お気に入りもいつの間にか300越えΣ( ̄。 ̄ノ)ノ
作者は驚きのあまり今回書き過ぎてしまいました。
嘘です、冗談です見捨てないでください、物語の進行上途中で切る訳にも行かず長文ですが、楽しんでいただければ幸いです。
ーー中忍試験会場ーー
試験は【三階】で行われる…だが、試験会場の忍者アカデミーでは【二階】の【301】のプレートが書かれた教室の前で一悶着が起きていた。
教室の前では二人の忍びがドアを塞ぎ教室内に入れないようにしている、そしてまた一人全身タイツの少年が殴り飛ばされた。
「ひでぇ」
試験を受けに来た下忍から声が上がる。
「何だって?……いいか⁈…これは俺たちの優しさだぜ…中忍試験は難関だ…かくいう俺たちも三期連続で合格を逃してる…
この試験を受験したばっかりに忍びをやめていく者…再起不能になった者…俺達は何度も目にした
それに中忍って言ったら部隊の隊長レベルよ…任務の失敗部下の死亡…それは、全て隊長の責任なんだ
受からない者をここでフルイにかけて何が悪い‼」
言っていることが正論で有るだけに周囲がざわめく、ナルトがそんな彼等の前を通り過ぎ壁に向かって歩いていくと。
「ちょっとナルトどこに行こうとしてんのよ‼」
ピンクが止めに前に出て来た。
「何って⁇…長年通ったアカデミー何だから階段の場所くらい覚えているってばよ」
「え?」
「気が付いたのか…キサマ⁉」
ピンクが疑問に声を上げ、教室の前をふさぐ片割れがナルトに聞くが…
「あんたも気がついてるってばよね?」
「なんだ?」「なにいってんだ、アイツ…」「さあ?」
周囲から声が上がるがナルトはその問には答えず、さっきまで無抵抗で攻撃を受けていた少年に手を貸し立ち上がらせると、その色々な意味で濃い少年もニヤリと笑い。
「ええ、ここは二階ですからね」
その答えにナルトも笑う、そんな彼等に割り込む声が。
「もしかして…ナルト君?」
「え…ナルト?」
お団子頭の少女が声をかけタイツの少年も何かに気がついたようだが、ナルトはその顔を見ても、会ったことが有る程度で名前を思い出せなかった。
「え…え〜…と…どちら様だってばよ?」
「ちょっと!私よテンテン…去年まで勉強見てあげたりしてたじゃない‼」
「もしかしてボクの事も忘れてます?…ロック・リー君とは体術を一緒に修行した事が有るはずなんですが…」
「ああ!」
ナルトは去年まで通っていたアカデミーで落ちこぼれの振りをしていた為、テンテンが勉強をリーが実技を教えたりしていたのだ、それ以外にもナルトに理不尽なイジメをする子供を追い払ったりと、いろいろ助けてもらっていたのだが。
ナルト自身影分身をアカデミーに出し、本体はヒナタと暗部の仕事や新しい忍術や忍具、アカデミー以上の勉強をしていた為アカデミーの事は必要事項以外はほとんど本体に還元せずそのまま消していたので思い出せなかったのだ。
「此処にいるって事は、ナルト君も無事卒業できたって事よね?」
「あ〜…うん、そうだってばよ」
「それは良かった…!」
自分の事のように喜んでくれる二人だが、二人はナルトの本当を知らない、それなのに純粋に気にかけてくれる事が嬉しくも有るが…人の悪意にばかり触れていたナルトにとっては、いまいち距離感がつかめずどう接して良いか迷う相手でも有る。
仲良さそうに話す三人に二人組が空気を読まず蹴りを繰り出した。
「ふ〜ん…なかなかやるねぇ、でも…見破っただけじゃあ…ねぇっ‼ヘ?」
