平和なグランベルの日々を目指す   作:ロサド

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デューとブリギッドがメインになります。

元々この話はスタート当時考えてはいませんでした。

しかし話を進めていく中でどうしても外せない状況になったため急きょ作成(笑)

キャラは勝手に動きます(笑)こっちの思惑以上に。





22.想定外

デューはエスニャの渡さないアピールに多少呆れながらも、アルヴィスとブリギッドに釘を刺しておいた。

 

(それにしても、アルヴィスは幸せそうだな。あんな表情を引き出すなんてエスニャも凄いね)

 

エスニャのアルヴィスへの想いを知っていたデューは、目の前の2人の様子に多少驚いている。

 

(アルヴィスは例の件があったから、正直心配していたけど大丈夫みたいだね。おいらもティルテュには頭が上がんない)

 

そしてブリギッドに対しては・・・・・・

 

(姉御はこちらの状況を探りにきているね。これ以上いたらエスニャがスキを見せかねない)

 

思案しながらデューはアルヴィスの方を向いた。

 

「アルヴィス、アゼル達が待っているし、そろそろ帰らない?」

 

「そうだね。帰るとしよう。ブリギッド殿、ありがとう。これにて失礼する」

 

「ブリギッド様。楽しかったです。ありがとうございました」

 

アルヴィスとエスニャがブリギッドにそう言って頭を下げた。

 

「こちらも2人の甘ったるいもの見せられたよ。アンドレイにはきちんと報告しとくね。あいつも人のことより自分のことを考えないとね」

 

ブリギッドはおどけた表情を見せる。

 

「少々外も暗くなってきている。デュー、ブリギッド殿を城まで送ってほしい」

 

「え!いいけど。姉御は構わないのかな」

 

デューは驚きの表情を見せる。

 

「いいよ。少し話もしたいしね。アンタが護衛なら頼もしいわ」

 

ブリギッドは了承する。

 

「うん。わかったよ。アルヴィスの方は大丈夫?」

 

「問題ないよ。ブリギッド殿、アンドレイにもよろしく伝えてくれ」

 

「ああ。承知したよ」

 

「姉御、少し待ってもらえる?すぐ準備するから」

 

デューはそう言って帰ろうとするアルヴィスとエスニャに駆け寄った。

 

「アルヴィス、姉御にはどこまで伝えているの?」

 

デューがアルヴィスに小声で確認する。

 

「秘密は何も話していないよ」

 

アルヴィスも小声で返した。

 

「姉御に護衛は要らないよね。おいらに何をさせたいの?」

 

「ブリギッド殿の興味が私たちより君に移っているようだ。少し話し相手になってほしい」

 

「え!いいけど。何でおいらなの?」

 

(わけわかんない。おいらに興味ってどうしてなのかな?)

 

デューは戸惑いの表情を浮かべている。

 

「慣れない貴族の生活で息が詰まっていると思う。色々話を聞いてあげてほしい」

 

(そうか。姉御がよく城を抜け出してきているのはそう言った理由なのか)

 

デューは納得した。

 

「当家の秘密に関することについては、君の判断で話しても構わない」

 

アルヴィスは真剣な表情で伝える。

 

「え!よろしいのですか?」

 

横で聞いていたエスニャが驚きの表情を見せる。

 

「正直私も迷っている。しかし彼女には話しておいた方がいいとも考えた。なぜだと思う?」

 

アルヴィスは2人に問いかける。

 

「クルト王子の毒牙にかかる前に警戒させておきたいんだよね」

 

デューは即座に答えた。

 

「流石はデューだね。気づいていたのか?」

 

アルヴィスが訊ねる。

 

「面食い王子が姉御を見逃すはずないよ」

 

デューは答えた。

 

「え!まさかクルト王子がブリギッド様を?」

 

エスニャが慌てて問いかける。

 

「水面下で色々と動いているみたいでね。」

 

アルヴィスは呆れた表情を見せた。

 

「で、念のためおいらをつけて色魔王子の動きをけん制するってこと?」

 

デューは不敬罪に問われる言葉を口にする。

 

「万が一に備えてね。頼まれてくれるか?」

 

「アルヴィスのお願いをおいらは断らないよ。命に代えても守るから」

 

(アルヴィスはやっぱり優しいな。姉御を狙うなんてホントに懲りてないんだ、あの色ボケ王子)

 

「無理はしなくていい。ブリギッド殿は強い。だが接近戦になったときに君がいれば心強い。死なないことだけを心がけてくれれば大丈夫」

 

「わかった。無理をせず無事に送り届けたらいいだよね?任されたよ」

 

デューは力強い目でアルヴィスを見た。

 

 

 

 

デューを待っている間ブリギッドは今日のアルヴィス達の話を整理していた。

 

(今も色々と話しているみたいだね。ヴェルトマー家とフリージ家の婚姻はどちらもいい感じで決まった。それにしてもやっぱり変だね)

 

ブリギットが感じている違和感、それはこの婚姻に秘密があることを明らかにしている点だ。

 

(普通、そう言ったことも隠すものだけどそれは正直に答えている。言えないってね)

 

デューを護衛につけた理由も正直分からない。しかし・・・・・

 

(少し彼に興味があるかな。初めて会ったときはアルヴィスの護衛ってただの冗談かと思ったけどね)

 

そのことを思い出そうとしたとき

 

「姉御、お待たせ!ごめんね、遅くなって」

 

デューがやってくる。

 

「いいよ。それじゃ、護衛をよろしく頼むね」

 

二人は歩き出した。

 

 

 

視点変更(デュー)

 

 

 

