~トラペッタ~
チャゴスはマイエラ修道院をスルーして船にのりポルトリンクに行った。
マイエラ修道院をスルーしたのはマルチェロ、ククールがチャゴスみたいに王族である人間を毛嫌いするからである…とはいえ性格がまともであったり善人(トロデや修道院の院長)であれば大丈夫だがそれでも嫌な予感しかしないのでスルーしたのだ。
そして現在ポルトリンクに来てスキルを教えてくれる女性を見つけ…その中身は…
・剣
・短剣
・盾
・格闘
・賢王
チャゴスの予想通り剣と短剣、格闘のスキルは備わっており、残り二つについて聞いてみたところ…
盾スキルは主に身を守る技やカウンターなどを中心とした技が多く、身の守りも上がるとのこと。
賢王スキルはかしこさや呪文、そして消費MPなどを減らしてくれるありがたいスキル…なのだが女性曰くこれはまだ未知のスキルであり、まだまだ詳しい事はわからない…とのこと。
チャゴスは賢王のスキルを調べるためにトラペッタにいる魔術師のマスター・ライラスに会いに向かった。
「…と言う訳です。おわかりいただけたらご返事を…」
チャゴスはライラスに自分の身分以外を全てを説明し、伝えた。
「ふむ…賢王スキルか。賢王と言えばサザンビークの国王クラビウスが有名だがスキルとなると…難しいな。」
「そうですか…」
「私は魔術師と呼ばれている故に様々な魔法やそれに関するスキルを知っているが…そんなスキルは初めて聞いた。私に言えるのはそれだけだ。これを持っていけ。」
「これは…?」
その中身は種がいくらか入っていた。
「みたところお前は旅それも長い旅をしている。故に食料が必要だろう…これで少し豪華になるはずだ。」
ライラスは知らない…その種が実際にはステータス上昇のための種だということに…
「ありがとうございます…!」
「…礼をするなら私の弟子の一人である、道化師のドルマゲスという者が悪の道を歩もうとしたなら、正しい道を歩ませてくれ。あいつは落ちこぼれだったが故に周りに馬鹿にされていた。あいつは道化師になったは良いが復讐のためになった気がするのだ。頼んだぞ…!」
「わかりました。」
チャゴスは返事をしてライラスの家から出て行った。
チャゴスは考える…ドルマゲスを止めるにはどうすればいいか。
「(ドルマゲスを止めるには…あれだな。物理的な説教しかないよな…だからといって今そんなことをすれば社会的によろしくないし、どのみち第二、第三のドルマゲスが現れるに違いない。だからといって杖を手にしたドルマゲスと戦っても今の俺では勝てるかどうか怪しい…)」
チャゴスは必死に考える。ドルマゲスを止めるにはどのような方法が良いか…
「(ミーティアの婚約者としてトロデーン王国に行くか?…ダメだな。俺は旅をしている身だ。それに本来主人公であるエイトとは違って呪いを弾き飛ばす力は持っていない。ドルマゲスが杖を手にした瞬間確実に呪われる…それにドルマゲスは杖を手にすることを目的としているからリスクが高い…)」
チャゴスはトロデーンに行くことも考えたがリスクが高いと判断し、行くのを止めた。
「(モンスター闘技場で鍛えるか…?それもダメだな。まずメリットがない。あそこに行ってもレベルアップはもう期待出来ないだろうな…メリットがあるとしたらモンスターチームくらいか。)」
チャゴスは闘技場に行くことも考えたがメリットがほとんどないので止めた。
「(メタル狩りしかないか…今の時点でいける場所でかつメタルキングが出るのは竜骨の迷宮しかない!だがそれにはベルガラックのカジノのオーナー…ギャリングの許可が必要な上に一度サザンビークに戻らなければならないが背に腹は変えられん。)」
チャゴスはそう判断するとすぐにキメラの翼で闘技場へ向かった。
~闘技場~
「何だと?」
当然というか鬼教官はドスの効いた声を出して理由を聞いた。
「ですからこのままここで修行しても余り意味がありません…ですからベルガラックまで行かせて下さい…」
「ダメだ。お前にはやるべきことがある…」
「やるべきこと?」
「一つ、信頼できる仲間を作ること。」
王族たるもの信頼できる仲間がいなければ独裁者になり得る可能性があるのでそれを少しでも減らすために教官はそう言った。
「二つ、闘技場のモンスター達を相手に全て受け流しでトドメを刺すこと。」
これはチャゴスがモンスターをどのタイミングで倒せるかを見極めるための観察力を鍛えるためだった。
「三つ、お前のことを老師が待っているから会いにいけ!」
…これに関しては突っ込みどころがないのでスルーする。
「以上だ。これらのことをやったら許可を取ってやる…精々頑張りな。」
教官はそれだけ言って立ち去った。
そしてチャゴスは教官の言われた通り、ナッジに会いに向かったが…場所を聞いていなかったのでずいぶんと時間がかかってしまった。
「老師!」
チャゴスはナッジに挨拶をする。
「おお、お主か…久しぶりじゃな。」
「ところで何の御用でしょうか?」
「…まあお主にやって貰いたいことがあるんじゃよ。」
「やって貰いたいこと?」
「ここ支配人のモリーはタダでお主にここを貸すほど甘くない…普通なら超がいくつもつく金持ちにしか許されないモンスター闘技場の入退場の権利…それを許したという事は…それなりの対価が必要じゃということじゃよ。」
「対価…?」
「これを渡しておくからスカウトしてこい。」
そう言って渡されたのはとあるモンスターの情報が書いてある紙だった。
「なるほどそういうことですか。では…早速行って来ます。」
「待たんか…まだ用事はある。とある者がお主を指名して来たのでな。その相手と戦って貰いたい…いいな?」
「わかりました。」
「うむ…話が早い。ではワシは向こうに了解の返事を伝えておくからいつもの場所で待っていろ。」
「はいっ!」
チャゴスは返事をして闘技場へと入っていった…