難しいですね。
レックスが苦労しそうです。
なんとか投稿にこぎつけました。スピードが落ち気味ですが頑張ります。
細身の剣を目の前に持ち構えをとり、相手に対峙する。剣は斜めに傾けている。
もう一方も同様に細身の剣を正面に構えを取っている。こちらは剣先を相手に向けている。
二人の対峙を見ているティルテュは・・・・
(素人目でもデューの構えがしっかりしているわね。アゼルも必要なのはわかるけど心配だわ)
剣先を正面に向けている方の少年、アゼルが先に動いた。剣を真上に持ち上げ真正面から振り下ろす!!
剣を斜めに傾けて対峙していた少年、デューはアゼルの振り下ろしに対して剣を横にして受け止め斜めに流す。
勢い余った形で体が流れてしまうアゼル、そこにデューが足を出してアゼルの足を引っかけた。
「うわ!!!」
アゼルの声とともに盛大に転ぶ。しかしすぐに体勢を立て直そうとするが・・・
「はい。終わりだよ」
デューの剣先がアゼルの首に突き付けられた。
突き付けられたアゼルは・・・・
「参った!!!」
アゼルはそう言って尻もちをついた。
デューは素早く剣をしまった。
「かなり動きは良くなったけど、剣の扱いはまだまだだね」
デューはアゼルに告げる。
「流石にデューは強いね。もう何連敗したかな?」
アゼルは汗を拭いながらデューに訊ねる。
「20数えたあたりからやめたわよ。とりあえず1勝してほしいわね。アゼル」
横から声がかかる。ティルテュがタオルを持ってアゼルのところへ駆け寄った。
「ティルテュ。ありがとう」
そう言ってティルテュからタオルを受け取った。そして不意にそのままティルテュを抱き寄せて額にキスをする。
「!!!!!!!!!!!!!!」
ティルテュは一瞬固まり、顔を赤くするがそのままアゼルに抱き着いたままだ。
「アゼル、おいらの前でも容赦ないね。どんどんアルヴィスとエスニャのカップルに似てきたよ」
デューは呆れた表情を見せる。
「ははは。ごめんねデュー。ティルテュもいきなりキスして嫌だったかな?」
アゼルは訊ねる。
「嬉しいけど次からは一言言ってからしてほしいわね」
ティルテュはむくれながらアゼルを見た。そしてそのまま顔を近づける。
「せめて続きは二人だけの時にしてくれないかな?」
デューの冷たい声が響く。
その声に続きをやめて振り向いたティルテュは・・・・・・
「何よ。デューにはブリギッド様がいるじゃない」
むくれた表情でデューに切り返す。
「おいらも流石にそんなことは・・・・・・」
デューは反論しようとするが・・・・・
後ろから何者かに抱き着かれた。
「デュー。何をしているの。あら。お二人はお熱いわね」
ブリギッドがデューに抱き着いた状態で、二人に声をかける。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
デューは抱き着かれた状態で下を向いている。少し顔が赤い。だが拒絶の意思を見せていない。
「あらあら。デュー。お熱いわね。せめて続きは二人だけの時にしてもらえないかしら?」
ティルテュは意地の悪い表情を浮かべて、デューに切り返した。
そのやりとりを遠くで眺めているカップルがいた。
「見ているこちらが恥ずかしくなりますね」
「アゼルもブリギッド殿もかなり積極的になってきたな」
バカップル筆頭のアルヴィスとエスニャである。
こちらは隣同士、体を密着させながら屋敷の中から外の訓練を見ていた。
「ブリギット様があそこまでデュー様にアプローチをかけるなんて」
「デューも嬉しいそうにしているな」
個々に感想を述べている。
特にデューは気の許したもの以外に体を触れされることはしない。部下のカルラのアプローチに対してはハッキリ拒絶の意思を見せている。理由は過去のトラウマによるもので、ブリギッドも承知しているがそれ以上にデューがブリギッドに対して心を許している証拠だ。
(アズムール陛下のご配慮には本当に頭が下がる。デューは「アズムールのおっちゃんが守りたいものをおいらも一生かけて守る」と言ってくれている。これで安心だな。あとは年齢を重ねて無事ブリギッド殿と結ばれてほしいものだ)
アルヴィスはデューの将来の不安が取り除けたことに安堵した。
「アルヴィス様、どうしてアゼル様とティルテュお姉様に剣の訓練が必要なのですか?」
エスニャがアルヴィスに訊ねる。
「魔導師(マージ)の上級クラスはマージナイトとマージファイター。つまりはどちらも剣のスキルは必須になる。特にアゼルはマージナイトの資質があるためより高度の剣のスキルが求められる。二人とも早いうちに慣れておいた方がいいと思ってね」
