタ…」
「もちろんだよナルト君」
寄り添う二人の温もりに包まれながらナルトは視線をシカマルに戻した。
シカマルとナルトの目が合う…
「(わかったぜナルト…お前が何を考えてるかなんて知らねェけどよ、お前俺を試してやがるな?安心しろよ、お前を二度と一人になんかさせねぇからよ…)」
シカマルは一本の苦無を取り出し、対戦相手のツルギをみた、相手もやる気の無いシカマルに少々イラついていたらしい、シカマルに対して殺気を向けている。
「やっとやる気に成ったか小僧、怖かったらすぐにでも降参しても良いんだぞ」
「わりィ…一瞬だ」
気がついた時には、シカマルはツルギの背後で苦無を振り切っていた、ここに居るほとんどの者が何が起こったのか理解できなかっただろう。
「ゴホ…勝者・シカマル」
「何を言ッ…」
ハヤテに文句を言おうと振り返ると、何故か視界がクルクルと回りながら地面に落ちて行く、回る視界に本来首が有るべき場所から噴水のように血を噴き出す身体が見えた。
頭が地面に着く頃にはツルギの意識は完全に消えていた。
☆
「何が起きたか見えましたか?…ネジ」
二階から一部始終見ていたリーが、唖然としながらも隣で見ていたネジに聞くが。
「……何も見えなかった、最初から最後まで何があったのかわからん」
「彼等が私達よりも強い事は森の中でわかってたことだけど、あの時でまだ手加減してたってわけね」
「(木の葉秘伝の高速体術を会得する為に、文字通り血肉を削る鍛錬を課して来たこの子達がここまで言うとは、先のシノと言い今年のルーキーは異常じゃないか?…)」
ガイ班は森の中で知っていた以上に彼等が強いと知り、更に緊張感を高めて行く。
そんな彼等を横目に、シカマルの動きが既に中忍のそれを大きく上回って居ることに疑問を覚えるガイ。
☆
勝ち名乗りを受け、階段を登るシカマルの前にチョウジが進んで来た。
シカマルはチョウジの顔が優れないのを見て。
「よう、どうした?」
「次…僕の番なんだ」
「あ〜そうなのか」
シカマルはゆっくり会場を後した為、次の組み合わせを見逃したらしい。
しかし、それ以上に気になるのは、やはりいつも以上に張り詰めたチョウジの顔だろう…表面上はわからずとも長年付き合って来た相棒だからこそ解る。
「(予選に残った木の葉のスパイは全員死亡、ナルトの事だ恐らく次の相手は音忍を当ててくんだろうがよ)……チョウジ、もし嫌なら別に殺さなくっても良いはずだぜ」
シカマルの提案にチョウジは小さく、だがしっかりと首を振り。
「…殺るよ…僕もナルトの友達でいたいから」
「そっか…」
シカマルが道を譲りチョウジを見送り、自分もナルトの元へと向かった。
チョウジが会場に着いた時には、相手のドスは既に待っていた。
「さて…(とにかく本戦に残ってサスケ君と戦らないとね…大蛇丸様の期待に添えなければどうなるかわからないからね)…森の中ではお世話になりましたね…おデブさん、でもあの程度で僕を舐めないでください」
「………ダレ⁇」
チョウジは見てたわけでは無く、あくまでチャクラと気配感知で居場所を捉えていた為ドス達が誰なのか本気でわからないのだが、やられた側にしては許せない事だろう。
「えー、では第五回戦開始です」
しかし、そんな彼等の会話をタイミング良くハヤテが遮って試合を開始させた。
「…君が誰か知らないけど、僕の記憶に残るほどに美味かどうか味せてくれないかな?」
かかって来いと自分を指差すチョウジに。
「どうやら、死に急ぎたいみたいですねぇ!」
チョウジの腹に双掌を当て。
「ちゃっちゃと死んでください【響鳴穿】‼」
腕のスピーカーにより作り出された衝撃音がチョウジの腹に撃ち付けられるが…
「粗食…今のはナニ…食前の水か何かかな?」
「馬鹿な…効いていないのですか…」
