平和なグランベルの日々を目指す   作:ロサド

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更新に時間がかかり申し訳ありません。

10年近く使ってきたパソコン(マウスコンピューター)がお亡くなりになり、急遽パソコンを格安で購入し対応しました。

小説のシナリオもなかなかいいものができずようやく投稿にこぎつけました。

バイロンとアルヴィスがメインです。

会議も終盤になります。




65.会議7

全ての議題が終了した。

 

「以上で議題は終了になります。他に議題にかける案件はございますか?」

 

アルヴィスが全員を見渡す。すると挙手があった。

 

「バイロン卿。どうぞ」

 

アルヴィスが促すと挙手をしたバイロンが立ち上がる。

 

「2つ申し上げたいことがあります」

 

そう言って口火を切ると・・・・

 

「陛下。殿下の謹慎はいつまでのご予定でございますでしょうか?」

 

バイロンがアズムールに訊ねる。

 

「反省の色が見えんのでな。当分謹慎を解く気はない」

 

アズムールは答える。

 

「陛下。シアルフィ家、ユングヴィ家においては殿下の不在に不安を抱いている者も少なくありません。せめて明確な期限をいただきたく存じます」

 

バイロンがそう言って頭を下げる。

バイロンの言うことはごもっともである。国の中枢を担っているクルトが不在となり、それが長期化で理由が不明となれば、不満、不安が噴出してくる」

 

「それを統率するのはお主の役目ではないか。仮にクルトが病に倒れたとて、本当のことをすぐに公表せんじゃろう」

 

アズムールの言うこともごもっともである。

 

「では、申し上げます。陛下は殿下の廃嫡をお考えでいらっしゃいますか?」

 

バイロンは直球を投げ込んだ。その言葉に反応したのはレプトールだ。

 

「言葉が過ぎるぞ!!!バイロン卿」

 

レプトールの鋭い言葉が飛ぶ。

 

「質問の意図を申し上げるなら、陛下のお言葉次第で私は当主の座を下ろさせていただきます」

 

バイロンはレプトールに鋭い視線を返した。

 

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

バイロンの言葉に全員が凍り付く。

 

「父上!「お前は黙っておれ!!!」」

 

シグルドの声を遮るようにバイロンがかぶせた。

 

「陛下。私は武人です。国のことを憂いています。クルト殿下は次期グランベル王としての素質を兼ね備えたお方であることは疑いようがございません」

 

バイロンが鋭い視線をアズムールに向けて続ける。

 

「ハッキリ言って、色恋沙汰の話など国の大事とは比べ物になりません。仮に殿下の所業を民に伝えて廃嫡にして誰が得をしますか?」

 

バイロンが全員を見渡す。そして続ける。

 

「全く意味がないことです。国が危機になれば誰が不幸になるのですか?言うまでもなく、民です。私たちが守るべき存在です。さらに付け加えるなら、私はアルヴィス卿の傀儡に利用される気はございません」

 

バイロンはアルヴィスに視線を投げるとそう言って締めくくった。

 

「バイロンよ。お主の話は分かった。ワシはクルトの廃嫡を考えておったし、それを皆に伝えるつもりでいた」

 

アズムールはそこまで言うとアルヴィスを見ながら続ける。

 

「しかしアルヴィスに猛反対された。一番賛成すると思ったんじゃがな」

 

「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

アズムールの発言に思わず全員がアルヴィスの方を向いた。

皆の視線を受けたアルヴィスは・・・・

 

「バイロン卿のおっしゃる通りです。確かに殿下に対する忠誠心はありませんが、私もこのグランベルという国を愛しています」

 

全員に笑顔を向けて続ける。

 

「私は殿下が民に慕われていて、文武両道を兼ね備えたお方であることは承知しております。次期国王して統治していくことは可能でございましょう。ここで廃嫡などされれば内乱に発展することは間違いございません」

 

アルヴィスの表情が少し曇った。

 

「ならばアルヴィス卿に問いたい。なぜ殿下の所業を明らかにされたのだ。見ようによっては、殿下を貶め廃嫡に追い込み、お主の妹にあたる殿下のご息女を傀儡に仕立てて、実権を握ろうとしたと取られても仕方がないぞ」

 

バイロンが鋭い指摘を投げかけた。

 

「はい。その通りです。だから私は国を出たいのです。私はそんな権力争いに巻き込まれるのはまっぴらごめんです。王になどに興味はありませんよ」

 

