心の声を出している関係で視点変更が必要と思われるところは今後も継続します。
アドバイスを頂き、明らかに視点が変更していると分かるところは外しました。
多少違和感があると思いますが気づいたところがあればご指摘いただければと存じます。
(凄い剣を貰っちゃった。普通じゃ手に入らない一振りだ)
デューは手にした剣を腰におさめながら思う。
(これで力が低いおいらでも今以上に有利に戦うことができる。陛下には感謝だな)
デューはすでに上級クラスのシーフファイターへ昇格を果たしている。これによりほとんどの剣を使うことが可能だが、致命的な弱点として力が低くく、守備力の高い敵に対して不安があったが、それがほぼ解消されたことになる。
(大剣は重くて使いづらいし、風の剣は扱いが難しくて接近戦には不利だし、細身の剣は威力が低い。その点この銀の剣は全てを補っている)
デューは確かな手ごたえをこの剣に感じている。間違いなく自分の力になってくれるであろう。
「デューよ。気に入ってくれて余は満足だ。さて、もう1つお主の願いを聞こうか。確かその約束であったな」
アズムールは優しい言葉で語りかける。
(そうだった!!!!!どうしよう・・・何も考えてないや!!!うーーーーん)
デューはアルヴィスから事前に言われていたことを思い出し、焦りの表情を見せる。
視点変更(アルヴィス)
(おっと、デューは困っているみたいだ。さっき話したばかりだし、デューには考える時間が必要だ)
「陛下、デューよりそのお願いを聞いておりましたが、それは私のお願いとして先に話をさせていただいてよろしいでしょうか?」
アルヴィスがそう言ってデューに視線を送る。それを見たデューは軽くうなずいて思考に入った。
「ほうそうなのか。アルヴィスよ。ではそちらから聞こうか」
アズムールは大変興味深い表情を見せる。
「はい。殿下がブリギッド殿お見初めして、縁談を進めているとのお話を聞きましたが、お間違いございませんでしょうか?」
アルヴィスはアズムールに訊ねた。
「流石に耳が早いな。その通りだ。確かに進めておる。ワシも良縁と思っているしな」
アズムールは正直に答える。
「私のお願いはその縁談を陛下のお力で無かったことにしていただきたく存じます」
アルヴィスは真剣な表情で訴えた。
視点変更(アズムール)
「私のお願いはその縁談を陛下のお力で無かったことにしていただきたく存じます」
アルヴィスの真剣な表情を見たアズムールは
(ワシとしては良縁を思ったが、アルヴィスはいい顔をしておらんな。いや待て!確かデューのお願いと言っておったな。ふうむ?)
アズムールは少し考え込むと・・・・・
「アルヴィスよ。クルトはいまだに結婚をしておらんし、余はこれを良縁と思うておる。それを無かったことにするには理由が必要じゃ」
(アルヴィスとデューの真意が知りたいところじゃ。少し食い下がってみるかの)
アズムールはすでにブリギッドの縁談は諦めているが、あえてそのことは言わず、理由を尋ねる。
それを聞いたアルヴィスが少し考える表情を見せるとすぐにアズムールに向き直る。
「ブリギッド殿はまだユングヴィ家に戻られたばかりで、貴族生活に慣れておりません。さらに彼女はアグストリアで海賊をしていた経緯から他国からも不要な中傷を受けかねません。それは酷なことではございませんか?」
アルヴィスは続ける。
「定期的に彼女は城を抜け出して、育ての親に会いに行っております。思っている以上に心身の負担が大きいのではないかと・・・・」
不安な表情を隠すことなくアルヴィスは伝えた。
「アルヴィスよ、お主の話も分かるがクルトもいつまでも独身というわけにはいかん。しかるべき者を妃に迎え、跡継ぎを考えねばならんのだ。それにあの娘はユングヴィ家を継ぐことはない。それはお主がアンドレイの後ろ盾に入っているからじゃろう」
アズムールは食い下がる。
アズムールとアルヴィスのやり取りを聞きながらお願いことを思案していたデューは・・・
(やっぱりアルヴィスでもこの縁談を無しにするのは無理かな)
デューはアズムールの態度にあきらめの表情を見せる。
(アルヴィスに時間を作ろう。おいらの願いも決まったし)
デューは口を開く。
「陛下、アルヴィス様。お話し中のところ失礼いたします。お願いしたいことが決まりました」
視点変更(アズムール)
「陛下、アルヴィス様。お話し中のところ失礼いたします。お願いしたいことが決まりました」
デューがアズムールに真剣な表情を見せる。
「デューよ。願い事は決まったか。話してみよ」
(ほう、なかなかの視線を感じる。ふふふ、さて、どうする少年?)
