前半は甘ったるいです。後半はシリアスです。バランスを取りました(笑)
カップリング完了!!とクロードの縁談相手が明確に判明します。
まだ本編では出していないので
いきなり引っ張り込まれ、抱きしめられたデューはびっくりしたものの抵抗せず、ブリギッドに体を預ける。
ブリギッドは何も言わず、じっとデューを抱きしめる。
どのくらい時間がたっただろうか。ブリギッドはデューに語り掛ける。
「いつからアタシを意識してくれていたの?」
「ブリギッドの護衛で城まで送っていたときかな?そのときはよく分からなかったけど、想い人がいるって陛下から聞いたときに「嫌だ」って思った」
「ふふふ。ホントは父上がその話を陛下にするとは思っていなかった」
ブリギッドは弾むような口調で話す。
「そうなんだ。でも今回はリングのおっちゃんに感謝したいよ」
デューも嬉しそうに話す。
「アタシが海賊やっていたときは頭の娘だったから、誰からも恐れられてね。アンタがアルヴィスの護衛で現れて部下をコテンパンにしたときは驚いたよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
デューは黙って聞いている。
「アンタが護衛で送ってくれたときに意識しちゃってね。アルヴィスのことが好きで、命まで張ろうとするアンタがカッコイイって思った」
ブリギッドは想いをぶつけ続ける。
「その後の祝言なんて単なる建前、アンタともっと話したかったから。父上とアンドレイにばれないようにね」
「多分、アンドレイにはバレてるよ」
デューがシレっと爆弾を投下する。
「え!デューそれどういうこと?」
ブリギッドは思わず抱きしめていたデューの両肩を持ってじっと見つめる。
「アルヴィスがアンドレイからの書簡に目を通してから、おいらとブリギッドを二人っきりにするようにしていたみたい」
じっと見つめられたデューは少し恥ずかしげに話す。
「そうなんだ・・・・」
「アンドレイはブリギッドとおいらのことを応援してくれているみたいだよ」
唖然とするブリギッドにデューが話す。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
二人は無言でお互いの目を見る。
二人はそのまま目を閉じてそれが重なった。
それほど長い時間ではなく、離れるとお互いが目線をそらして少し離れた。
「デュー、いきなりで嫌じゃなかった?」
ブリギッドはおずおずと訊ねる。
「おいらは嬉しかったよ。ありがとう」
デューは笑顔で答えた。
二人が甘すぎる時間を過ごしている頃・・・
その二人がいなくなった謁見の場は非常に重苦しい雰囲気を漂わせている。
リングは途方に暮れていた。
(まさかブリギッドの想い人がデュー殿だったとは!!)
リングは驚きを隠せない。デューはアルヴィスの下で功績を残し爵位を受けている。それでもまだ子供でブリギッドとの関係がここまで親密になっているとは想像できなかった。
(ブリギッドが殿下との縁談を断った時の捨てゼリフは嘘ではなかったということか)
結果的にブリギッドとデューに助けられた形となったリングの心中は複雑だ。
(普通であれば二人の交際を認めるわけにはいかん。しかし今回は陛下が主導で動かれておられる)
デューのことを信用してないわけではない。爵位を受けた貴族とはいえ、元盗賊の素性とブリギッドとの年齢差などを考えると認めるわけにはいかなかった。
「さて・・・リングよ・・・・」
アズムールが声をかけてきた。
「!!!!はい陛下!!!」
リングは平伏する。
「まず、クルトとの縁談の件については不問とする。本来であれば叱責ものだが、あの二人に感謝せよ」
アズムールは幾分穏やかな口調で告げた。
「はっ!!!!!」
リングは深々と頭を下げた。
「そしてアルヴィスに謝罪しておけ。アグストリアとの関係が悪化しなかったのは彼のおかげじゃ」
「はい!!申し訳ありませんでした」
二人のやり取りは続く。
「さて、リングよ。今回のブリギッドとデューの縁談についてじゃが・・・・・。やはり納得できんか?」
アズムールは訊ねる。
「それは・・・・・・・・」
リングは口ごもる。
「デューの出自云々はあると思うが、あやつの実力は知っておろうに。それにお主にとってはヴェルトマー家との繋がりを持つことができるじゃろう」
アズムールは続ける
「それにブリギッドも元は海賊。他の貴族令嬢とは一線を画しておる。今さらそこいらの貴族とうまくいくとは思えん。そうは思わんか?」
「それは存じておりますが・・・・・・・・」
リングはアズムールの説得力のある言葉に反論できない。
(反論できる材料がない。確かにデュー殿はアルヴィス卿の信頼も厚く、実力は折り紙付きだ。しかしまだ若い。本当にブリギッドを任せられるのだろうか?)
