エスリンがアルヴィスに対して怒りを覚えます。が・・・・・
バカップル筆頭が到着します。(笑)
それを見たエスリンの反応が面白いです。
エーディンはアグストリアのシャガールの交際の申し出をその場で断ってしまったこと、それによりシャガールに恥をかかせてしまい、その対応にヴェルトマー家のアルヴィス卿が動いたことなどを話した。
「そのことで父上は陛下から 責を受けたそうです。もしアルヴィス卿が早急に動かなければ両国に亀裂が走っていたと・・・・・・・」
キュアンとエスリンは黙って聞いている。
「君はずっと探していたブリギッド殿と再開して嬉しかったこともあったから、いきなりで戸惑ってしまったからね」
シグルドはそう言ってエーディンをかばう。
「いいえ。これまでの私の行動、言動は沢山の人を傷つけていました。過去にアルヴィス卿が私との縁談を拒否し続けた理由もこういったことだと思います」
エーディンは下を向きながら話す。
「ええ!!!そんなことがあったのですか?」
エスリンは声を上げる。
「はい。アルヴィス卿が当主になられてから何度か父上が持ちかけていたそうです」
エーディンが答える。
「アルヴィス卿が当主になったのは確か7歳の時だ。後ろ盾が欲しい彼がその縁談を受けないとは相当だろうね」
キュアンは厳しい表情を見せる。
「そんなことがあるわけがないです!!エーディンお義姉様は沢山の人を救ってきました。傷つけてきたなんて・・・・・・・」
エスリンは半泣き顔になる。
「エスリン。ありがとう。でも私はブリギッドお姉さまを探すためと言って当主をアンドレイに押しつけ、シグルドへの想いを封じ込め、アゼルを始めとした人たちの好意に甘えていたわ」
エーディンは続ける。
「アンドレイの補佐もせず自分勝手に行動をした結果、他国の衝突を招いてしまったのは自身の無知ゆえのことです」
「エーディン!!もういい、それ以上は!!」
横で聞いていたシグルドはスッとエーディンの肩を抱いた。
「もう一人で苦しまないでくれ。これから取り戻していけばいいんだ。一緒にね」
シグルドは優しく話した。
「エーディンお義姉様。私も力になります。これからは自分の幸せを考えてください」
エスリンは半泣き顔を振り払いキリっとした表情を見せた。
「そうだ。これからシグルドを頼ればいい」
キュアンは力強い言葉をかけた。
エスリンは落ち込むエーディンを見て
(アルヴィス卿!!言いたいことも分かるけどここまでエーディンお義姉様を追いつめるなんて許せない!!)
アルヴィスへの怒りが収まらない。
「そのアルヴィス卿とエスニャ様と上手くいっているんですか?」
エスリンは訊ねる。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
シグルドとエーディンは硬直する。そして・・
「近いうちに会うことになるからそれを見て判断してほしい」
「私も同意見です。何というかその・・・上手く言えないです」
シグルドとエーディンは具体的な回答を避けた。
(ええ!!二人が答えてくれない!!何で!!)
エスリンは二人の回答に戸惑いの表情を見せた。
「失礼します。ヴェルトマー家のアルヴィス様、フリージ家のエスニャ様がお見えになられました」
噂の二人が到着した。
少し時間が経過し・・・・・
エスリンは目の前で繰り広げられる光景に
(アルヴィス卿・・・で間違いないわよね。何!!何よコレ!!)
パニック寸前に追い込まれていた。
「あの・・・エスリン様。どうかされましたか?」
アルヴィス卿に密着している少女エスニャが首を傾げてエスリンに訊ねる。
エスリンはバカップルの一人の無自覚な質問にチラっとシグルドとエーディンを見ると・・・二人は何とも言えない表情をしていた。
「随分と仲がよろしいようだね。エスニャ殿」
キュアンが何とか言葉絞り出す。
「ありがとうございます。キュアン様。私たちは夫婦になりたてなので、是非お二人から夫婦円満の秘訣をお教えいただければと思います」
エスニャが無自覚な爆弾を投下した。
「そうだね。私たちは歳の差もあり、半分は政略で結ばれた形なので、経験豊富な方のアドバイスを是非頂戴したい」
アルヴィスも続けざまに投下する。
(この二人は本気で言っているのかしら?どう見てもラブラブじゃないの!!!ああもう!!!)