いつの間にか倒れていた自分に何が起こったのか分からず唖然とする下忍、ナルトは特に何かをしたわけではない蹴りがテンテンに当たる寸前化勁で蹴り足の軌道を上に押し上げ足に体が引っ張られ下忍は倒れた、だがそれをここで理解できる者は少数派だろう、テンテンとリーは感心したようにナルトを見て彼等と一緒に居た白眼の少年もピクリと眉を動かした。
「(これがあのナルト君の動きですか‼)」
「(あ〜あ…せっかくナルト君と話してたのに邪魔が入っちゃった)」
「(今のは日向の柔拳?…いやそんなはず無い)…金髪のお前…名乗れ…」
「うずまき・ナルトだってばよ!」
「俺は日向・ネジ…フ…この中忍試験面白くなりそうだ
「俺はうちは・サ」行くぞ」
ナルトとネジの会話に割り込もうとしたサスケを無視してネジ達は先に行く…しばらく進んだところでリーが。
「(あれが噂に名高いうちは)…君達は先に先に行ってくれ、僕にはちょっと確かめたい事が有る」
☆
ナルト達は二階から三階に上がる為に階段がある広場に出ると、階段の上から声をかけられた。
「眼つきの悪い君!ちょっと待ってくれ!」
突然の声に階段の上を見ると、先に行たはずのリーがこちらを見下ろしている。
「何だ?」
「今ここで僕と勝負しましょう」
それなりの高さから飛び降り危なげなく着地したリーはサスケに向き直り。
「僕の名前はロック・リー…」
リーはいつでも動けるよう構え。
「あの天才忍者一族と謳われたうちはの末裔に…ボクの技が何処まで通用するのか試したい…」
サスケは片方の口角を釣り上げ。
「【うちは】の名を知って挑んで来るなんてな…はっきり言って無知な輩だな…お前…(…これだよ、これ…俺はうちは一族で火影の弟だ、ナルトごときにいつも良いところを取られていたがやはり俺の方が注目されて然るべきだ!)」
内心考えている事がよくわかるキモい笑顔を浮かべ。
「かかって来い…相手をしでやる」
片方の手をポケットに入れ、反対の手で誘いをかける。
「行きます‼…(さすがうちは一族…この状況で余裕をかませるのは、余程のバカか本物の実力者…すみませんガイ先生…この勝負、禁を破るかもしれません)」
自分を誘う相手を見てリーも真剣だがどこか嬉しそうに笑いサスケに向かい走る、サスケも構え。
「(先ずは小手調べだ)…らぁ!」
大振りな蹴りを放つ。
「ガァ!」
蹴りを放った瞬間サスケは衝撃と共に吹き飛ばされた、その頬には殴られたものか拳の痕が残っている。
何が起きたか分からず頬をさすりながら立ち上がるサスケと、余りにも手応えが無さ過ぎて困っているリー。
「(何ですかアレは…まるで豆腐を殴ったみたいだ……ッ!…まさか攻撃を受けた瞬間に後ろに飛んで威力を殺した…さすがうちは一族です)」
遅すぎる蹴りを躱して放った様子見の右ストレートが予想外に決まってしまいリーは盛大に勘違いしていた、そんな事は知らないサスケは。
「(間違いないく何かの術だな…なら!)」
「写輪眼‼」
サクラが驚きで声を上げたとおり、サスケは両眼には黒い勾玉が一つの写輪眼でリーを見ている、その顔には何故か余裕の笑み。
「(アレが写輪眼ですか…ここからが本当の戦いですね)」
写輪眼を発動して突っ込んでいくサスケに、カウンターの下から上へ突き上げるような鋭い蹴りが決まり、真上に蹴り飛ばされる。
「(【写輪眼】で見切れねぇなんて…まさか…コイツの技は…⁉)」
