ついにクロードのお相手候補が・・・・・
ですがかなり厳しく評価しています。辛口が少し多いです。
最後にリングとブリギッドの会話シーンが入ります。
アルヴィスが計略をアズムールに進言してから1カ月がたったが、大きな動きはなかった。
アズムールは自室にて神妙な面持ちで目を閉じていた。するとドアのノックが4回聞こえた。
「デューよ、入ってよいぞ」
アズムールが返事をすると素早くデューが入室した。ドアの音を立てずに閉じアズムールに駆け寄る。
「陛下、例の件のご報告に上がりました」
デューはそう言って臣下の礼をとる。
「うむ。報告を聞こう。その後の状況は?」
アズムールが促す。
「はい。一部気になる動きがありました。エッダ家が当家に対して不審な動きを見せています」
「なんじゃと・・まさかクロードが・・・」
アズムールが少し驚く。
「いえ、恐らく彼は知らないものと思われます」
「ふうむ、気になるが、アルヴィスの見解は?」
「ある程度この動きは想定していたようです」
「なるほど。さすがじゃな」
アズムールは少し表情を綻ばせた。
「さて、敬語も疲れたじゃろう。普通に話せ」
アズムールは許可を出した。
「そんなんで疲れないよ。アズムールのおっちゃん」
許可を貰ったデューは普通に話す。
「デュー、お主の見解を聞こうか?」
「おいらの?うーーん。直感だけど内通者は間違いなくいるね。マンフロイと同じ気配が見えたから」
デューはいつも口調で話して続ける。
「暗躍している集団って普通は分かりにくいんだけど、妙なところで統一性を見せるんだよね。特にマンフロイの噂の効果は間違いなく出ているね」
「つまり、その噂の真偽の確認するための動きということか?」
アズムールが訊ねる。
「そう。それぞれの確かめ方は違えど、こういった時は共通した行動習慣が出るからね」
デューはアズムールの問いに答えてさらに続ける。
「それに当主のクロード殿は経験が浅く、まだ全体を統率しきれていないから。アルヴィスもこれは仕方ないって思っているよ」
(ふうむ。クロードは良き当主となる器は持っておるが、経験の面ではまだまだじゃしのう)
アズムールもアルヴィスの見解に同意する。
「クロードに良きパートナーがおれば変わるかもしれんな」
アズムールは思わず声に出した。
「実はクロード殿から良き縁談があればぜひってアルヴィスにお願いしているみたい」
「ほう!!あのクロードがか!!」
アズムールは驚きを隠せない。少々世間ずれしており本人も奥手なところがあったのだが・・・・・・・
「なんか・・・・アルヴィスとエスニャの惚気に相当あてられたらしいよ・・・」
デューは呆れ気味に話す。
「・・・・納得じゃな・・・・・・」
アズムールは大きくうなずいた。
「デューよ、お主はどうなんじゃ?」
「多少やられているよ。それに覚悟は決めたって前回言わなかったっけ?」
「聞いておるよ。きちんと約束は守る」
アズムールは笑みを浮かべる。
(デューも腹を括ったようじゃな。さて・・)
「アルヴィスの方でクロード殿の縁談相手についてアタリを付けているみたいだよ。許可を取ってくるように言われたんだけどいいかな?」
デューから剛速球が放り込まれた。
「なんと!!!相手は誰じゃ!!!」
「うん実はね、・・・・・・・・・だって」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
デューの話を聞いたアズムールは言葉失った。
「どこからその縁談が出てきたのじゃ?」
「アルヴィスが言うには、ある人に大きな借りを作ってしまって、困っていること聞いたらその話が出てきたんだって」
デューは淡々と答えて急に殺気立つ
「正確言えば借りを作ったのはユングヴィ家だけどね。なんでアルヴィスが尻ぬぐいしないといけないのか、わけわかんないよ」
(リングの娘エーディンの縁談拒否じゃな。あれはアルヴィスも相当苛立ちを見せておったからの)
「おいらは良く知らないんだけどおっちゃんはその縁談相手を知っているの?」
デューはアズムールに訊ねる。
(確かノディオン家の腹違いの妹であったな)
「そうじゃな。シアルフィ家と非常に仲が良い。気が強い娘と聞いておるな」
アズムールは記憶を思い起こしながら伝える。
「そうなんだ。おいらは何かと理由を付けて縁談を拒否しまくって、理想の相手は結婚しているお兄さんと公言している人って話だけど・・」
デューは淡々と猛毒を吐いた。
