平和なグランベルの日々を目指す   作:ロサド

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タイトル通りブリギッドが二人を追及します。

会話は和やかと思います。そこまで殺伐としていません。多分(笑)

ブリギッドからすればユングウィ家としてこの縁談は警戒すべき事柄です。

デューも登場します。好きなキャラですから徹底的に動かします。(笑)


21.追及

(それにしてもこの2人のイチャイチャぶりは、こっちが恥ずかしくなるね)

 

ブリギッドはアルヴィスとエスニャの無自覚であろうバカップルぶりに若干呆れている。

 

(2人の婚約にはティルテュだっけ?確かエスニャのお姉さんが絡んでいるみたいだね。アルヴィスの弟のアゼルと婚約したんだったね。そちらから攻めてみますか)

 

「そういえばアルヴィスの弟は、エスニャのお姉さんと婚約したんだよね」

 

ブリギットは訊ねる。

 

「ああ、ティルテュはアゼルを好いていたし、私たちの婚約も彼女がいなければ実現しなかったよ」

 

アルヴィスは答えた。

 

「ふふふ。私もお姉さまのおかげで、勇気を出して前に進むことができました」

 

エスニャも答える。

 

「エーディンのこと好きだったことは知っているよ。シグルド殿との婚約が決まって、相当落ち込んでいたと聞いていたから即婚約にはびっくりしたしね。ティルテュだったね、どうやってアゼルを落としたんだい?」

 

ブリギッドは追及を始めた。

 

「それには少々込み入った事情があって詳しくは話せないが、ティルテュはずっとアゼルのことを好きでいてくれて、それにアゼルが応えたといったところだよ」

 

アルヴィスが答える。

 

「ふーん。その少々込み入った事情の部分が興味あるんだけどね。アタシとしては」

 

ブリギッドは追及を緩めずに来ている。

 

「残念だが、当家の秘密に関わる部分なので教えることは出来ないんだよ」

 

アルヴィスはキッパリと返した。

 

(当家の秘密?この縁談のいきさつが?これは簡単に口を割りそうにないね)

 

「エスニャは当然知っているのよね?」

 

ブリギッドは追及をエスニャに切り替える。

 

「はい。私も今はヴェルトマー家の一員ですので、もちろん存じております」

 

エスニャは笑顔で答えた。だが・・・・・・

 

(明らかに答える気はありませんオーラがでているね。目が全然笑ってない)

 

ブリギッドは2人の様子からこれ以上の追及は難しいと判断する。

 

(何かきっかけがほしいね。父上もアンドレイもこの縁談はかなり警戒していたからね)

 

ブリギッドはリングより6公爵家の取り巻く状況は聞いている。エッダ家とヴェルトマー家は現在王子派と否定派のどちらの派閥に属していなかったが、この婚約により否定派の力が強まる。特にここ最近のアルヴィスの功績は大きく、ヴェルトマー家が否定派のレプトール家と結びついたことは、非常に大きなことなのは間違いなかった。

 

(しかも兄弟姉妹での婚約だからね。レプトール卿にとってこれは大きい。アルヴィスを取り込めたわけだし)

 

ブリギッドは心の中で状況を整理する。

 

(少し引っかかるのが、そもそも何でアゼルとティルテュの縁談が先なんだい?本来は当主であるアルヴィスの方が、縁談として先じゃないのかな?)

 

ブリギッドは違和感を拭えない。さっきアルヴィスが話した中で言えば、目の前の二人は運よく出来上がったカップルであるという事実だ。

 

(現状聞き出すのは難しいね。ただ一つ分かったことは、この二人の関係は・・・・・・・・・・)

 

ブリギッドは二人を見ると、エスニャがアルヴィスに体を預けて寄り添っている。お互いが非常に仲睦まじい様子を見せつけていることに気付いていない。

 

(政略結婚の可能性は0%だね・・・・・・・・)

 

それに関してのみ確信を固めた。

 

(下手に絡めて使うよりも正攻法で行った方がいいかもね)

 

「正直なところ安心したよ。父上もアンドレイもレプトール卿が仕組んだ政略結婚と思っていたからね」

 