吹っ飛ばされ、意識が揺らぎならがもサスケは推測する。
「(こんなにうちは一族が弱いはずが無い…‼…そうか写輪眼を開眼した時点で僕を幻術に落としたんですね…しかしあの修行の日々を、ガイ先生の教えを僕の体が覚えている‼)」
幻術にかかっていないし、本来幻術はそんな事では解く事が出来ないが、そんな事は知らないと、サスケをタコ殴りにしていく…サスケは一撃入れられるたびにその体を愉快で素敵なオブジェに変えていき、そんな姿を見せられたサクラは「サスケ君のHPはゼロよ!」と騒ぎ出した。
「流石にこれ以上はマズイってばよリー」
「ナルト君?……アレ⁇僕は写輪眼で幻術にかけられていたのでは⁇」
これ以上は中忍試験に影響が出ると、俺はリーの腕を掴み攻撃を辞めさせた。
その後直ぐにリーよりももっと濃いガイ先生が現れ俺たちの前で、それはもうとても暑い展開を見せつけてきた。
☆
リーと別れ試験会場に着くと、そこには所狭しと集まった下忍達、木の葉以外の里の下忍達も見える。
下忍達は教室に入って来た俺達を睨む、サクラはその光景と下忍達が出すプレッシャーに喉を鳴らした。
「ナルトおっそーい」
そんな状況で余りにも場違いな声が響き、イノがナルトの首筋に抱きついて来た。
「イノちゃん…ナルト君に迷惑だよ…」
ナルトに背後から抱きつき、腕を胴に回しその豊かな双丘を背中に押し付けながら、よそ行きの性格でイノに注意するヒナタ、しかし言っている事とやる事が全く違う。
「何だよ…こんなめんどくせー試験、お前らも受けんのかよ…てかナルト盛大に爆発しろよ」
「嫌だってばよ何で俺が爆発なんかしなきゃならないんだってばよ‼」
心底面倒くさそうに話すシカマル、それ以外にチョウジやキバ、シノ達も集まり先程までの試験会場とは打って変わって騒がしくなっていく。
「おい、君達!もう少し静かにした方が良いな…」
そんな状況を見かねて声をかけて来た、ナルト達よりも少し年上の青年。
「君達がアカデミー出たてホヤホヤの新人9名だろ?
可愛い顔してキャッキャッと騒いで…全く……此処は遠足じゃないんだよ?」
「ゴメンナサイだってば…みんなとりあえず席に着こうってばよ」
「そうね」「うん」
青年の忠告を大人しく聞いて俺達は空いてる席に着いた。
話しかけて来た青年は音隠れのスパイ【カブト】彼はこれを期に俺達に近付くつもりだったが、大人しく席に着いた為、注意した自分が再度騒ぎを起こすわけにも行かず、口実を失いすごすご去って行く。
ちなみに我愛羅は俺が教室に入ってからチラチラとこちらを見ていたので、手を振ってやると花が咲いたような満面の笑顔を向けて手を振りかえしてくれた。
しばらくして、黒板の前に白煙が撒き起こり複数人の忍びが現れた。
複数の人影には、統一された服装をしており、額には木ノ葉の印が刻まれた額当て、そんな中1人だけ黒いコートを羽織った大男、木ノ葉の額当てを、頭部全体を覆い隠すように被り、顔には無数の切り傷がある男が。
「待たせたな…【中忍選抜第一の試験】試験官の森乃イビキだ…」
イビキが放つ鋭い眼光と雰囲気に多くの下忍達が冷や汗を流しながら生唾を飲み込んだ。
「まず最初に言っておく事が有る、試験官の許可なく、対戦や争いはありえん。
また、許可が出たとしても相手を死に至らしめるような行為は許されん。
ではこれより中忍選抜第一の試験を始める…志願書を提出して代わりに、この座席番号の札を受け取り、その指定通りの席に着け!