攻撃を食らってなお平然とするチョウジに愕然とするドス。
「この程度じゃ僕の腹を満たすには足りない…本当に美味いのは…【鬼張り手】
右足を一歩下げ身体を捻り右腕を腰溜めに構えた、限界まで引き絞った身体を踏み込み解放し同時に部分倍加の術で巨大化させた、凄まじい轟音と地震と勘違いしそうなほどの揺れが起こる、その威力は破城槌にすら届くだろう、攻撃を受けたドスは反対側の壁に巨大化した掌との間で押し潰され壁の紅い染みになった。
「勝者、秋道・チョウジ‼」
☆
チョウジ達が戦っていた際、カカシとサスケは裏で呪印の封印の術式を組んでいた。
「よし、少しの辛抱だすぐ終わ…」
突然カカシの声が止まり不信に思い振り返ると、時を止められたように動かないカカシの背後から狐面の暗部二人が現れ。
「めんどくせェ、白こいつの精神も止めろ」
「はい…」
その言葉で前に出た少女?の目が紅く光るとサスケの思考は完全に停止した。
大柄の暗部がサスケとカカシが停止したのを確認している間に小柄の暗部が水晶を設置し。
「さて、これで見えますか?大蛇丸さん」
「ええ、よく見えるわ…にしてもあなた達が彼の仲間だったとわね」
「そんな事はどうでもいいボスからの急な依頼だ時間もあまりねぇ、さっさとしやがれ」
「わかったわ、それじゃ私の指示通りに頼むわよ、まずは変化した呪印から見せてくれないかしら」
その後サスケの身体を隅々まで調べられサンプルを取られる事になった。
☆
「第六試合始め!」
サクラは開始の合図を受けて、目の前の少女に意識を集中させる。
「あんたとやる事になるとはねぇ〜」
その口元に笑みを浮かべ、しかしその瞳には一変の奢りも無い、先程までナルト達と楽しく話していた少女とは思えない。
「サクラ…覚悟は良い?同じ里の出身者でも容赦はしないわ」
いのの表情には自身の敗北などあり得ないと確信している顔だ、忍者アカデミー時代からイノはナルトと共に修行に励んできた、その後も続けた修行の日々で今では体術も忍術も暗部クラスを超えている、一対一なら人柱力の我愛羅ですら五分五分の勝負を行えるほどだ。
「…」
無言で応えるサクラは額当てを外しイノに突き出す。
「嬉しいわァ…サクラ……最も、アンタが自分で言った事だけどね…」
いのも腰に巻いていた額当てを解く。
その姿を見ながらサクラは幼い日々に思いふける。
自分に劣等感を抱いていたアカデミー、何も出来ず落ちこぼれで他の少女達にいじめられいた事も有った、そんな日々の中でなんでも出来たイノに言われた言葉。
『アンタが蕾のまま枯れちゃうのは…勿体ないと思ってね……花は咲かなきゃ意味ないでしょ、もしかしたらそれが…コスモスよりもキレーな花かも知れないしね―‼』
嬉しかったのだ、涙を流すほどに…そして約束したいつかイノを超えると。
「(イノ…私はずっとずっと、あの時くれたあなたの言葉を信じてやってきた。
ホントにそうだったら良いなってずっと…あなたのようになりたくて…あなたを目指してやってきた…お陰で、今ここに私がいる…だから)…
あなたと本気で闘いたい…私、本気のあなたを越えないと意味ないから‼」
イノは額当てを額に結び。
「なるほどね…あの頃のあんたがあのまま成長していれば少しは見所があったかもしれないけど、蕾どころか枯れ果て腐り切ったあんたに…負けるわけがないじゃない」
「え⁈」
驚くサクラを口だけ笑みを浮かべたまま冷たい目で見つめ。
「昔のあなたは、自分よりも上の人間を目指し高みを求めた、だけどある時から自分よりも下の人間が居る事に安堵し高みを目指す事を辞めた…その時点で枯れたあなたは他者よりも少しだけ優れていたサスケに憧れ、でもそれ以上に自分のいる底辺から離れて欲しくなくて足を引く事にした…こんな人間を腐った塵以外なんと表現しろっていうのかしら⁇」
