saoから”ログアウト”できたプレイヤー   作:土ラグーン

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こんにちは!アズマオウデス!
・・やばいテスト近い・・!更新できなくなるかもデス!すいません!

今回少し長めになっちゃいました!でわどうぞ!


それとお気に入り登録90人突破ああああ!!ありがとうございます!
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思い出したくもない過去

 懐かしい。本当に懐かしい。あの城で、血みどろの戦いを行ったことが。目の色を変えて敵を斬り、ポリゴンの粒子へと変えていった。そんな、鬼神のような俺の姿を思い出す。絶対に思い出したくない過去だった。一度は本当の友情も期待していたのだ。だが、それを俺が打ち壊したのだ。もう、俺は思い出したくなかった。だが、今あの男が、開花させてしまったのだった。

 

 俺はうなだれていた。いや、震えていたというべきだ。俺の目前にいる、因縁のあるあの男がいった。

「どうだ?思い出したか?」

「・・」

 なにもいえない。俺は、何かに縛られたように口が開けなかった。そう、これは恐怖。この男たちには感じなかったが、今俺のうちからそれが現れて、たちまち俺を支配した。その結果、俺の顔は血の気がなくなり、顔面蒼白の状態である。

「その面から思い出したようだな。俺はてめえを許さない。俺たちのリーダーを殺したんだ。俺たちの、元リーダーを・・!俺の、友達を・・そして、てめえの親友の父親もなぁ!!」

「な・・」

 おれはもう、なにもいえなかった。俺があの世界で葬った奴が、あいつの、親父・・?

「そうだ!」

 小声でぼやく俺に、大声で怒鳴った。男は、ふるえる俺の肩に手を置き、顔を耳に近づけて、囁いた。

「忘れるな。まだ、終わっていない。イッツ・ショウ・タイム。必ず、お前を」

 俺は、激しく身を痙攣させていた。まるで、次くる言葉を予想しているかのように。

 

 

 

 

 

「殺す。よく覚えとけ」

 

 

 

 男は、簡潔だが、その何十倍も重い言葉を俺にささやいた。この男なら、本当にやる。俺は、息を激しくすったりはいたりした。その俺の動揺をじっくり楽しむように俺の顔をのぞき込む。そしてじっくりなめ回した後、勝ち誇った笑みを浮かべて、去っていった。こつこつと、レアなブーツが鳴らす音をほとんど聞いていなかった。

 俺は、男が消えた後、ふらふらと近くのベンチに吸い込まれる。ドスンと腰を下ろし、両手をくんで頭を下に下げて、俯いた。がくがくと未だに体が震えている。

「こわい・・誰か・・助けてくれ・・」

 俺は、生まれて初めてその言葉を言った。俺は、誰かに助けを求めようと思わなかったからだ。優子にも、俺はできるだけ助けを求めようとはしなかった。優子が助けを求めているときは手をさしのべるが、俺はさしのべてと頼んだことはない。俺はいつも一人だったから。優子に出会う前は。

 両親は勉強ばかりを押しつけ、クラスでは浮いた存在となり続け、勉強がだめとなると、ゲームに逃げて、ソロで居続けた。だから俺は、孤独だった。助けの求め方を知らないのだ。それ故に、いつも一人で何とかしようと心がけたのだ。

 しかし、今回はそうもいかなかった。俺一人ではどうすることもできない。どうやっても記憶を消せない。つらい記憶を1人で引きずっていくなどできない。どうすればいいのかわからない。助けが必要なのだ。

「助けてくれ・・頼む・・だれかぁ・・」

 俺はついに、心の中の毒が、2滴の水滴となって、両目から落ちていくのを感じた。俺は拭おうとするが、手が動かない。俺はもう、諦めて、時がたつに任せた。

 ふと、俺を細長い陰が覆う。俺は顔だけを上げて、認識した。凛とした顔だが、戦士然とはしていない、少女だった。俺は、再び下を向いて、声を投げる。

「なんだ・・ユウコ?」

 するとユウコは、俺の顔を持ち上げて、覗き込む。

「なにが・・あったの?」

 ユウコが、優しく聞いてくる。それを見て、俺は思いだした。かつていた、姉ちゃんのことを。とっても優しくて、かわいくて、俺が心を開いた最初の女の人だった。よく、俺が悩んでいたとき、同じようにしてくれたのだった。