その後筆記試験の用紙を配る…」
ナルトの番号は【53】…サスケやサクラ達とは全然違う席になったが隣にはヒナタが居た。
「ナルト君…お互い頑張ろうね…」
「ああ、一緒に中忍になろうな」
ヒナタとナルトの周りが桃色の空気を醸し出していく、周囲の目が羨望や嫉妬、怒りなどを多分に含んで居るがこの二人には関係無いようで見せびらかすように机の上で手を握り合っている。
「試験用紙はまだ、裏のままだァ…そして、オレの言う事をよく聞くんだ…」
「この第一の試験には、大切なルールってもんが【幾つか】ある。
黒板に書いて説明してやるが、質問は一切受け付けんからそのつもりでよーく聞いとけ」
「ルール?(質問を受け付けないって……)」
イビキの台詞に違和感を覚えたサクラ。
「第一のルールだ!まず、お前らには最初から各自10点ずつ持ち点が与えられている。
筆記試験問題は全部で10問、各1点…そしてこの試験は減点式となってる。
つまり問題を10問正解すれば、持ち点は10点そのまま…」
チョークを持ち黒板に
【例1.全問正解→持ち点10点のまま】
「しかし、問題で3問間違えれば持ち点の10点から…3点が引かれ、7点と言う持ち点になる理由だ」
【例2.3問不正解→持ち点7点になる】
「第2のルール…この筆記試験はチーム戦…つまり受験申し込みを受け付けた3人1組の合計点数で合否を判断する。
…つまり、合計持ち点30点をどれだけ減らさずに試験を終われるか、チーム単位で競って貰う…」
チーム戦と聞き、サクラは机に強く頭を打ち付ける。
「ちょ…ちょっと待って!持ち点減点方式の意味ってのも分かんないけど、チームの合計点ってどーいう事ォ‼」
サクラは勢いよく挙手して質問するが。
「うるせェ!お前らに質問する権利はないんだよ!これにはちゃんと理由がある、黙って聞いてろ!」
(理由…?)
「分かったら肝心の次のルールだ。
第3に、試験途中で妙な行為……。
つまり【カンニング及び、それに順ずる行為を行った】と此処いる監視員たちに見なされた者は…。
その行為【1回につき、持ち点から2点ずつ減点】させて貰う…」
「あ!」
サクラは何か理解したようだ。
「そうだ!つまり、この試験中に持ち点をすっかり吐き出して退場して貰う者も出るだろう…」
「(成る程…筆記問題以外にも減点の対象を作ってるって事ね)」
イビキがルールを説明している間に、中忍達は受験生を取り囲むようにしてイスに座り、その中の一人が。
「いつでもチェックしてやるぜ」
明らかに自分達よりも格上の忍び達、その手にはメモ帳と鉛筆。
受験生達はその様を見て、緊張感が高まる。
「無様にカンニングなど行った者は自滅して行くと心得て貰おう。
仮にも中忍を目指す者、忍びなら…立派な忍らしくする事だ」
笑みを浮かべるイビキ。
「(落ち着いて…そう…そうよ!ナルトは兎も角、サスケ君と私は大丈夫…ナルトが例え0点でも私達がカバーすれば…)」
そんな考えをあざ笑うかのように、サクラにとって絶望的なルールがイビキの口から出てきた。
「そして最後のルール…この試験終了時までに持ち点を全て失った者…。
及び、正解数0だった者の所属する班は……」
イビキは皆の不安を誘うかのように、一呼吸置いて。
「3名全て道連れ不合格とする‼」
「(なっ…!)」
「(何ですってェェエ‼)」
驚愕するサクラとサスケ。
「試験時間は1時間だ……良し!始めろ‼」
開始の合図で一斉に問題に取り掛かる下忍達。
「(ちょっと…大変な事になったんじゃないの…)」