「アルヴィス様もですか?」
「いや、私は剣の資質はなかったが魔法の資質が高かったのでセイジになった。光の魔法を含むすべての魔法をある程度のレベルまで使うことができるよ」
アルヴィスとエスニャの会話は続く。
「今後は私も訓練に参加させて頂けますか?」
エスニャはアルヴィスに真剣な表情を向ける。
「君が望むのなら反対しないよ。私を守ってほしい」
アルヴィスは優しい表情でエスニャに答える。
「はい!!!お守りします」
エスニャはそう言ってアルヴィスに抱き着くとそのまま顔を近づけて・・・それが重なった。
二人は名残惜しい様子でゆっくり離れると・・・・
ノックの音が聞こえた。
「アルヴィス!!入っていいか?」
レックスの声がドア越しに聞こえる。
その声を聞いたエスニャが慌ててアルヴィスから距離を取った。
「レックスか!構わない入ってくれ!!」
アルヴィスが返事をした。
ガチャと音を立ててレックスが入室する。
「おっと!!お邪魔だったかな?」
入るなりレックスが微妙な距離感を取っている隣のエスニャを見ながら訊ねる。
「いや。大丈夫だよ。もう少し早かったらかなり邪魔だったがね。いいタイミングだったよ」
「しまった!!もっと早く来たら良かったな!!」
レックスはニヤニヤしながらエスニャを見る。
レックスの表情を見たエスニャは顔を真っ赤にするが、すぐにアルヴィスに密着する。そして・・
「レックス様。随分慌てているようですが、どのようなご用件でいらっしゃいますか?」
エスニャは冷たい声でレックスに訊ねる。
「朗報だ。クロード殿とラケシス殿の縁談が正式に決まった。双方とも合意したとのことだ」
レックスが答えた。
「そうか!!!良かった!!!」
アルヴィスは声を張り上げる。
隣のエスニャは驚愕の表情を浮かべている。
その表情を見たレックスは・・・・・
「そういえばエスニャは知らなかったがもう言ってもいいんだろ、アルヴィス。」
「ああ。正式に決まれば話すつもりだったからね」
アルヴィスはそう言ってエスニャに笑顔を向ける。
「ラケシス様は確かノディオン王家当主エルトシャン様の妹君でいらっしゃいますね。クロード様と結婚されるのですか?」
エスニャがアルヴィスに訊ねる。
「現状は婚約という形になるが、ほぼ結婚するとの認識で合っているよ」
アルヴィスがエスニャの問いに答える。
「アルヴィス様が動かれていたのですか?」
「クロード殿から良き縁談があればぜひって頼まれていたんだよ」
「クロード様が・・・・ですか?」
エスニャは少し首を傾げる。クロードが積極的に結婚相手を探していたことに違和感を覚える。
「エスニャが驚くのも無理はないよ。私もクロード殿からそんな話が来てびっくりしたからね」
アルヴィスが苦笑する。
そのやり取りを見たレックスは・・・・・
(あのなあ!!!お前ら二人が所かまわず無意識にイチャイチャするからクロード殿がそれにあてられたんだろうが!!!!全くこのバカップルは・・・・・・・・・)
容赦ない暴言を心の中で吐きまくっているレックスも当然被害者である。周りでカップルが出来ている状況で自分には特定のお相手がいない。文句の一つも言いたくなる。「自重しろ!!!」と。
(多分言っても無駄だな・・・・。さてとまた無意識にイチャつきやがって、話を戻すか)
「アルヴィス。早速だがラケシス殿を迎え入れる準備をしなければならない。道中の護衛はどうする?」
レックスは訊ねる。
「エルトシャン殿がシグルド殿にお願いするだろう。恐らくキュアン殿とエスリン殿も来るだろうしね」
アルヴィスが答える。
「クロード殿に紹介した手前、アルヴィスも行っておいた方がいいんじゃないか?」
レックスが提案する。
「そうだね。では連携を取って交代する形でエッダ家に迎え入れよう。エスニャも一緒に来てほしい」
アルヴィスはエスニャに優しい表情を向ける。
「はい。喜んで!!ラケシス様を不安にさせないように精一杯歓迎いたしましょう」
エスニャは笑顔で答えた。
それを見たレックスは・・・・・・・・
(エルトシャン殿とラケシス殿にはこのバカップルがどう映るのかが不安でしかないな。これを当たり前に思われても困るが・・・・・・・)
別の意味での不安要素はあるが、水面下で異様な動きを見せる集団がいる以上、万全を期して臨む必要がある。そう自分を納得させた。
レックスの苛立ちはいい意味で面白いです(笑)
アゼルもブリギッドも積極的です。
しかし最強カップルはアルヴィスとエスニャですね。
次話よりこの話の会話シーンにあった人物が登場します。
性格の振り分けが大変ですが、被らないようにします。