最初は無言だったが、すぐにブリギッドが話しかけてきた。

 

「アゼルとティルテュだっけ、二人の様子はどうだい?」

 

「間違いなく将来アゼルは尻に敷かれるね。と言うかもう敷かれている」

 

「ははは。もうそんな関係に見えているのかい?」

 

ブリギッドは笑う。

 

「アゼルが頼りないじゃなくティルテュが頼もしすぎる。おいらも安心してこっち来られたしね」

 

「ふーーん。そのティルテュって子、今回の縁談の中心にいるね。アルヴィスもエスニャも頭が上がらないって言っていたし」

 

「正直今のティルテュは姉御よりも怖いよ」

 

デューはそう言って肩をすくめる。

 

「・・・・・・へえ、誰が怖いって。」

 

ブリギッドはそう言いながらデューに後ろから抱き着いた。

 

(こういうところはカルラと一緒だよな)

 

抱き着かれたデューは少し身をよじってブリギッドの方を向くと

 

「さっき姉御が気づかなったおいらの気配を、ティルテュには気づかれたよ」

 

デューは真剣な表情で淡々と話す。

 

「え!!!!・・・・・・・・・・」

 

ブリギッドは驚きの表情を見せる。

 

「それだけで正直おいらにとっては恐怖さ。元盗賊としてはそれで詰んでいるからね。それと離れてくれないかな。」

 

デューは身のよじりを大きくしてアピールする。

 

(元海賊ってこともあるけどブリギッドも隙が大きいよな。いきなり抱き着くなんて。おいらも一応男なんだけどな)

 

デューはブリギッドの行動に多少呆れながらも冷静に対応する。

 

「つれないわね」

 

そう言ってデューから離れた。

 

「本当はアルヴィスから聞き出せなかった秘密を聞きたいんじゃないの」

 

デューはブリギッドを追求する。

 

「アンタは絶対に話さないだろ。そんなのは分かっている。今はアンタに興味があるかな」

 

「え!!・・・・・・・・・・」

 

(アルヴィスが言った通りだった。困ったな)

 

デューは困惑する。人からこうして興味を向けられるのは初めてではない。貞操の危機に陥ったこともあれば、アルヴィスのように助けてくれた人もいる。しかし・・・・

 

(正直恋とか愛とかわかんない。アゼルやティルテュから相談されたけど・・・)

 

 

 

視点変更(ブリギッド)

 

 

 

ブリギッドはデューの困惑の表情を見て

 

(さっきの反応からもこの子はこういった好意には冷淡だよね。知りたいわ)

 

「そもそもおいらは元盗賊で姉御は貴族のご令嬢だろ。さっきみたいな軽率な行動は控えてほしいんだけど」

 

デューは正論をぶつけてくる。

 

「アタシも元海賊だけどね。貴族って言われても正直落ち着かないよ」

 

ブリギッドは気を悪くした様子もなく淡々と返す。

 

「おいらも貴族は苦手だよ。アルヴィスは例外だけどね」

 

デューは再度返すがいつもの口調ではない。

 

(ふうん。そういえばこの子は元盗賊だったね。アルヴィスと会うまではずっと1人だったって話だったし)

 

「でも今はこうしてアタシの護衛を任されるぐらい信頼されているし、アンタは今の場所が気に入っているんだ。正直羨ましいね」

 

「うん。おいらはアルヴィスとアゼルのために命をかけているからね。まあ今は姉御に対してもだけど」

 

デューは口調こそ軽いが表情は真剣そのものだ。

 

(アタシの護衛は命をかけてやっているってことか。こうして話していてもスキがないね)

 

「アタシに護衛が必要な理由を教えてはくれないの?」

 

「美人で魅力的な女性は何かと狙ってくる輩がいるかもしれないからね。念のためだよ」

 

(あらあらこういったセリフは言えるんだ。ふふふ、何か嬉しいわね)

 

ブリギッドは上機嫌になり、デューに近寄る。

 

「ふうん。それじゃあなおのこと守ってもらわないとね。それと・・・・」

 

ブリギッドはデューに顔を近づけて囁く。

 

「アタシを狙っているのは誰だい?流石に教えてもらわないと困るんだけど」

 

デューはブリギッドの行動に驚いた様子も見せず問い返す。

 

「教えてもいいけど、他の人には言わないでほしいな。何かと問題になるからね」

 

「いいよ。約束する」

 

ブリギッドは即答した。

 

 

 

視点変更(デュー)

 

 

 

「いいよ。約束する」

 

ブリギッドは軽い口調だ。だがデューは・・・。

 

(うん。姉御は絶対に口を割らないね。信用してもよさそうだ。一応アルヴィスから許可は貰っているけどどこまで話そうかな)

 

デューが軽く思案していると・・・・・

 

「誰が狙っているか、だけでいいよ。それ以上は聞かない。」

 

ブリギッドは断言した。

 

(ふう。姉御に先を越されちゃったな)

 

デューは軽くため息をつくと

 

「わかったよ、姉御を狙っているのはクルト王子だよ。」

 




最後までお読みいただきありがとうございました。

元盗賊と元海賊の2人です。身分は違えどいい関係ではないでしょうか。

実はこれを投稿すると決めたことで、デューをディアドラのカップリング候補から外しました。実はかなり迷っていたんですよね。(笑)

現時点でほぼディアドラのお相手は決めています。話はまだまだ先ですが・・・。

楽しみ?にしておいてください。

最後にクルト王子がシギュン以外の女性に手を出していないとは考えていないため、今回の設定を入れています。ゲーム上での情報が非常に少ないのでこの辺りは難しいです。

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