アルヴィスはバイロンの視線を真っ向から受け止めた。そして続ける。

 

「1つ話をしましょう。単なるたとえ話です」

 

「ある者がある貴族に禁忌の血筋を引いているこのことが明るみになれば、失脚は免れないと脅迫した。そしてその貴族はプライドが高く、その事実を受け止めきれなかった。その貴族は脅迫者を逆に利用して自らが王になることを決意する。手始めに他国を譲り渡すことを条件に別の貴族に協力を要求した」

 

「現在の王は年老いており、その跡継ぎには子供がいない。と思われていたが、実はその貴族の母親に手を出して妊娠していたことが発覚。女の子だった」

 

アルヴィスの言葉には淀みがなく淡々と話す。周りは一切声を発することなく聞いている。

 

「その貴族は脅迫者と協力し、国境付近にいる他国の者をそそのかし自分の国を攻めさせた。戦争が起こる。全軍を率いて攻めてきた国を滅ぼそうとするタイミングで貴族と協力者は跡継ぎを殺害した」

 

「王は息子を失い、落ち込んでいたところにその貴族が自分の結婚相手を紹介した。その結婚相手は自分の孫であったことが判明。無事に二人は結ばれその貴族は王となった」

 

「脅迫者はその女を保護してその貴族に引き合わせ結婚させることが目的だった。生まれた子供には暗黒神の血が濃く受けつぎ、かつての帝国がよみがえってしまった。そして暗黒の時代が永遠に続くことになりました」

 

最後まで言い切るとフウと息を吐いた。そして、

 

「・・・バイロン卿。感想をお聞かせ願いたい」

 

と訊ねた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

バイロンは言葉を発することができなかった。

 

「アルヴィス卿。今の話は本当にただのたとえ話なのですか?あまりにも・・・・・・」

 

シグルドが思わず声を上げた。

 

(シグルド殿は何か感じ取られたか。まあ彼の部分は入れていない。下手をするとディアドラと出会ったときに心を動かされないとは限らない)

 

先ほどまでの話はゲームの聖戦の系譜のストーリーを少しぼやかしたものだ。シグルドがクルトの娘のディアドラと結婚し、子供を授かるが、マンフロイがディアドラを誘拐し、アルヴィスに引き合わせ結婚させる流れだ。流石に名前をつけて話しをするようなことはしない。

 

「その脅迫者とはマンフロイじゃな」

 

誰もが沈黙を守る中アズムールが声を発した。

 

「ええ。恐らく彼が描く筋書きだったと想定しています」

 

アルヴィスが答えた。

 

「想定にしてはあまりにも現実的すぎるな。お主の性格からすればあり得た話かもしれん」

 

アズムールはそう言って表情をほころばせる。

 

「可能かどうかを問われれば、陛下にはすでに申しあげたとおりでございます」

 

アルヴィスも表情をほころばせた。少し肩をすくめてバイロンを見る。

 

「王たるもの血筋は大事ですが、相応しいかを決めるのは民であり、我々です。私個人としては殿下を認めることはできませんが、少なくとも殿下は民からの信頼は厚い。それに取って代わろうなどどは考えておりません。ただ、私が仕えたくない理由を申し上げたまでです」

 

アルヴィスは穏やかな口調で話した。

 

「アルヴィス卿。意思は固いようだな。あと殿下をこれ以上追い詰める気もないようだ。ならば、私からこれ以上言うことはない」

 

バイロンはそう言って腰を下ろした。

 

「バイロンよ。お主の忠義は分かった。まだお主が見限っておらぬのなら、クルトにも見込みが残っておろう。しかし、今の時点での話じゃ。これ以上失態を繰り返すようなら、ワシも長くない故考えを変えるかもしれん。そのことは忘れるな」

 

アズムールはそう言ってバイロンに視線を送った。

 

「御意!!!仰せのままに」

 

バイロンは深々と頭を下げた。

 




最後までお読みいただきありがとうございました。

バイロンの言うこともごもっともです。国の一大事ですからね。

ただクルトにしても跡継ぎを考えず独身でいたのも問題です。

個人としてはここで決めても(笑)よかったですが、廃嫡にするには現状は弱いと思いました。

更新が遅くなると思いますが、少しずつ進めていきますので、続きを楽しみにしておられる方々、最後までお付き合いいただければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

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