サクラの心配を余所に、ナルトは問題を解いていく。
そもそもナルトは忍者アカデミー時代では【ドベ】や【落ちこぼれ】を演じていただけで、自分で新しい忍術や札術を作る為に勉強は欠かさずしていた為この程度の問題なら簡単に解く事が出来た、また一緒に修行を積んでいたヒナタやイノ・我愛羅なども問題なく解いていく。
試験の意味を理解した他の下忍達は。
キバは赤丸を使って、シノは虫、リーとテンテンは天井の鏡をネジは白眼を、カンクロウは傀儡で音忍は字を書く音を聞いてカンニングしていく。
シカマルやチョウジはイノの心転身の術をかけてもらい解いていく。
そんな中サスケは。
1問目…余裕の笑みで見送る。
2問目…自信満々やる気十分で……次に移る。
3問目…笑顔が消え無表情………そして次へ。
サスケが悩んでいる間に無様なカンニングをした下忍達が教室から追い出されていく。
………9問目…口元に笑みを浮かべ、片肘着いてカッコ良く決めポーズ。
「(フン…こんなの…一問たりともわかんねぇ…)おまけに何だよ、この10問目は……だが。もうこれにかけるしかねぇ」
「(フフフ…愚図はあらかた落とし終えたなん?寝てる奴がいるだと)」
試験官からの合図に示された場所に目を向けるイブキ。
その視線の先には腕を枕に寝ているナルトの姿が、気になりナルトの側に行くと、熟睡中のナルトの横のヒナタも船を漕いでいた。
「(オイオイ…随分と余裕だな、どれどれ?…全問正解か…今年の新人はなかやか豪気だな、45分経ったし、始めるか)」
再び教壇に戻り。
「よし!これから10問目を出題する……と、その前に一つ…最終問題に付いてのちょっとしたルールの追加をさせて貰う…」
それを聞いた下忍達に衝撃が走った。
「これは絶望的なルールだ」
「(絶望的って…既に絶望的なんだが)」
サスケの答案用紙はまっさらなまま。
「まず…お前らには、この第10問目の試験を…【受ける】【受けないか】のどちらかを選んで貰う‼」
「受けるか、受けないかを選ぶ…?)」
その言葉に不穏な気配を感じ冷や汗を流すサスケ。
「え…選ぶって…!
もし10問目の問題を受けなかったらどうなるの⁉」
テマリが声を張り上げた。
「【受けない】を選べば、その時点で…その者も持ち点は0となる…つまり失格!
【勿論、同班の2名も道連れ失格だ】」
「ど…どういう事だ!?」
「そんなの【受ける】を選ぶに決まってるじゃない‼」
何人かの受験生達が一斉に騒ぎ始めた。
「…そして…もう一つのルール…」
「(まだあるの…いい加減にしてよ‼)」
ルールが追加されていくたびに、下忍達の精神に多大な負担がかかっていく。
「【受ける】を選び…正解できなかった場合―その者については今後、永久に中忍試験の受験資格を剥奪する‼」
「‼」
サスケの表情に驚愕が浮かぶ。
「そ…そんな馬鹿なルールがあるかァ‼
現に此処には、中忍試験を何度か受験している奴だっている筈だ‼」
頭に乗せた赤丸と一緒にキバが抗議の声を上げるが。
「ククッ…運が悪いんだよ…お前らは。
今年は【このオレがルール】だ…その代わり、引き返す道も与えてるじゃねーか…」
「え?」
「自信のない奴は大人しく【受けない】を選んで…来年も再来年も受験したら良い」
イビキの言葉は受験生達の心に、悪魔のささやきのように染み込んでいく。
その中自称優等生のサクラも焦っていた。
(…つまり、3人内1人でも【受けない】を選べば3人共道連れ不合格…。
【受ける】を選んで、もし正解できなければ…その人は一生下忍のまま…!)
