少し行き詰っていますが完結まで頑張ります。
ラケシスはブリギッドの言葉を一瞬理解できなかった。
(デュー様ってどう見ても子供ですよね?ブリギット様が自分の婚約者って・・・・・・・)
横のエルトシャンも固まっている。が
「デュー殿は非常にお若いようだが、もしかして成人されておられるのかな?」
なんとか言葉を絞り出した。しかし明らかに動揺している。どう見てもデューは子供にしか見えない
「陛下が大層デューを気に入られてね。陛下公認ではあるが正式な婚姻はまだ先だよ。見ての通り彼はまだ子供だからね」
アルヴィスがエルトシャンの問いに答える。
「お二人の馴れ初めを聞かせてほしいです!!」
ラケシスは身を乗り出して訊ねる。興味津々だ。
「ははは。構わないよ。でも先にこれからの話をさせてほしいんだけど・・・」
ブリギッドは笑いながらラケシスの問いに答える。
「そうだね。ではこれからことを話そう」
アルヴィスが場をまとめた・
「まずラケシス殿はエッダ家に本日出立してもらう予定だったが、急な軍事訓練により明日に変更させてもらう。本日はユングヴィ家にて静養されればいいだろう」
アルヴィスが説明を始める。
「分かりました。この度はハイライン家の勝手なふるまい申し訳ありませんでした」
ラケシスが謝罪する。
「何のことかな?ハイライン家は何も問題を起こしていないよ。逆にこちらがエリオット殿にケガをさせてしまい申し訳なかったね」
アルヴィスが苦笑する。
「訓練中の事故だ。仕方ない。そういうことだな。アルヴィス卿」
エルトシャンが同意する。
「ブリギッド様。本日はお言葉に甘えさせていただきます」
ラケシスがブリギッドに頭を下げた。
「いいよ。エスリン様やエーディン様ともっと話がしたいと思うし、アタシも入らせてもらうよ」
ブリギッドはラケシスに笑顔を向けた。
「ブリギッド殿。戻られてすぐで申し訳ないが、ラケシス殿を案内してもらえるだろうか?」
「ああさっそく集まろうか。さっきの話もしてあげるよ」
ブリギッドはそう言うとデューの方に向き直り
「デュー。それじゃまた明日ね」
ブリギッドはデューの前ですっとかがんで抱きしめると額にキスをする。
「うん。ブリギッド。また明日よろしくね」
デューは少し顔を赤くするが返事をした。
ラケシスとエルトシャンはブリギッドの行為に少し恥ずかし気な表情をする。
(ブリギッド様!!何かカッコイイですね。キスされているデュー様も可愛いし・・・て普通は逆ですよね・・・・・)
ラケシスの脳内は多少混乱していた。
「エスニャも一緒に行ってきたらどうだい?」
アルヴィスがエスニャに訊ねる。
「え!!!でも・・よろしいでしょうか?」
エスニャはブリギッドとラケシスを見る。
「もちろん!!!!!」
「もちろん!!!!!」
二人は同時に返事をした。
ブリギッド、ラケシス、エスニャは部屋を後にした。
エーディン、エスリンが待機している場所へ向かっている。
現在残っているのはアルヴィス、エルトシャン、デューの3人だけとなる。
「デュー。もういつもの口調で構わない。エリオット殿を痛めつけた理由を聞かせてもらえるかな?」
アルヴィスは淡々とした口調で訊ねる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
デューはチラっとエルトシャンをみるが・・・・
「エルトシャン殿、少々不愉快な話を聞かせてしまうが構わないだろうか」
アルヴィスは訊ねる。
「構わない。むしろせいせいしているぐらいだ。あいつはラケシスを狙っていたからな」
エルトシャンは答えた。
「うん。それじゃ話すねアルヴィス」
いきなり口調を変えて話し出した。
「エリオットがアルヴィスのことを・・・」
「それでおいらがキレちゃって・・・」
「カザールの父ちゃんが・・・・・・」
「最後に・・・・・・・・・・・・・」
デューは一切隠し事をしない。エリオットの挑発?それでキレたデュー、カザールにブリギッドを嫁にやらんと言われて冷静になり、今後は父と呼ぶ宣言をしたことなどを全て洗いざらい話した。
一緒に聞いていたエルトシャンは・・・・・・
(こうしてみると本当にデュー殿は子供だな。だがアルヴィス卿の悪口は禁句か。一応覚えておこう。あのエリオットが何もできないとなると、やはり相当な使い手だ。それにブリギッド殿の婚約者。何かとラケシスもお世話になるしな)