エスリンは目の前のバカップルに対しての対応に困っている。実際先ほどのエーディンの話を聞いて、アルヴィスに対して言いたいことを沢山考えていたが、流石にこの状態で話をすることは憚られた。
「アルヴィス卿、その前にお祝いの言葉がまだだったようだ。結婚おめでとう。随分と幸せそうでなりよりだ」
キュアンが助け舟を出す。
「ありがとう。キュアン殿。私もまさかこういった形であなた方と再開することになるとは思ってもみなかったよ」
アルヴィスは笑顔で返した。
「私も失礼しました。結婚おめでとうございますエスニャ様」
キュアンの助け舟に乗じてエスリンもお礼の言葉を続けた。
「はい。私もごめんなさい。ありがとうございますエスリン様」
エスニャはよりアルヴィスに密着して笑顔を向ける。
(ようやく落ち着いて来たわ。アルヴィス卿もエスニャ様も本当に幸せそうね。政略結婚だったそうだけど全然そんな風には見えないわ)
エスリンは冷静に二人を観察した。
「それにしても全く噂がなかったあなたの結婚の話を聞いたときは驚いたよ」
キュアンが話題を振る。
「そうだね。そちらのシグルド殿とエーディン殿にはブリギッド殿がご尽力してくれたが、同様に私たちはティルテュ殿のおかげでこうして一緒になれたんだよ」
アルヴィスはそう言ってシグルドとエーディンの方に目配せして続ける。
「まあそちらは元々お互いが初恋同士でもあったわけだが、私たちはこれからの関係だから課題も多いが、ゆっくり作っていきたいと思っている」
アルヴィスが衝撃発言をした。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
アルヴィスを除く全員が驚愕の表情を浮かべた。
その表情を見たアルヴィスは
「だてに7歳から当主はしていないよ。特に今後密接な関係を作らなければならない人の情報は正確に把握しなければ足元をすくわれる。まあ二人の場合は分かりやすかったというのもあるがね」
アルヴィスはそう締めくくった。
(アルヴィス卿は怖い人だわ。でも過去にエーディンお義姉様の縁談を断っていたのもこのことに気付いたからなのも一因ね。まあそのおかげでお兄様と結ばれたわけだし、さっきの件は言わないでおきますか。エスニャ様にも悪いし)
エスリンのアルヴィスへの印象は冷酷な人でエスニャとの関係も冷めたものだろうと思っていたのだ。しかし目の前で幸せそうなエスニャを見てその考えを改めることにした。
(でもティルテュ殿のおかげって言っていたかしら?たしかエスニャ様のお姉さんだったわね)
「お兄様同様アルヴィス卿もティルテュ様に背中を蹴っ飛ばされたのですか?」
エスリンがいたずらっぽい表情で訊ねる。
「ははは。そうだよって言いたいところだが、具体的なところをそんなに話すことはできないんだ。当家の秘密に関わるところなのでね」
アルヴィスは表情を変えずに答えた。
「確か私たちにも話してくれなかったね。アルヴィス卿」
シグルドが訊ねる。
「ああ。ただティルテュ殿はずっとアゼルのことを好いてくれていた。エスニャとのことも含めて彼女には一生頭が上がらないよ」
アルヴィスはそう言いながら肩をすくめた。
(当家の秘密ってどういうことかしら?そもそも秘密って開示している時点で変ね)
エスリンは首を傾げる。
「アルヴィス様、アゼルには申し訳ないことを致しました。それとラケシス様の縁談の件についてはご尽力いただきましてありがとうございます」
エーディンがそう言って深々と頭を下げた。
「エーディン殿、それはもう済んだことだ。これからは自分の幸せを第一に考えてほしい。頼りになる義妹君が近くにいるのだから夫婦円満の秘訣を早速聞いてみればよいのではないかな?」
アルヴィスはそう言って意地の悪い表情をエスリンに向けた。
(うわあ、性格が悪い人だわ。さっきの秘密の話をそらしてこちらに話題を振ってきたけど・・・)
エーディンが期待を込めた表情を浮かべる。それを見たエスリンは困り顔だ。
「夫婦の在り方はそれぞれだと思う。少なくとも私にはアルヴィス卿とエスニャ殿はとても仲睦まじい夫婦に見える。何年も寄り添いあっている見間違えるほどだよ」
キュアンが素直な感想を述べる。
「私もそう思う。初めて二人であいさつに来たときは、かなり前からお付き合いがあったと思っていたよ」
シグルドも援護射撃をする。
「私もそう思います。どうやってこの短い間でそこまで仲良くなれたのかこちらが聞きたいぐらいですよ」
エスリンはさっきの仕返しのばかりに質問を返した。
アルヴィスが一斉反撃に再度返しを入れようしたが・・・・
「失礼します!!!ノディオン家のエルトシャン様、ラケシス様がお越しになられました!!」
兵士より声がかかった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
キュアンとエスリンはゲームスタートから唯一のカップルです。
エスリンに振り回されているキュアンが想像できますね(笑)
そんなイメージで二人を描かせていただきました。
次話は「襲撃」です。少し時をさかのぼります。
実際この縁談はスムーズにいきません。ラケシスを狙っている人はゲームでもいましたからね。その人物はこのタイミングを狙ってきました。
アルヴィスは当然対策しています。