「では…始めよう。
この第10問目…【受けない】者は手を挙げろ…番号確認後ここから出てもらう」
あれだけ騒いでいた下忍達は静かになり、教室には時計の針が嫌に響いていく…そんな中、一人…また一人と【受けない】を選択し教室を出て行く。
そんな中サスケは両手を組んで口元を隠し、何が楽しいのか余裕の笑みを浮かべたまま。
「(マズイ…本当にマズイ…頼むナルト手を挙げてくれ、どうせドベのお前も一問だって解けてないんだろ…俺は火影の弟でうちはの名を背負ってんだ…何も背負ってないお前が手を挙げろ‼)」
そんな願いが叶ったのか、ナルトの手が上がる。
「(あの居眠り小僧が起きた?…何かするつもりか?)」
「(キター‼…そうだよナルト、俺はお前を信じてたぞ、さっさと無様に【受けない】を選択しろ‼)」
内心有頂天になり、始めてナルトに感謝?の念を送ったサスケは次のナルトの言葉で地獄に落とされた。
「(そろそろ時間か、終わらせるか)舐めるな‼…受験票を出した時から覚悟完了だってばよ‼」
「(ほう…こいつ)…己の人生を賭けた選択だ…辞めるなら今だぞ」
「(ナルト、ナニ言っちゃってんのォォ‼…嘘だよね?嘘だと言ってェェ‼)」
しかしサスケの叫びはナルトには届かない。
「この程度の試験乗り越えられずに何が中忍…俺を!俺達を侮るなってばよ‼」
ナルトの声は他の下忍達の不安を吹き飛ばした。
「(フ…面白いガキだ…こいつらの不安をあっという間に蹴散らしやがった…93名か…予想以上に残ったが…これ以上粘っても同じだな…)いい【決意】だ…では…ここに残った全員に…【第一の試験】合格を申し渡す‼」
「(はぁっ⁇)」
その言葉に、受験生達は息を合わせたように疑問符を思い浮かべた。
「ちょ…ちょっと、どういう事ですか⁈
イキナリ合格なんて…10問目の問題は⁈」
周囲が放心している中でサクラが最初に覚醒する。
「そんなものは初めからないよ…言って見れば【さっきの2択】が10問目だな…」
「ちょっと…!
じゃあ、今までの前9問は何だったんだ…⁈まるで無駄じゃない!」
ついさっきやっとカンペを見て答案を書き終えたテマリが声を張り上げた。
「…無駄じゃないぞ…9問目までの問題はもう既に、君達の情報収集能力を試す目的をはたしているのだから」
その後語られた、この試験がプレッシャーを与えた状態でカンニングという情報収集を余儀なくさせ・それが劣っているものを選別した。
その上で情報がどれほど大事なものなのかを下忍達に教え、さらに部隊長に求められる資格【ここ一番で仲間に勇気を示し…苦境を突破していく能力】を見る為の第10問目だったことを伝えた。
その間サスケは、さも当然だと頷いていた。
イビキの話が終わると、イビキとナルトを含めた何人かが窓の外に視線を向けると。
窓ガラスが砕け散り、黒い布で包まれた大き目の何かが飛び込んで来た。
「なっ……‼」
驚愕する下忍達の前で真っ黒い布から2本のクナイが飛び出し、天井に向かって進み、クナイに引っ張られるように真っ黒い布が広がり。
中に入っていた人物が姿を現す。
「(フ―…コイツだけは全く…!)」
ため息を吐きながら呆れるイビキ。
「アンタ達、喜んでる場合じゃないわよ‼
私は第2試験官!みたらしアンコ!次行くわよ、次ィ‼
ついてらっしゃい!!」
教室内には沈黙が支配している。
インパクトが有り過ぎて、下忍達も対応に困っているのだ。
「空気読め…」
【第2試験官 みたらしアンコ見参】と描かれた真っ黒な布から半身を出して呟くイビキ。
その言葉に羞恥を感じたのか頬を赤らめるアンコ。
現実、現実、現実、現実……
先生よ卿は私にそれを説くのか
言われずとも無論、理解している。
今が妄想で、あの日々こそが現実なのだと。
この身が焼き尽くされたあの日々こそがだ、故に引くわけにはいかない、あの日に散っていった我が妹の為にも‼
さあ…私達の戦争(カウンセリング)を始めよう。
私はもう絶対に現実には逃げない‼