 もちろん今、姉はいるが、その姉の上にもいたのだった。俺よりも4つ年上で、成績優秀だった。だが、俺が、小学4年生の時に、自殺したのだった。当時姉は、中学2年生だった。理由は、強姦されたからだ。美人だからかもしれない。

 そこから俺は壊れていった。勉強もできなくなった。そしてオンラインゲームへと走って、ますます孤独になっていったのだった。それくらい、俺は姉ちゃんに影響を受けていたのだった。いろいろ悩み相談もした、一緒に遊んだ、一緒に勉強した、全てが楽しかった。

 俺は、眼前にいる少女を見て、俺が今逃げている過去について、話そうと、決意した。

「・・俺、実は、SAOで人を・・殺したんだ」

 俺は、ぼそっといった。しかし、その言葉は、彼女には重く来たようで、わずかにふるえる。

「さっき、もとSAOプレイヤーが来てさ、俺に恨みの言葉を投げつけたんだ。人殺しってな」

 自嘲気味に笑う。

「その通りさ。俺は感情にまかせて殺したんだ。そういわれてもおかしくないよ」

 俺は、彼女の嫌悪にあふれた顔がでるのを待ち続ける。しかし、いっこうに現れず、口を開いた。

「・・ロックァは理由もないのに、殺したりしないよね?なんで・・殺しちゃったの?」

 俺はしばし黙り込む。話したくもなかったからだ。思い出せば出すほど、俺が壊れてしまいそうだからだ。俺は、それはいえない、といってその場を離れようかと考えたがーーーーーーーー

 

「助けてくれ・・」

 

「え?」

 

「たすけてくれよ・・もう・・姉ちゃん・・」

 

 音もなく涙がこぼれてきた。今まで我慢してきた気持ちが全部溢れてきている。もういないはずの大切な人に助けを求めるなど、愚かにもほどがある。だが、俺は、激しく泣きじゃくり、地に伏した。センターソウルシティの、乾いた地面が一気に濡れていくが、一瞬だけの出来事であり、すぐに乾いてしまう。

 不意に、頭ごと俺は抱きかかえられた。柔らかい肌の感触が俺を包み込み、穏やかにしてくれた。姉ちゃんの香りにそっくりだった。懐かしい。

『大丈夫・・?お姉ちゃんがいるからね?』

「ねえ・・ちゃん・・ありがとう。おれ、負けないよ・・」

 俺は涙を止める。そしてユウコを認識し、抱き解かれて、しっかりと目を見た。けど、のどが詰まってしまう。

『ほら、男の子なんだから泣いちゃだめ。女の子を守らないといけないんだから』

「ごめんな・・こんな泣いちまって・・」

 俺は、姉ちゃんにも、ユウコにも謝った。だめだな・・俺、何も変わってねえよ‥

「辛かったんだよね・・大丈夫だよ?私はどんなことがあっても、ロックァから離れない。愛してるから」

 俺は何もいわない。けど、感じているはずだ。俺が、ありがとうと、呟いたことを。

 

「落ち着いた?」

「・・ああ、落ち着いた。ごめんな」

 すると彼女は笑顔で首を横に振る。

「ううん・・大丈夫。でも意外だな・・ロックァが助けてって・・」

「俺も正直驚いたな・・わるいな、あまり人のいるところじゃ話せないんだ。一回落ちて、俺のうちの近くにある公園に行こう」

「え・・でもロックァ入院中じゃないの?」

 そういえば俺は入院中だった。しかしもう体も十分動かせるくらいにまで回復している。

「なあに、脱出すればいいんだよ。あの程度なら余裕だ」

「たはは・・さすがだね」

 俺は不適な笑いを見せる。それを見て、ひどく安堵していた。

「じゃあ、俺は一回落ちるぜ。俺が、ユウコを迎えにいくからな?待っててくれよ?」

 俺は親指を立てて、ニッとした。

「じゃあね、待ってるから!」

 ユウコも、笑顔になって、落ちていった。俺もそれに続いてログアウトしていった。

 

 

 私は、意識が覚醒した。私の恋人の翔悟の部屋は、アニメタッチの女の子のビキニ画像や、本棚に積まれている、エロゲーたちを見て私は苦笑した。翔悟のあのビビりようはおもしろかったなと私は密かに思う。そして、私は伸びをして、全身に残る倦怠感を消す。