「その点について半分は当たっているといっていいよ。私とエスニャはこれからお互いのことを知っていく関係だからね」

 

アルヴィスは肩をすくめて回答する。

 

「そうなのかい?」

 

ブリギッドはエスニャの方を向いた。

 

「はい。私はアルヴィス様をお慕いしていましたが、勇気が持てなくて告白できませんでした。こうして一緒になれて、これから夫婦としてアルヴィス様のことを知っていこうと思っています」

 

エスニャは笑顔で答えた。

 

「へえ・・・。いつ頃からアルヴィスを意識していたんだい?」

 

ブリギッドはいたずらっぽい表情を浮かべて追及を始める。

 

「え!!!!!えーーと・・・・その・・・・」

 

エスニャはブリギッドの追及にしどろもどろになり、顔がどんどん赤くなっていく。

 

「おいおい、いきなり婚約者をいじめないでくれたまえよ。」

 

アルヴィスが助け舟を出す。

 

それを聞いたブリギッドは・・・・

 

(そうくると思っていたよ。さてこの質問にはどう答える)

 

「いじめるなんて人聞きの悪い、じゃあアルヴィスはエスニャのどこが気に入ったんだい?」

 

「そうだね。私もエスニャがここまで慕ってくれていたことに気付いてなくてね。最初はティルテュからの断れないお願いでの縁談だったが、今は私が誰よりも1番大切な人だよ」

 

アルヴィスは恥ずかしがることなく答えた。

 

「どこが気に入ったと言われれば全部と答えておこうかな」

 

アルヴィスはそう締めくくった。

 

隣で聞いていたエスニャは少し恥ずかしい表情を見せるが、より一層アルヴィスに密着している。

 

それを見たブリギッドは非常にばつの悪い表情を浮かべる。

 

「はい、ご馳走様だね。全く、聞いたこっちが恥ずかしくなるじゃないか」

 

(やっぱりキーを握っているのはティルテュだね。断れないお願い?なんだいそれは?うーーん。)

 

ブリギッドは思考を少しずつまとめていく。

 

(とりあえずここまででいいかな。あまり詮索するのも良くないしね。それに・・・・・・・)

 

目の前の二人は無自覚なイチャイチャぶりを加速させていた。

 

(これ以上見てられないわ!!!!!!)

 

「さてと、アタシは城に戻るわ。アンタたちはどうするんだい?」

 

「そうだね。私たちも戻ることにするよ。迎えも来たようだしね」

 

アルヴィスがそう言うと窓に向かって声をかける。

 

「デュー!!!!」

 

「あいよ。ようやく終わった?」

 

答えるなり窓から金髪の少年が入ってくる。

 

「!!!!!!!!」

「!!!!!!!!」

 

状況が呑み込めない二人が驚愕の表情を浮かべる。

 

「デュー、例の件はどうだったかな?」

 

言葉を失っている二人をよそにアルヴィスが質問する。

 

「うん、ばっちりだよ。協力してくれるってさ」

 

アルヴィスの下に駆け寄りながら金髪の少年は答えた。

 

「ブリギット殿、私の護衛が失礼した」

 

アルヴィスが向き直りブリギッドに謝罪する。

 

「申し訳ありません。緊急の案件があり、結果をすぐに報告せよとの命によりそちらを優先させていただきました」

 

そう言ってデューも片膝を折って頭を下げた。

 

「アンタが敬語使うと気持ち悪いね。私にはいつもの口調でいいよ」

 

落ち着きを取り戻したブリギッドが呆れた口調で返す。

 

「姉御、久しぶりだね。元気してた?」

 

デューは頭を上げて、いきなり砕けた口調でブリギットに話しかける。

 

「姉御はやめろって前に言わなかったっけ。それにしても相変わらず気配が読めないね」

 

ブリギッドも負けずに返す。

 

「ブリギッド様はデュー様をご存じだったのですね」

 

固まっていたエスニャもようやく言葉を絞り出した。

 

「それはそうさ。私の捜索にいた1人だしね」

 

ブリギッドはエスニャに返した。

 

「あ!!そうでしたね。」

 