さきほどアルヴィスにやり込められたこともあってかエルトシャンは、デューを敵に回してはならないと冷静に分析ができていた。実際エリオットは傲慢で嫌われ者ではあるが、弱くはない。それを相手にしていないとなればアルヴィス卿が護衛に置くのもうなずけると納得した。
「まあさっきの報告程度で納めてくれたなら問題ないよ。しかしまだ私とデューをそのような目で見る輩がいるとはね」
アルヴィスはそう言いながらチラっとエルトシャンを見る。
「アルヴィス卿の名はアグストリアでも有名だ。それがずっと独身で若い男が側にいるとなれば、エリオットでなくてもそのような目で見てしまう馬鹿はいる」
エルトシャンはデューの表情を伺いながら話す。
「でも。おいらは嫌だな。アルヴィスはそんなことする人じゃないのに」
デューは少し落ち込む。
「まあ。アルヴィス卿も結婚されたし、そんなことを言う輩はいなくなるだろう。もしくはデュー殿がさっさと婚姻を決めてしまうのもいいかもしれないな。アズムール陛下のお気に入りであればそう難しくはないはずだがな」
落ち込んだデューを見てエルトシャンは助け舟を出す。
「ありがとうございます。エルトシャン・・・殿」
デューが慣れない敬語で礼を言う。
「私もデューもエルトシャン、と呼ばせてもらって構わないかな?」
アルヴィスが訊ねる。
「ああ、俺もアルヴィスと呼ぶことにする。デューも構わんぞ。お前ほど敬語が似合わない奴もいないな」
エルトシャンは返した。
「うん。わかった。エルトシャン今後ともよろしく。ラケシスはおいらが全力で守るからね」
デューは明るい表情を見せた。
「守る・・とは・・どういうことだ・・・」
エルトシャンは少し驚く。
「エッダ家までの護衛はデューとブリギッド殿が行なうことになっている」
アルヴィスが答えた。
「それはありがたいが・・・なぜだ・・・・」
エルトシャンは訝しげに二人を見る。
(ラケシスを護衛だと。まあ当然他国から嫁いできた者を遇するのは当然としても流石に護衛には大袈裟すぎないだろうか?)
エルトシャンは心の中で疑問を口にする。
「エルトシャン、そちらの状況と同じようにこのグランベルにおいても一枚岩ではないということだよ」
アルヴィスがエルトシャンの心の疑問に答える形で話す。
「つまりこの縁談を納得していないか成立させたくない勢力がいるということか?」
エルトシャンは訊ねる。
「私が君に言えるのはここまでだよ。万が一ということもあるからね。その万が一は今回絶対に起こしてはならないことも間違いない」
アルヴィスが答えた。
(アルヴィスの言葉に嘘はないな。なるほど、それだけこの縁談を重視しているということか。まあ俺としてはラケシスが不自由なく過ごしてくれれば問題ない)
「承知した。デュー、ラケシスの護衛をよろしくお願する」
エルトシャンはデューに真剣な表情を向けた。
「安心してよ。おいらとブリギッドがいれば大丈夫。きちんと送り届けるからね」
デューはエルトシャンに笑顔を向けた。が
(ほう。年相応なところを見せたと思えば完全に戦士の顔をしているな。一度お手合わせ願いたいものだがな)
好戦的なエルトシャンはデューの戦士としての強さを知りたいと好奇心をくすぐる。
「エルトシャン、エッダ家との縁談が落ち着いたらヴェルトマー家にも来てほしい。真剣勝負は困るが稽古ならデューもアゼルも歓迎する。それと今は勘弁してくれ」
アルヴィスがエルトシャンの心の中を看破したかのごとく釘をさす。
(うっ!!アルヴィス。痛いところをついてきたな。まあ、今後の楽しみに取っておくとしよう)
エルトシャンは強引に納得させた。
「エルトシャン、ヴェルトマー家に来るのを楽しみにしているよ。アゼルやエスニャに稽古をつけてほしいんだ。特にアゼルには馬上の訓練が必要になるんだけどおいらじゃ教えられない」
デューは困った顔をエルトシャンに見せた。
最後までお読みいただきありがとうございました。
どのストーリーは入れていくか迷いがあり、週1回の投稿が維持できなく
なっております。
少し余裕を持ってやっていくかもしれませんので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
後半の男メンバーの会話は弾みました。
女子会も入れたいし、別の話も入れたいですね。