 そして私は廊下にでて、お手伝いさんに声をかけた。

「リビングに行きます。部屋使わせていただいて、ありがとうございます」

 すると、抑揚のない声がぼそぼそと聞こえる。

「いえ、すべては、翔悟様の命令にございます」

 私はそそくさにしたに降りて、リビングで翔悟を待つ。そして、私は携帯を取りだしていじくっていた。

 すると、10分後、窓から、ぬっと翔悟が現れた。

「わっ!びっくりしたなあ・・」

「へへっ・・まあ、この家については熟知してあるしな。ついでにそこのメイドさんは、退いてくれないかな?」

「わかりました」

 翔悟の前にいたお手伝いさんは、すっとどこかに消えた。

「じゃあ・・姉の部屋いくか?そこだったら、フツーの部屋だし」

「い、いいよ・・翔悟君の部屋でいい」

 私が照れながらそういうと、翔悟は、えっという顔をした。

「な、ならせめて片づけるよ。あれ邪魔だし」

「・・そうだね」

 翔悟は、ヒュンヒュンと飛ぶようにして、階段を上り、稲妻のように、ドアを開ける。そして、ばばっと片づける音がして、私はクスッと笑う。そして、大声で、もういーよーと叫ばれたので私は、はーいと大声で返す。

 そして私は再び入った。ポスターは乱暴にはがされていて、フィギュアも簡素な段ボールに詰められて、ベッドのしたにひっそりとある。翔悟の慌てっぷりが想像できてしまい、苦笑した。それにつられて翔悟も笑う。

 私はベッドにぽすんと座り、翔悟は勉強机の回転いすに座った。翔悟は背もたれに顎を乗せて、口を開く。

「わるかったな・・片づけなくて。まあ、・いいや」

「まあいいよ。それで、なにがあったの?」

 私は首を傾げながら聞いた。翔悟は一度顔を伏せて真剣な声音で私に言う。

「これからはなすことはかなりキツいものだ。それでもいいか?」

 もう覚悟は決まっている。私は、コクリと頷いた。

「わかった、はなすよ。」

 翔悟は息を吸い込んで話した。その内容は、想像を絶するものだった。もう、悲惨なくらい。

 

 

 俺は、やはり迷った。俺の中に宿っているどす黒い過去に彼女を巻き込んでいいのかを。だが、彼女の目に宿る強い意志を見て、俺は決めた。話そうと。そう決意し、口を開いた。

「俺がプレイヤーを殺したというよりも先に、まずは俺の姉ちゃんの話をしたい。関係してくるからな」

 俺は、息を吸い込んで言う。

「俺には昔、4つ上のお姉ちゃんがいたんだ。名前は、(アカネ)だった。今はもう、死んじまったんだけどな。とっても優しくて、可愛くて、優子みたいな人間だった」

「わたしはそんな・・」

 彼女の頬が少し赤くなった。俺はそれを見て笑うがすぐに表情を戻す。

「しかも頭も良くて、俺はよく勉強教えてもらったよ。家族で一番話した人だった。今だから言うけど、姉ちゃんのことが本当に好きだったよ。異性としてでもな。弟妹としても」

 俺は照れながらそういうが、優子にどつかれてしまう。

「大丈夫だって、優子のことも大好きだけど。けど、俺の人生に大きな影響を与えた人でもあった。いい意味でも悪い意味でもな」

 俺がうつむくと、優子がのぞき込む。どういう意味だろうと言う顔をしている。

「俺が小学4年生の時かな。俺の家から、姉ちゃんがいなくなってたんだ。姉ちゃんはそのとき中学2年生で、塾に通ってたんだ。帰ってくるのがいつも遅いんだけどな。けど6月の時かな、帰ってきたのが夜中の2時だったときがあったんだ。なぜかと聞かれたんだけど、姉ちゃんそのまま部屋に引きこもっちまったんだ。俺は夜中こっそり起きて、姉ちゃんの部屋をのぞいたんだ。そしたらな・・」

 俺は拳が震えていた。怒りが今でも巻き起こっている。

「姉ちゃんが泣きながら、腹を抑えていたんだ。俺は何事かと思って近寄った。そしておなかを触ったんだよ」

 俺は、あのときの感覚がよみがえってきた。

「どくんといってたんだ。赤ちゃんができたんだよ。姉ちゃんは、妊娠させられたんだ。体中に痣まであった。おそらく知らない人にやられたんだ・・!」

 俺は半ば吐き捨てるように言った。不安そうな顔をする優子にすまないといって、話を続ける。

「当然お袋や、親父にはいえなかった。だから、次の日の朝、自殺したんだ。俺が起きて始めてみたのは、たくさんの血と、血でかかれた恨み辛みの言葉だ」

 優子が青ざめた顔をする。

「なぜ死んだのかは、親父たちは知らなかった。知っているのは、俺だけだったんだ。俺は自分を責めた。親父たちに打ち明けて、自殺をくい止められたかもしれなかったのに・・」