エスニャはブリギットの捜索にデューがいたことを思い出していた。

 

「デュー様、お迎えありがとうございます」

 

エスニャはデューに笑顔を向ける。

 

「エスニャ、遅れたけど婚約おめでとう。想いがかなっておいらも嬉しいよ」

 

デューはエスニャにお礼の言葉で返した。

 

「デュー様は気づいておられたのですね」

 

「アルヴィスが鈍感過ぎたからね。ホントにティルテュのおかげだよ」

 

デューはそう言ってアルヴィスの方を向くと

 

「アルヴィス、アゼルにも言ったけど嫁さんを泣かしたら絶交だからね」

 

「言われなくても分かっている。私にはもったいない人だ。大切にする、約束しよう」

 

アルヴィスは真剣な口調でデューに返した。

 

「大丈夫ですよ。デュー様、私がアルヴィス様を支えていきます。私もお約束します」

 

エスニャはアルヴィスに寄り添いながら答えた。

 

(このデューって子は不思議だね。あっという間に主導権を握っている。それとさっきの案件も気になるね)

 

ブリギットは目の前の3人のやり取りを見ながら思案する。

 

「デュー、相変わらずだね。そう言うアンタはいい人はいないのかい?」

 

ブリギットはデューに訊ねる。

 

「・・そんな人いないよ。そもそもよく分からないし・・・・・・・」

 

デューは無表情でブリギットに返す。

 

(デュー、何か怖い表情だね。全く興味がないというよりは関わりたくないって感じかな)

 

「姉御はどうなの?好きな人いないの?」

 

「アタシは最近戻ってきたばかりでそんな余裕ないよ」

 

ブリギッドも痛いところを突かれた表情を浮かべた。

 

「そうなんだ。でも姉御のところには縁談来ているじゃないの?」

 

デューはさらに追及を強める。

 

「うーーん。私より強い人じゃないとダメかな」

 

ブリギッドは答えた。

 

「ブリギッド様、それはかなりハードルが高いと思いますよ。」

 

エスニャが間に入ってきた。

 

「そうかい?」

 

「ええ。だって・・・・・・・・・・・」

 

エスニャは言いよどむ

 

「イチイバルを持っている凄腕の狩人に勝てる男が、そもそもいるのかな」

 

アルヴィスも加わってきた。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

ブリギッドは自分で言ってから、2人の返しに言葉を失う。

 

(・・・・・アタシは何を言っているの。そんなの)

 

「おいらの知る限りアルヴィスぐらいしか無理じゃないの?」

 

デューが爆弾を投下した。

 

「デュー様!!!!」

 

エスニャは悲鳴を上げると、アルヴィスに抱き着いて渡さないアピールを始めた。

 

「・・・エスニャ、そんなのおいらが許さないよ。あくまでたとえ話だからね」

 

デューは一転冷たい口調でアルヴィスを見る。

 

「・・・エスニャ落ち着いて。私が愛しているのは君だけだよ」

 

アルヴィスはそう言うとエスニャの額に軽くキスをした。

 

エスニャは顔を真っ赤にしてにして俯いた。

 

ブリギッドは・・・・・・・・

 

(デューって子は恐ろしいね。私もアルヴィス以外相手が思いつかなかった。私に対しても釘を刺したようだね。)

 

(でも・・・・少しこの子に興味が湧いたかな。ふふふ、とても面白い子だわ)

 

ブリギッドは思わず笑みがこぼれた。

 




最後までお読みいただきありがとうございました。

二人の惚気に充てられるブリギッドでした。(笑)

「イチイバルを持っている凄腕の狩人」は結構気に入りました(笑)

今後も使います。(笑)

ブリギッドが当主にならない状況であれば立場としては微妙なんですよね。

当然、縁談の話も出てくるでしょう。お相手となると・・・・・・これもまた難しいですね。私の中ではアルヴィスぐらいしかいないとの判断でした。
実はもう1人いますが、嫌いなキャラなので敢えて出しませんでした。(笑)

どのみち次話以降で話題に出すので(笑)

最後にデューに敬語は似合わないですね(笑)

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