アズムールは内心はワクワクしながらデューの視線を受け止める。
「陛下、私に正式なご身分を頂戴したく思います」
デューはハッキリとした口調でお願いを伝える。
「ほう、正式な身分とな」
アズムールは驚いた表情を見せる。
「はい、アルヴィス様、アゼル様にお仕えしてきまして、数年が経ちました。私は元盗賊という身分のため、内部においてよき評判がございません。私だけならよかったのですが、お仕えしている大切な方への良からぬ噂の種になっております」
デューは悲しい表情を見せて続ける。
「陛下もご存じの通り、私がアルヴィス様と出会う前は、貞操の危機に何度も遭遇しました。現在も私とアルヴィス様、アゼル様の関係をそのような色眼鏡で見ている人も少なくございません」
デューは苦しい表情を時折見せつつ・・・
「今まではアルヴィス様、アゼル様のご厚意により助けていただきましたが、これからはヴェルトマー家における立場を内外に認めてもらうことに全力を尽くす所存でございます」
デューは真剣な表情で締めくくった。
(ふふふふ。はははは。とんでもない逸材がヴェルトマー家にいたものよのう。これは手放すわけにはいかんな)
「デューよ、その返事をする前に単刀直入に聞くが、リングの娘とはどのような関係なのだ」
アズムールは直球を投げ込んだ。
「お互い元々が盗賊と海賊だったので気が合いました。最近は頻繁にヴェルトマー家に来られていることもあり、親交を深めている次第です。」
問われたデューは慌てることなく答える。
(全く嘘はついておらんな。そういえばリングは娘に気になる者がおるとか言っておったな)
「そうか。実はリングから今回の縁談については無かったことにしてほしいとの話が来ておった」
アズムールはようやくここで真相を話した。
視点変更(アルヴィス)
(ふう、陛下にも困ったものだ。やはりリング卿は断っておられたか)
アルヴィスはリングがこの縁談を受けるとは全く考えていなかった。アズムールが意図的に食い下がってきたのは、アルヴィスがブリギッドの縁談破棄にこだわるのか知りたかったと推測する。
「リングからはきちんとした教育を受けさせておらんので、クルトを支えるには荷が重いと言っておった」
アズムールは淡々と話す。
「そうでございましたか。ブリギッド殿はグランベルに来て日も浅いので、今の生活に慣れていただくことが必要かと思います」
アルヴィスは幾分ホッとした様子を見せた。
「あと気になる相手がいると言っておったな」
アズムールは爆弾を投げ込んだ。
「!!!!!!!!!!!!!!!」
「!!!!!!!!!!!!!!!」
アルヴィス、デューは驚きの表情を見せる。
「ふうむ、その相手とは誰であろうな。聞いておらぬか?」
アズムールは訊ねる。
(考えられるとすればデューだが、ブリギッド殿が話した・・・それはないな。ましてやリング卿が認めるわけがない)
「ブリギッド殿からそのような話は聞いたことがございません」
アルヴィスは務めて冷静に返す。
「ほう。てっきりそちらのデューと思っておったがな。そうでなければ先ほどの破談にしてほしいとの話に繋がらんし、身分についてのお願いもそれなりの地位でなければ、あの娘とは釣り合わんじゃろう」
アズムールは畳みかけるように2人を見る。
視点変更(デュー)
(そうか良かった。姉御の縁談は無くなったんだ。で、陛下はその原因をおいらにあると思っているんだな)
デューはアズムールの意図を理解できた。
(姉御の気になる相手って誰だろう。何かモヤモヤする。あれ?何でだろう。よく分かんない)
デューは自分がブリギッドの気になる相手だとは全く思っていない。しかしアズムールの言葉に嫌な感じが抜けなかった。
「陛下、今回の身分についてのお願いはブリギッド様とは全く関係がございません。そしてクルト王子との縁談についても、ブリギッド様が貴族生活に慣れておらず、心身ともに疲れていたのも見て、私がアルヴィス様にお願いしたのです」
デューは言葉を慎重に選びながら話す。
「陛下、私もその話は聞いておりました。もしかしたらブリギッド殿が断る理由を作るために意中の人がいると言った可能性も否定できません」
アルヴィスもデューを援護した。
最後までお読みいただきありがとうございました。
このあたりアズムールに最後まで食い下がらせるかかなり迷いがありました。
アズムールとしてもこの縁談は良縁です。グランベルのことを考えるならば簡単には引き下がることはできません。
しかし、ブリギッドとクルトの相性は悪そうですし、例の件をブリギッドが知ってしまっている以上・・・・無理ですね。(笑)リング卿としても難しいと判断するのではないでしょうか?
リング卿はブリギッドに気になる相手がいるなど思っていません。断る理由におまけでつけ加えた形になっています。さてこれがどうでるでしょうか?