 俺は涙をこぼした。それを優子が優しく指で拭う。

「そこからだ。俺が心を閉じて、オンラインに走ったのは。姉ちゃんが死んでもう、なにもやる気が起こらなかった。死んだ姉ちゃんに悪いと思っているけどな・・姉ちゃんは俺を励ましてくれた。けど、姉ちゃんの死のせいで、俺は堕落していったんだ」

 もう、優子は何もいわない。話の続きをまとうともしていない。だが、俺はかまわず話す。

「まあ、俺の姉ちゃんの話はこれくらいにして、なぜ俺が殺したか、誰を殺したかを話すよ・・」

 俺は、優子の顔を見る。恐怖の表情もあるが、まだいけそうだ。強靱な精神は砕かれていない。

「SAOが始まってから、3ヶ月程度たったときかな、俺は、攻略最前線にいた。第7層くらいだったな・・。けれど俺はその下の第6層にいた。クエスト攻略のためにな」

 今でも思い出してくる。煮えくり返るような腹のうずきを。

「第6層の主街区《クルトン》で、あるクエストの受注を終えて歩いたところにな、話し声が聞こえたんだ。いや、名前が聞こえたんだよ。姉ちゃんの名前が。」

「え・・」

 優子は絶句している。ネットゲームでは、リアルネームを口にするのが禁忌とされているはずだし、そもそもなぜ翔悟の姉の名前を知っているのか、わからないだろう。

「ただの偶然だろうと、俺は思った。だが、気になって後を付けてみたんだ。《隠蔽(ハイディング)》スキルと、その確率がブーストするマントを羽織ってな。4人組だったな。黒い服を羽織ってた。そしてフィールドにでたので、俺もそこに来て、話の内容を聞いたんだ」

 今でも一字一句間違えずにいえる。それくらい印象に残る言葉だった。

 

『なあ、リアルでは誰犯したよ?』

 

『ええとな、JC(女子中学生)だよ。』

 

『名前なんだよ?ネトゲだけどいいだろ?』

 

『別にいいぜ。もう死んじまったからな。()()()だったかな?うんそうだ。結構な上玉で、締まりもよかったぜ?』

 

『ちくしょう・・羨ましいぜ・・』

 

『処女だったろ?』

 

『そりゃあもう。『中はだめぇ~!!』とか聞いてて最高だったぜ!』

 

『COOLだなぁ~~』

 

 

 

 

「それを聞いた瞬間、俺は飛びだしていた。圏外だからPKできたからな。俺はそこで、3人殺した」

 

 

 

 

『てめえら・・てめえらがやったのか・・』

 

『なんだてめえは?』

 

『・・FUCKUYOU!武器なんか構えるとは、とんだcrazy野郎だな?』

 

『なにしに来た?』

 

『姉ちゃんを・・てめえらが犯したんだな!・・石田茜を!!』

 

『・・oh,こいつは驚いたぜ。ドルガが犯った女の弟だとはな』

 

『仇討ちかよ。いいぜ、相手になって・・ガッ!!』

 

『大丈夫か、ニース!・・不意打ちかよ!SUCK!』

 

『どうした?この程度で驚いているのか?姉ちゃんに同じことしただろうが・・!死ねぇ!!』

 

『コノヤロっ!!グハアッ!!』

 

『オ、オイ!パリス!逝くなぁ!!』

 

『ドルガってのはてめえかあぁぁぁぁ!!!!』

 

『くそったr・・ごはぁ!!』

 

『・・無様だな。姉ちゃんを犯した奴らが一発で死ぬなんて・・なあ、お二人さんよぉ・・!ついでだからてめえらも殺す!!』

 

『poh!おまえだけでも生きろ!そら、転移結晶だ!』

 

『いや、それはさすがにまずい・・』

 

『てめえが生きなきゃしょうがねえだろ!!《ラフィンコフィン》は生き残らせるんだ!!』

 