「陛下、デュー殿はまだ子供です。対してブリギッドとは年も離れ過ぎており、親の立場とすれば正直なところ安心して任せられるのかが不安です」
リングは何とか反論を引きずり出した。
「まあ、そうじゃろうな。だから今回の縁談は婚約・結婚の話ではなく、あくまで正式な交際が始まったという形で落ち着かせたい」
アズムールはリングの反論に提案で返して続ける。
「いくらなんでもデューには結婚が早すぎる。ワシもそこまでは考えておらん」
アズムールはリングの不安を一蹴する。
「承知いたしました。それでしたら私も二人の交際を認めることにいたしましょう」
(デュー殿は人柄が読めない。強さとそれは別物だ。ボロが出てくればブリギッドも愛想をつかすかもしれん)
リングは心の中で自分を納得させた。
「陛下、お聞きしたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」
リングはアズムールに訊ねる。
「うむ。なんじゃ?」
「はい、シャガール殿下はアルヴィス卿に何を要求したのですか?」
「こちらも縁談じゃよ。但し相手はノディオン家のご令嬢じゃ」
(何!!!!エルトシャン殿の腹違いの妹君か。確かラケシス殿であったな)
リングは多少驚いているものの冷静に分析する。
「しかしこちらの相手は誰を引き合わせるのですか?」
(しかしあの令嬢は気が強く、お転婆と聞く。美しい女性だが、評判をそれほど良くない。アルヴィス卿はいったい誰を紹介したのだ)
リングは候補者が思い浮かばない。
「エッダ家のクロードじゃよ」
アズムールは答えた。
「!!!!!!!!!!!!!!!!!」
リングは驚愕し、
「それは・・・・その・・・正気ですか?」
リングは思わず声に出す。
「うむ。クロードがアルヴィスに縁談を依頼しておったようじゃ」
「上手くいくとは思えませんが・・・・・・」
リングはとても二人の相性がいいとは思えない。恐らくほとんどの人がそう答えるだろう。実際ラケシスは理想の男性を異母兄のエルトシャンと公言しているのだ。顔立ちも良く、優しくはあるが、頼りなさを感じるクロードではラケシスといい関係を作れるとは考えられない。
「この縁談は上手くいかなくても構わん。あくまで借りを返したとの状況が作れれば問題ない。それに安易に断ることはしてこないじゃろう」
アズムールは断言する。
「そうでしょうか。ラケシス殿が嫌と言うのでは?」
リングはアズムールの断言に異を唱える。
「そんなことをすればエッダ家は恥をかくのう。わざわざ6公爵家の当主が縁談を申し込んできている以上面子を潰されたも同然じゃ」
アズムールリングの異に反論する。
「まさか・・シャガール殿下の狙いは・・・・」
リングは唖然と言葉を紡ぐ。
「そうじゃ。この縁談を断れば、次の縁談は絶対に断ることは出来ん。国同士の亀裂を走らせたものが、縁談相手が気に入らないなどどほざくようなら、今度こそ処分ができるしのう」
アズムールは厳しい声で締めくくった。
(アルヴィス卿、やはり恐ろしい男だ。縁談が上手くいけばアグストリアとの関係は強化され、断ればシャガール殿下の思惑は果たされる。どっちを取っても悪い話ではない。しかし・・・・・)
リングは改めてアルヴィスの脅威を実感する。
「クロード殿はお気の毒では?ラケシス殿は気の強い方です。振り回されるかもしれません」
リングは容赦がない。
「ワシの見解は違うがの。クロードはあの娘と比べてかなり大人じゃ。それに芯は強い。多少キツイ言葉を投げかけられたところで何とも思わんじゃろう」
アズムールは顎に手を当てながら言葉紡いだ。
「承知いたしました。そこまでアルヴィス卿が動かれていたとは。私にも出来ることがないか確認してまいります」
リングはそう言って臣下の礼を取った。
(この縁談は大きなものになるかもしれん。ブリギッドの件は気がかりだが、まだ先の話だし今はアルヴィス卿の仕掛けがどうなるかだな)
最後までお読みいただきありがとうございました。
クロードとラケシスですがどんな感じで繋げていこうか模索中です。元々このカップリングの構想はありませんでした。
私はゲームではラケシスのカップリング相手はレックスが1番良かったです。
エリートのスキルでレベルがどんどん上がり、追撃リングを持たせて序盤より主戦力として活躍してくれました。
基本アルヴィス以外の年齢表記はしない予定です。
皆さんのご想像にお任せしたいと思います。特にデューなどは童顔で読みにくいですしね。