「・・・・・・お主は容赦ないな・・・」
「事実でしょ。肝心のお兄さんも妹を溺愛しているって言っていたし、それはシャガール殿下も困るよね。その兄妹は何考えているのかな?」
デューは借りを作ってしまった人物を言った上でアズムールに訊ねる。
(ふう。アルヴィスもデューも怒り心頭のようじゃの。断る選択を完全に絶ちよってからに)
「アルヴィスに伝えよ。縁談の件は許可する。あとユングヴィ家には先ほどの件の責任を取らせる。とな」
アズムールは真剣な表情でデューを見る。
「ありがとうございます。あとご無礼のほど申し訳ありません。以後気をつけます」
デューは口調を変えて臣下の礼をとった。
「そのような気は全くないくせにのう。ふふふ」
アズムールはデューの口調変化に思わずほころぶ。
「さて、デューよ。このあと時間はあるかの?」
「うん、大丈夫だけど・・・・・・・・・」
デューは口調を戻して答える。
「実はリングを呼んでおる。ブリギッドもな」
「!!!!!!!!!!!!!!」
デューは思わず息を止める。
「理由は分かっておるな。例の件を問いただす。付け加えるなら先ほどの件もお灸をすえんとな」
アズムールはデューに突き刺す視線を送る。
「おいらはそんなつもりじゃ・・・・・・」
デューは思わず反論するが・・・・・
「デューよ、覚えておけ。立場が上になればなるほど責任が伴う。その中でユングヴィ家が犯した失態は大きい上、その尻ぬぐいを別の家の当主が行なうことになるなど本来あってはならんのだ」
アズムールは諭すようにデューに伝える。
「実際、お主も怒っておったではないか。それはワシも同じじゃよ。だからリングはアルヴィスから見限られることになるんじゃ」
アズムールは容赦なく言い放った。
「・・・・・・・・・・・・・・」
デューは何も言わず深々と頭を下げた。
(デューには少しきつかったかの。でもそれがワシの役割だからな。さてどうやってリングを締め上げようかの)
アズムールは顎に手をあてて物騒なことを考えていた。
一方その頃・・・・
リングとブリギッドは向かい合わせで座り馬車にてバーハラ家へ向かっていた。
「父上、今回の陛下のお呼び出しは何でございましょうか?」
ブリギッドはリングに訊ねる。
「実はワシも聞かされておらんのだ。もしかしたら殿下の縁談の件かもしれん」
リングは思い出すように上を見ながら答える。
「それはお断りになられたのでしょう?今さら蒸し返すなどあるのでしょうか?」
ブリギッドは首を傾げる。
「今回の縁談じゃが殿下が主ではなく陛下だった可能性がある」
リングは少々恐縮しながら話す。
「え!そうなのですか?どう断られたのですか?」
ブリギッドは多少驚きながらも再度訊ねる。
「王妃となるべき教育をしていないから荷が重いと伝えておいたが・・・・」
リングはそう言うと黙り込んだ。
「・・・・父上、それだけですか?」
ブリギッドはリングの態度が気になり追及する。
「お前が別に気になる相手がいると言っておいた」
「!!!!!!!!」
(本当にその話を陛下に伝えたんですか父上!!)
ブリギッドは心の中でリングの答えに驚く。
「もし陛下からそのことを聞かれたら私はどうすればいいのですか?」
ブリギッドは厳しい視線を送る。
「その際はワシが責任を取る。お主が気にすることではない」
リングはブリギッドの視線を受け止めた。が多少頼りなさげだ。
(ふう。全く頼りにならないですね。どうしたものか)
ブリギッドはリングが勘違いしていることを指摘しない。
(デューが気になる相手です。なんて言ったらどうなるか)
デューはヴェルトマー家専属騎士の地位を賜り、爵位も得ることになった。特殊な形で貴族としての地位を獲得したが、位は低く、公爵家のユングヴィ家とは当然釣り合うものではない。
(最近のデューは変わったね。どんどんカッコよくなってきた。地位を得たことが大きいのかな)
ブリギッドは心の中で気になる相手も想う。
(最近は会えてないから会いたいな・・)
最後までお読みいただきありがとうございました。
エルトシャンについては過去にも書きましたが、あまり良い印象を持っていません。なので今回は袈裟切りにしました。
まずゲームにおけるシャガールとエルトシャンの関係についてはシャガールの行為云々はさておきエルトシャンにもう少し配慮があればここまでこじれなかったのでは思う次第です。
さらには村を襲おうする当主がいたりと統治はかなり大変だったのではないかと思うのです。