『・・OK』

 

『おしゃべりはすんだか?』

 

『ごはぁ!!は・・やく・・いけ・・!』

 

『クソッ!!転移、始まりの町!』

 

『まてゴラァ!!・・くそっ・・逃がしちまった』

 

 

 

 

「結果俺は、4人中3人殺したんだ。しかも罪があるのは1人だけ。だけど俺は許せなかったんだ。姉ちゃんが苦しみながら死んだのに、それを笑い物にする奴らが。だから殺しちゃったんだ・・殺し終わってから少したったときだ。姉ちゃんの声が頭に響いたんだ。」

 

 

 

『どんなに憎くても、殺したりしちゃだめなんだよ?』

 

 

 

「俺は姉ちゃんの言葉を、守らなかった。だから俺は激しく後悔したんだ。狂ったように泣いて、そして忘れようとした。そして、何とか、思い出さない程度まで押さえ込んできた。けど、今日、あいつに会っちまったんだ。あのとき殺し損ねた1人に・・」

「・・!」

 優子は激しく息を詰める。倒れそうになる彼女を抱き抱えた。

「そこで俺は、あいつに殺すって言われたんだ。俺はそのとき初めて恐怖を覚えた。報復がくる。その言葉しかなかったんだ」

 俺は、唇を噛む。

「向き合わなくちゃいけないのはわかっている。けれど・・怖いんだよ・・しかも俺が殺した奴の中には、トーガの親父までいるんだよ・・!」

 俺は、涙がにじみ出るのを感じた。

「俺、殺されるかもしれない。マジで今そう思っている」

 俺は、今すぐにでも優子に飛びつきたかった。けど、体が動かない。人の温もりを求めたいのに、求められない。そんな俺の心境を察したのか、優子が俺を抱く。幼い頃に姉ちゃんにこんな風に抱かれたものだ。俺はついに涙がはじけた。

「たすけてくれ・・こわいんだ・・ああ・・」

 俺は優子の胸に顔をぐいぐいとうずめ、涙でぬらし続ける。情けない、かっこわるいとも思ったが、涙を止めるすべも見つからない。優子はそんな俺の頭を、ずっとなでていた。俺は、気が狂ったかのように嗚咽を漏らして、ありのままに、全てを涙の形に変えて出した。

「ああ・・あああああぁぁ・・」

 しばらく俺の涙は止まらず、5分間続いた。

 

 

「収まった?」

 俺ははっと目を覚ます。どうやら少しねてしまったらしい。ベッドに座っている優子の膝で。そのせいか、少し照れていた。俺は頭を起こして、膝枕を止めると、優子に向き直り、ふっと笑った。

「うん・・ありがとう。何とか収まったよ。それで、こんなためらいもなく俺は人を殺したわけだが、そんな俺を見て、呆れたか?」

 すると優子は少し不機嫌な顔になる。

「なわけないじゃん」

「え?」

「私は、そんなことで翔悟君を嫌いになったりしない」

 俺は彼女の目を見た。嘘偽りない目だ。

「・・そうか。ありがとう。けど、これから俺のせいで危険な目に遭うかもしれない。それでもいいのか?」

「わたし、戦うよ」

 俺は気がつくと、優子を抱きしめていた。そして、ありがとうと、耳元でささやいた。優子がコクンと頷いたのを確認すると、俺は顔を合わせて、キスをした。全てを吸い尽くす勢いで。唾液までもが、絡みついて、俺を気持ちよくするが、そこは我慢した。プハァと言う呼吸音を吐き出し、俺は、優子の顔を支えていた手を離す。そして、俺は右手を優子に差し出した。

「じゃあ・・これからもよろしくな、戦友(ユウコ)

 俺の右手をじっと見て、にやっと優子が笑った。

「よろしくね!戦友(ロックァ)!」

 勢いよくぐっと手が握られた。不思議と、握力20しかない優子のそれが、力強く感じた。俺は、己が生み出した過去ともう一度向き合う。そのために、俺は仲間を手に入れた。戦うんだ。姉ちゃんのためにも、俺のためにも、優子のためにも。俺は、そう決意して、病室へと戻るのだった。




さてさてそろそろ終わりに近づいてきましたw次回は、まあ戦うんですが、どうなるかは、いえませんねw

感想、指摘、お気に入り登録、評価、お待ちしております!

それと、冒頭の文章の、本当の友情という部分もきっちり回収します!


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