サクラを鼻で笑い、侮蔑の視線を向け。
「私はあんたを認めない認めてなんかやるものか、あんたは何も成せず何にもなれないままに朽ち果てなさい‼」
「ッ!」
サクラはイノの気迫に圧され急いで印を組み分身の術を使い、足元にチャクラを練り込んで一斉に加速する。
そんなサクラにイノは腕を一閃するだけで、分身体を消し本体のサクラも薙ぎ払った。
「ゴフッ!」
口から血を吐くサクラは自分の身体を見ると、左の腰から右の胸にかけて鋭い切り傷が刻まれていた。
「(なんで…イノとの距離はまだあった、あの距離で忍具も術も使った様子は無かったのに)」
「いつまで、そうしているのかしら?もう諦めたの⁇」
イノは腕を振るうそれだけで、床が斬り裂かれ斬撃の跡がサクラに向かう。
「(なんなの、なにかの術なのは確かだろうけどなんなのよ)」
サクラはイノに向かって苦無を投げながら斬撃を回避しようとするが、苦無は見えない刃に斬り裂かれ回避しようとしたサクラの右足を膝下から切り飛ばした。
その戦いを見下ろしている我愛羅が。
「カンクロウあれがなにかわかるか?」
「え?(我愛羅から話しかけられた‼)…見えないが…恐らく傀儡の術で使うチャクラの糸で攻撃しているじゃん」
「そうだ、だがそれだけじゃない…目に映らないほどの細さに風の性質変化を加えて斬れ味を鋭くさせている、お前は近接戦闘が苦手だからああいった技も使えるようにしておけ…砂隠れの中で予選で敗退したのはお前だけなのだから強くなる為にこれからの戦いで使えるものは少しでも盗め」
カンクロウもテマリも驚きの顔で我愛羅を見ていたが、直ぐに試合に視線を戻した。
会場では。
大腿をきつく縛り止血し、壁を頼りに立ち上がったサクラは。
「ハッハ…ク、あんたなんでこんなに強いのよ」
「当然でしよあんたがサスケの追っかけやってたころ、私はナルトと一緒にずっと修行してたんだから」
「ナルト?…なんであんな【落ちこぼれ】と…」
不意に途切れたサクラのその言葉は強制的に止められた…イノの糸がサクラの首に巻き付き締め上げているからだ、サクラはなんとか外そうと首を掻き毟るが、肉に食い込んだチャクラの糸は外れる事なくサクラの首を締め上げその身体を持ち上げて行く…糸はサクラの四肢にも巻き付き引き千切ろうとする。
空中で磔にされたように動けないサクラが、かろうじて見たイノの顔は憤怒に彩られていた。
「誰が【落ちこぼれ】ですって?…あれだけ彼の側に居ながらあんたは何も見えていないのね…あんたも木の葉の里の塵共と一緒よ、ただ【生まれが綺麗なだけ】で、ただ【自分が選ばれなかっただけ】で、そんなに彼を下に見たいならあんたが人柱力に成れば良いのよ!
自分がどれだけ恵まれているかも、彼が【この里を護った英雄】で有りながら【里の塵共の悪意を一身に引き受けている】理由も知らないで…
【邪魔なのよ‼…何も知らないくせに、代替案も出せないくせにッ‼
彼のやる事なす事、その魂まで勝手に値踏みしてェッ‼
助けられたくせに!勝手に背負わせたくせにィ‼】
【私はもう誰にも奪わせないッ‼、もう一人でどこにも生かせないッ‼世界の全てが彼を否定するならァ!】
【私達が彼の全てを肯定し受け入れ愛してやるわよォ‼】」
鬼気迫る叫びと共に腕を引き絞るると、引っ張られた糸がサクラの四肢を捥ぎ取った、しかし首に巻きついていた糸だけはとっさに審判のハヤテが切ったことでなんとか身体についていた。
「ゴホッ…勝者、山中・イノ‼
医療班急いでください‼」
イノが撒き散らした殺意と気迫で動きを止められていた人々が慌ただしく動き出し、慌ててサクラの胴体と千切れた四肢を担架に乗せて運んで行った。
原作は用意したか?
原作者へのお祈りは?
学校・会社の中で堂々と妄想する心の準備はok?